コンバージョン率最適化
コンバージョン率最適化(CRO)は、ウェブサイトの訪問者を効率的に購入や申し込みへ導くための重要な施策です。
ボタンデザインの変更、フォームの簡素化、ページ速度の向上、モバイル対応など、
細かな改善が大きな成果を生む可能性を秘めています。
ここでは、CROの基本概念から改善方法を解説させていただきます。
目次 [ 非表示 表示 ]
コンバージョン率最適化(CRO)とは?
コンバージョン率最適化とは、あなたのWebサイトやLP(ランディングページ)に来てくれた人が、商品を買ったり、資料請求をしたり、予約をしたりといった「目標とする行動(=コンバージョン)」をしてくれる割合を上げるための工夫や改善のことです。
たとえば、100人がページに来て、そのうち3人が商品を買った場合、コンバージョン率は「3%」になります。これを、デザインやボタンの文言、ページの構成を変えることで、5人が買うようになれば、5%になります。このように、今あるアクセスをムダにせず、成果を増やすのがCROの目的です。
なぜコンバージョン率を大切なのか?
たとえば、以下のような状況をイメージしてみてください。
- 商品ページに1日1000人がアクセス
- 購入率(コンバージョン率)が1%
- 1日の購入数は10件
これを、CROで改善して購入率を2%にできたらどうなるでしょう?
→ 同じアクセス数でも、購入数は20件になります。
つまり、広告費やアクセスを増やさずに売上が2倍になるということ。これはかなり効率のいい改善ですよね。
コンバージョン率最適化の具体的な方法
ボタンやデザインの改善
Webサイトで「購入する」「資料請求する」といったボタンは、ユーザーにとっての“最後のひと押し”となる大事なパーツです。このボタンの文言を少し変えるだけで、クリック率や購入率が大きく変わることがあります。
たとえば、ただ「購入する」と書かれているボタンを、「今すぐ購入する」「在庫わずか!購入はこちら」「送料無料で購入する」といった文言に変えてみるとどうでしょうか?
これらの文言は、ユーザーに「急いだ方がいい」「今ならお得」「安心して買える」といった印象を与え、行動を促すことができます。
「今すぐという言葉が入ると、緊急性が生まれ、迷っていたユーザーが一歩踏み出しやすくなる」というものです。
これは「心理的ハードルを下げる」効果にもつながっており、特に初めて訪れたユーザーや比較検討中のユーザーに有効です。
フォームを簡単にする
ウェブサイトで商品を購入する際、入力項目が多いと、
項目の多さを見た瞬間に面倒くさいと感じて途中で諦めてしまうユーザーが増える傾向があります。
そのため、フォームを簡素化することが効果的です。例えば、10項目あるフォームを5項目に減らすと、
途中で諦めずに購入を完了する人が増えるかもしれません。
ページの読み込み速度を改善
Webサイトを開いたときに、表示がもたついた経験は誰しもあると思います。実はそれ、コンバージョンの大きな壁になっています。
人は待たされることに非常に敏感で、特にスマートフォンなどのモバイル環境では、ページの表示が3秒以上かかると、約40%の人が離脱する可能性があるという調査があります。(参照元:Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed|Think with Google)
せっかく広告やSEOで訪問してくれたユーザーが、ページの表示スピードが遅いというだけで帰ってしまうのは、非常にもったいないことです。
読み込み速度は、「見た目」以上に「体感のスムーズさ」が重要です。画像が大きすぎる、無駄なアニメーションや動画が多い、古いサーバーを使っている、などの要因が重なると、表示が遅くなりがちです。
改善するには、画像の最適化、コードの軽量化、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)の活用、ブラウザキャッシュの設定など、技術的な取り組みが必要になる場合がありますが、Googleの「PageSpeed Insights」などの無料ツールを使えば、どこを直せばいいのかがわかりやすく提示されます。
モバイル対応の最適化
資料請求や問い合わせ、無料トライアルなど、ユーザーが情報を送信するシーンでは、入力のしやすさがコンバージョンに大きく影響します。
たとえば、資料請求フォームで「名前」「会社名」「役職」「電話番号」「住所」「業種」など、10項目近くを入力させるフォームがあったとします。このように項目が多いと、ユーザーは「めんどくさい」「あとでやろう」と思って離脱してしまう可能性が高まります。
逆に、入力項目を「名前」「メールアドレス」「電話番号」程度に絞れば、気軽に送信できる印象になります。仮説としては、入力項目が3つ以内なら、送信完了までたどり着くユーザーが1.5倍に増える可能性がある、というものです。
さらに、リアルタイムでのエラーメッセージ表示や、郵便番号から住所が自動入力される機能なども、ストレスの少ないフォーム体験を作るうえで非常に重要です。
コンバージョン率最適化の実行ステップ
STEP1:現状を知る
まずは、いまのWebサイトがどんな状態かを把握しましょう。
例えば、Googleアナリティクスやヒートマップツールを使えば、次のようなことが分かります。
・どのページがよく見られているか?
・どのページで多くの人が離れていっているか?
・ページの滞在時間はどれくらいか?
・LP(ランディングページ)の滞在時間が短い
・CTA(購入ボタン)までスクロールされていない
上記の状況が分かれば、「なにかが見にくい」「行動しづらい」などの問題が見極めることができる可能性があります。
STEP2:仮説を立てる
次に、「どうしてその問題が起きているのか?」を考えます。ここでとても役に立つのが、ヒートマップツールです。
ヒートマップを使うと、ユーザーが「どこを見て」「どこをクリックしたか」「どこまでスクロールしたか」が、色で分かるようになります。
例えば、次のようなことが分かります。
・CTAボタンが画面の下すぎて、そもそも見られていない
→「もっと上のほうに配置したほうがいいかも」と仮説を立てられます。
・目立たせたい価格情報が、スクロールしないと出てこない
→「価格をもっと上に持ってきたほうがいいのでは?」というアイデアが浮かびます。
・たくさんクリックされているのはリンクじゃない場所
→「ここはクリックできると思われている?」→「デザインを直した方が混乱しないかも」
このように、ヒートマップを使えば、ユーザーの“実際の動き”を見ながら、説得力のある仮説を立てることができます。
STEP3:実際に変えてみる
仮説ができたら、いよいよサイトを改善していきます。以下のような「小さな変更」から始めるのがポイントです。
・ボタンの色や位置を変える
・キャッチコピーをわかりやすくする
・情報の順番や見せ方を変える
そして、変更後にもう一度Googleアナリティクスやヒートマップで「成果が出たかどうか」を確認します。
例えば、以下のようなことを測定してきます。
・購入率が上がったか?
・スクロールされる量が増えたか?
・ボタンのクリック率が改善されたか?
テストの重要性
CROでは、A/Bテストという手法をよく使います。これは、同じページの異なるバージョンを作り、
どちらがより多くのコンバージョンを生むかをテストする方法です。
たとえば、ボタンの色を赤と青の2種類でテストして、どちらがクリックされやすいかを比較します。
A/Bテストを行うことで、最適なバージョンを選定し、コンバージョン率を1.2倍に改善できるかもしれません。
まとめ
「コンバージョン率最適化(CRO)」は、ウェブサイトやアプリでユーザーが購入や申し込みを
しやすくするための施策です。簡単な改善でも、結果として大きな売上増加につながることが期待できます