デジタルピッキング
デジタルピッキングとは、倉庫作業を効率化するシステムです。作業スピード向上やミス削減が可能で、AIとの連携も期待されています。
ここでは、その仕組みやメリットとデメリットを解説させていただきます。
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デジタルピッキングとは?
デジタルピッキングとは、倉庫や工場などで商品を取り出す(ピッキングする)作業を効率的に行うためのシステムです。従来、作業員が紙のリストを見ながら商品を探していましたが、デジタルピッキングでは棚に設置されたライトやディスプレイが「ここから〇個取ってください」と指示してくれるので、作業が簡単になります。
例えば、スーパーでお買い物をするときに、買い物リストを見ながら商品を探すのではなく、棚の商品が自動で光って「これを買ってね」と教えてくれるようなイメージです。
デジタルピッキングの仕組み
デジタルピッキングの基本的な流れは次のとおりです。
1. 注文が入る → 倉庫の管理システムが、ピッキングすべき商品を決定します。
2. 棚のライトが光る → 作業員は、どこから商品を取ればよいかを一目で確認できます。
3. 数量を確認する → ディスプレイに表示された数だけ、商品をピッキングします。
4. 作業完了を通知 → ボタンを押して、次の作業へ進みます。
この流れを繰り返すことで、作業を速く、ミスなく行うことができます。
デジタルピッキングを導入するメリット
① 作業時間を短縮できる
紙のリストを使う場合、作業員は「どこに商品があるか」を探す時間がかかります。しかし、デジタルピッキングなら、棚のライトが光るので迷わず作業ができます。
② ミスが減る
紙のリストを見ながら作業すると、「見間違い」「数え間違い」「似た商品を間違えて取る」といったミスが発生します。デジタルピッキングでは、光る棚とディスプレイの指示に従うため、こうしたミスが大幅に減少します。
③ 教育コストを削減できる
新しく倉庫作業に入った人が仕事を覚えるのに、通常は 数日〜1週間 かかることがあります。しかし、デジタルピッキングなら「光った場所から商品を取る」だけなので、1日で基本的な作業ができるようになる 可能性があります。
デジタルピッキングのデメリットと注意点
① 初期コストがかかる
デジタルピッキングを導入するためには、以下のような設備投資が必要になります。
・棚ごとの表示機器(1台あたり数千円~1万円)
・倉庫全体のシステム構築(規模によっては数百万円)
ただし、一度導入すれば作業時間の短縮やミス削減によって、人件費の節約につながります。例えば、月に3人分の作業時間を削減できれば、年間で数百万円の人件費をカバーできる可能性があります。
② レイアウト変更がしづらい
デジタルピッキングは棚に機器を取り付けるため、一度設置すると棚の配置を変更するのが難しくなる場合があります。頻繁に倉庫のレイアウトを変える業態には向いていないかもしれません。
まとめ
デジタルピッキングとは、倉庫や工場でのピッキング作業を効率化するためのシステムです。棚のライトやディスプレイが指示を出し、作業員は素早く正確に商品を取り出せるため、ミスの削減や作業スピードの向上が期待できます。従来の紙リスト方式と比べて、作業時間が最大1.8倍短縮され、ミスも80%以上減少する可能性があります。
一方で、導入コストやレイアウト変更の制約といったデメリットも存在します。今後はAIやロボットとの連携が進み、さらなる効率化が期待されます。倉庫業務の生産性向上を目指す企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。