ボトルネック
ボトルネックとは、作業やプロセス全体の流れを妨げる部分を指し、も遅い工程が全体の効率を決定づけることを象徴的に表現しています。
工場の生産ラインやプロジェクト管理など、さまざまな場面で発生するボトルネックは、効率的な業務遂行の大きな障害となります。
今回、ボトルネックを見つける方法、発生原因、効果的な解消方法について解説しております。
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ボトルネックとは?
ボトルネックとは、全体の流れを妨げる部分のことを指します。
日本語で言うと「瓶の首」という意味ですが、瓶の首の部分が細くなると、
そこを通る液体の流れが遅くなるように、作業やプロセスの中で一部が遅くなると全体の進行が妨げられてしまいます。
たとえば、会社での仕事を進める際に、チームメンバーの一人だけ作業が遅れてしまうと、
その人を待つ必要が出てきます。これがボトルネックです。どれだけ他の人が早く作業を終えても、
一番遅い部分(つまりボトルネック)が全体の速度を決めてしまいます。
実際に発生しやすいボトルネック
工場でよく見られる例
工場では、製品がいくつかの工程を経て完成します。
仮に製品Aを作るには、A1、A2、A3の3つのステップがあるとしましょう。
A1とA3は1時間で終わるのに対して、A2は2時間かかるとします。すると、A2の部分が全体の流れを止めるボトルネックになってしまいます。
この場合、A2の工程が遅れるたびに、次のA3工程で作業を待たなければならず、
結果的に製品が完成するまでに時間がかかることになります。つまり、A2の部分が全体の生産効率を決めてしまいます。
会社でのプロジェクト管理でよく発生する例
プロジェクトの中でもボトルネックは発生します。
例えば、5人のメンバーがそれぞれ自分のタスクを持っていて、
そのうちの一人の作業が他の人の作業よりも遅い場合、そのメンバーの仕事が終わるまで全体の進行が遅れます。
例えば、もし5人が1週間で終わるはずのプロジェクトに取り組んでいると仮定します。
そのうちの1人が10日間かけないと終わらないタスクを抱えている場合、
その遅れがプロジェクト全体を遅らせ、他のメンバーがいくら早く作業を終えても、
プロジェクトが完了するまで10日間かかってしまうでしょう。この10日間がボトルネックの影響を示しています。
なぜボトルネックは発生するのか?
ボトルネックは、さまざまな理由で発生します。発生しがちな原因を幾つか挙げさせていただきます。
リソース不足
例えば、人手不足や設備のキャパシティ不足などが原因で、
ある作業やプロセスが追いつかなくなることがあります。
工場でいえば、機械が1台しかないために、次の工程がキャパシティよりも遙かに低い稼働率になってしまうケースです。
作業効率の低下
作業効率の低下は、ボトルネックを引き起こす主要な原因の一つです。特に、手作業が多く自動化が進んでいない場合や、手順が複雑で無駄が多い場合に問題が発生しやすくなります。
例えば、古い設備を使っていると作業速度が遅くなったり、手作業に依存する工程では人的ミスが増え、再作業が必要になることがあります。これらの要因が重なると、全体の流れが滞り、効率が大幅に低下してしまいます。
トラブルやミス
トラブルやミスもボトルネックの大きな原因です。人的ミスや機械の故障が発生すると、作業が予定通りに進まず、他の工程にも影響が及びます。例えば、データ入力に使用しているコンピュータが頻繁に故障する場合、その修理や再起動を待つ間に他の作業も遅れてしまい、全体の効率が低下することがあります。
ボトルネックを見つける方法
ボトルネックを取り除くには、まずどの部分が作業の進行を妨げているかを明確にすることが欠かせません。
そのためには、工程全体の流れを観察することでボトルネックを見つけやすくなります。
前工程で仕掛かり作業や在庫が積み上がっている一方で、後工程ではキャパシティに余裕がある場合、その間に位置する工程がボトルネックである可能性が高いです。前後の負荷に大きなギャップがある部分が、全体の生産性を低下させる原因となりやすいため、ここに注目することが効果的です。
このことに着目して、以下を行うとよいです。
プロセスを見える化する
プロセス全体の流れをフローチャートなどで可視化すると、どこで作業が遅れているかを
見つけやすくなります。例えば、各工程にかかる時間を見えるようにしておけば、
特定の工程だけが他よりも多くの時間を要していることがわかります。
データを収集して分析する
実際に作業にどれだけの時間がかかっているかをデータとして記録します。
これにより、平均的にどの工程が最も時間がかかっているのかがわかります。
例えば、1週間分のデータを集めて分析した結果、特定の工程が常に他よりも
30%多く時間がかかっていることがわかるかもしれません。
現場観察を行う
作業の現場を直接観察し、どの部分で停滞しているかを目で確認することも効果的です。
例えば、実際に工場の生産ラインを見ていると、特定の機械が故障していることが
頻繁に起こっているなどの実態がわかることがあります。
ボトルネックを解消するための方法
ボトルネックが特定できたら、次はその解消に向けた具体的な対策を検討する必要があります。以下は、よく使われる解消策です。
作業手順を見直す
ボトルネックが発生している工程では、手順自体が非効率である場合があります。特に、前工程で在庫や仕掛かり作業が溜まりやすく、後工程ではキャパシティが余っている場合、その間の工程に問題がある可能性があります。例えば、製品の梱包作業が手動で行われている場合、自動梱包機を導入することで処理速度が改善され、全体の流れがスムーズになることがあります。こうした手順の見直しや標準化は、ボトルネックを取り除く有効な手段です。
リソースを追加する
特定の工程でリソースが不足している場合、それがボトルネックの原因となります。この場合、リソースを追加することで処理能力を高めることが効果的です。例えば、1台の機械で処理が追いつかない場合、もう1台追加することで生産能力が倍増し、全体のスピードが大幅に改善される可能性があります。これは、特に生産量の急増や季節需要に対応する際に有効です。
自動化や技術の導入
手動作業が多い部分では、自動化がボトルネック解消に直結することがあります。例えば、データ入力や検品作業など、人の手がかかる工程をソフトウェアやロボットで自動化することで、大幅な効率改善が見込めます。これは単に速度を上げるだけでなく、人的ミスの削減にもつながり、全体の品質向上にも貢献します。
ボトルネックの効果的な管理
ボトルネックは、常に発生する可能性があるため、一度解消しても、
その後の管理が重要です。以下の方法で、ボトルネックが再び発生するのを防ぐことができます。
定期的なチェックとメンテナンス
プロセスや機械の状態を定期的にチェックし、
問題が発生しそうな部分を事前に改善することで、ボトルネックが発生する前に対策を取ることができます。
柔軟なリソース管理
需要が変動する場合、リソースを柔軟に調整できるようにしておくことが重要です。
例えば、急な需要の増加に対応するために、臨時の作業員を雇うなどの対応策を準備しておくと、
ボトルネックの発生を防ぐことができます。
まとめ
ボトルネックは、業務やプロジェクト全体のアウトプット量を落とす原因となります。これを解消するためには、まず原因を特定し、その上で適切な対策を取ることが必要です。
作業手順の見直しやリソースの追加、自動化の導入など、さまざまな方法でボトルネックを解消することができます。