ゼロクリック検索
インターネットでの情報収集が日常となった今、検索結果を見ただけで答えがわかる「ゼロクリック検索」が急増しています。この現象は便利さの一方で、企業やメディアのウェブ戦略に大きな影響を与えています。
ここでは、ゼロクリック検索の基本から、どのように対策すべきかを分かりやすく解説し、初心者でも理解できるよう丁寧にまとめました。
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ゼロクリック検索とは?
ゼロクリック検索というのは、Googleなどの検索サイトで調べ物をしたときに、そのページ内で答えがすぐ見えてしまって、他のページをクリックしないで終わる検索のことを言います。
たとえば、以下のような検索をされた時に、検索した人はリンクをクリックせずに、検索結果のページだけを見て満足してしまいます。これが「ゼロクリック」です。
・「明日の東京の天気」と調べたら、画面の上にすぐ天気予報が出てくる。
・「1ドル 円」と入力したら、為替レートがすぐ見える。
・「社長とは」と調べたら、説明が出てきてリンクを押さなくても意味がわかる。
ゼロクリック検索が増えている理由
ゼロクリック検索が増加している理由は主に2つあります。
① ユーザーは「早く」「簡単に」知りたい
スマホで調べることが増えた今、誰もがサクッと答えを知りたいと思っています。わざわざページを開いて長い文章を読むのは面倒です。
② Googleがどんどん答えを見せてくれるようになった
Googleは今、検索してくれた人がそのページだけで満足するように、天気・計算・地図・定義などを先に見せてくれます。たとえば、会社名で検索すれば、住所や電話番号が右側に出てきたり、会社の説明が上に出てきたりします。
③AIO(AI Overview)の表示割合の増加
Googleは現在、「AI Overview」と呼ばれるAIによる検索要約機能を段階的に導入しています。この機能は、ユーザーの検索意図に対して複数のウェブページから情報を抽出・要約し、検索結果ページの最上部に自然言語での回答を提示するというものです。
このAI Overviewの導入により、従来のリッチスニペットやナレッジパネルと同様に、ユーザーがリンクをクリックしなくても疑問を解決できる検索体験がさらに進化しました。具体的には以下のようになってきております。
・複数のサイトから要点が自動的にまとめられる
・専門的・複雑な質問にも要約された回答が提示される
・回答の下に引用元のリンクが表示されるが、クリック率は以前より低下傾向にあると予測される(※仮説)
このように、AI Overviewはゼロクリック検索を“シンプルなQ&A形式”だけでなく、“複雑な問いにも対応可能な総合型回答”へと拡張しています。
ゼロクリック検索による課題
ゼロクリック検索の普及は、ユーザーにとっては利便性向上となりますが、情報提供側にとっては新たな課題となります。特に、自社のウェブサイトへの訪問者数を増やしたいと考える企業や店舗にとっては、以下のような影響が懸念されます。
例として、あるキーワードで検索され、検索結果に自社サイトが表示されたとしても、全体の60%がゼロクリックで完結しているという調査データもあるので、実際にクリックされるのは4%程度に留まります。結果として、アクセス数の減少やコンバージョン機会の損失が発生します。
(参照元:2024年にはGoogle検索の約60%がクリックなしで終了する、Serch Engine land)
更には、AI Overviewの出現率も42.5%となってきており、今後ますますゼロクリック検索が増えてくる可能性が高いです。
(参照元:Google CTR調査:クリック率の低下に伴いAIによる概要が増加、Serch Engine Journal)
ゼロクリック検索に対する対応策
ゼロクリック検索は止めることはできません。でも、上手に対応することで、チャンスに変えることもできます。以下にいくつかの対策を紹介します。
対策①:Googleに「うちのページはこういう情報だよ」と教える
これ「構造化データ」という仕組みを使うことでできます。ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、要はGoogleに向けて「このページには会社の住所がありますよ」「ここにレシピがありますよ」と“ヒント”を伝えるのです。
このヒントを使うと、検索結果に自社の情報がより目立つ形で表示されるようになることがあります。
対策②:答え+αを載せるページを作る
Googleは、簡単な質問には簡単に答えを出してくれます。だから、自社のサイトでは「答え+役立つ一歩踏み込んだ情報」を用意するのがおすすめです。
例えば、以下のような内容になります。
・「Wi-Fiの意味」を知りたい人には、「意味」だけじゃなくて「どんなWi-Fiを選べばいいか」「おすすめ機種3つ」なども入れる。
・「パスタの茹で方」を探している人には、「茹で時間」だけでなく「失敗しないコツ」「冷凍方法」も入れる。
対策③:検索されやすい地域や会社の情報を正しく出す
「美容室 新宿」「カフェ 京都」などの検索は、ゼロクリックになりやすいですが、逆にGoogleの地図やビジネス情報に自社を載せておけば、選ばれる可能性が高くなります。
そのために、GoogleマップやGoogleビジネスプロフィールに正しい情報(住所・営業時間・写真など)をしっかり登録しておきましょう。
対策④:見やすくて早く開くページをつくる
仮にゼロクリックで終わらず、誰かが自社のサイトを見てくれたとき、そのページが遅かったり、見づらかったりするとすぐに帰られてしまいます。
以下のような工夫がおすすめです。
・スマホでも見やすいように作る
・写真や図を活用して分かりやすくする
・ページが開くまでの時間を3秒以内にする(※仮説ですが、Googleが重視していると考えられています)
対策⑤:AIに引用してもらいやすくする
自社サイト内にAIが要約・引用しやすい構造化されたコンテンツブロックを設置することが推奨されます。
たとえば、「〇〇とは?」といった質問型の見出し(H2やH3)を設定し、その直下に3〜5文程度(150文字以内)の端的で分かりやすい回答を記載します。さらに、その下に箇条書きや表形式でポイントを整理し、統計データや専門家の意見を併記することで、GoogleのAIに対して情報の信頼性と明瞭性を示すことができます。
まとめ
ゼロクリック検索とは、検索結果ページ内で直接情報が表示され、ユーザーがリンクをクリックせずに完結する検索行動を指します。近年はGoogleのAI Overviewなどの導入により、この傾向が一層強まっています。本記事ではその背景と影響、さらに企業がとるべき具体的な対応策を解説しました。構造化データの活用や深掘りコンテンツの提供、ローカル情報の整備などを通じて、ゼロクリック時代でも検索上で価値を示す戦略が求められます。