一次元コード
一次元コード、いわゆる“バーコード”は、私たちの身近でありながら奥が深い技術です。スーパーのレジや倉庫の在庫管理など、あらゆる業界で取り入れられ、業務効率を飛躍的に高めてくれます。
ここでは、その仕組みや代表的な種類、導入時のメリット、活用分野を解説させていただきます。
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一次元コードとは?
一次元コードとは、横方向もしくは縦方向の一定のパターンにより情報を表現するコードの総称であり、一般的にはバーコードと呼ばれているものがそれに当たります。横方向に規則的なライン(黒と白の線)を組み合わせて数字や文字列を符号化し、専用のスキャナーを用いて読み取ります。
スーパーやコンビニのレジで見かける「縦線が並んだラベル」が代表的な例です。一次元コードは、IT・デジタル技術が浸透するよりも前から物流や小売の分野を中心に活躍し、現在でも世界中のあらゆる場所で利用されています。
一次元コードの代表的な種類
一次元コードには多数の規格がありますが、代表的なものとして以下が挙げられます。
JANコード(EANコード)
日本国内では商品パッケージに印刷されるバーコードとして広く利用される規格です。国際的にはEANコードと呼ばれ、商品識別番号を表現する仕組みとなっています。
UPCコード
アメリカやカナダで多く使用されるバーコード規格です。JANコードに似た仕組みを持ち、主に北米の流通システムで利用されます。
コード128
ASCII文字セットを幅広く扱える柔軟性の高い規格です。商品管理や物流のトラッキングなど、より多様な情報を一次元コードで扱いたい場合に使われることがあります。
ITFコード(Interleaved 2 of 5)
数字のみを扱う形式のバーコードで、主に段ボールなどの外装箱の識別に使われることが多い規格です。JANコードと合わせて使われるケースもよく見られます。
NW-7(Codabar)
図書館や医療現場などで利用される場合が多いバーコード規格です。数字と一部の記号をコード化できます。
一次元コードのメリット
スキャナーが安価・普及率が高い
一次元コードを読み取る機器(バーコードスキャナー)は、数十年前から普及が進んでいるため低コストで導入できます。読み取り技術も確立されており、エラー率の低さが魅力です。
読み取り速度が速い
一次元コードはとてもシンプルな構造のため、専用スキャナーで素早く読み取ることができます。大量の商品を扱うレジ作業などでもスピーディーに対応可能です。
コストパフォーマンスが高い
印刷コストもスキャナーの導入費用も比較的安価です。多くの在庫を抱える企業や小売店にとっては非常に導入しやすい技術です。
可読範囲が広い
スキャナーの種類やレーザー光の種類にもよりますが、ある程度離れた場所からでもバーコードを読み取れます。倉庫などでの大量在庫管理でも扱いやすい点が評価されています。
一次元コードのデメリット
情報量の制限
一次元コードは縦方向のパターン幅に限界があるため、取り扱える情報量が多くありません。商品番号や簡単な識別情報程度なら問題ありませんが、住所や長大な文章などの詳細情報は格納が難しいです。
汚れや破損への弱さ
コードを構成するラインの一部が汚れや破損で読み取れなくなると、全体として解読が困難になりがちです。印刷品質や保管環境によってはエラーが発生しやすくなります。
一次元コードの主な活用分野
小売・POSシステム
最も身近な例としてスーパーやコンビニ、ドラッグストアのレジで使用されます。商品に印刷されたJANコードを読み取ることで、商品情報を瞬時に把握し、在庫管理や売上データの集計が容易になります。
物流・倉庫管理
段ボールに印刷されたITFコードやJANコードは、倉庫内や配送ルートでの追跡に役立ちます。出荷から到着まで一貫してバーコードで追跡することで、ミスの削減や在庫最適化に寄与します。
図書館・レンタル業
書籍やレンタル商品にバーコードを貼り付け、貸し出しや返却の管理を効率化します。特に図書館システムでは、図書のIDをバーコード化することで手作業の負担を大きく減らしています。
医療現場
患者のカルテ、検体、薬剤などをバーコードで管理することで、誤認や取り違えを防止します。患者リストバンドにバーコードを印刷することで、診察や投薬の確認時にも活用されます。
製造業の生産ライン
部品や製品にバーコードラベルを付けておくことで、ライン上での通過記録やロット管理が容易になります。作業ミスを減らし、生産効率を向上させるための基盤技術として導入されるケースが多数存在します。
まとめ
一次元コード(バーコード)は、黒と白の線の並びで情報を表現し、商品や在庫管理に使われる識別コードです。スーパーのレジや倉庫、医療現場など幅広く活用され、作業スピードの向上・ミス削減・低コストというメリットがあります。DX時代においても、デジタル化の第一歩として導入しやすく、現場の効率化を支える重要な技術です。