オンライン接客とは、店舗で接客するような対面型接客ではなく、web会議サービス、ビデオ通話サービスを活用した非体験型接客となります。現在、2020年の感染症対策をきっかけにいろいろな業界にてオンライン接客が導入されています。
アパレル業界におけるオンライン接客はどこまで進んでいるのでしょうか。オンライン接客だからこそのメリットもあれば、対面接客にようにできないデメリットもあると思います。
今回、オンライン接客の最新事情をもとに、オンライン接客におけるメリット、デメリット、導入事例を紹介させて頂きます。
目次 [ 非表示 表示 ]
アパレル業界におけるオンライン接客とは、従来の店舗での対面接客に代わりに、ビデオ通話やチャットを活用して顧客とコミュニケーションを取りながら商品提案を行うサービスです。
ECサイトでは、コーディネート提案やサイズ相談が難しいため、オンライン接客を活用することで、顧客が安心して購入できる環境を提供できます。これにより、客単価の向上や離脱率の低減が期待できるだけでなく、遠方の顧客や来店が難しい層にも対応可能になります。さらに、接客の質を高めることで、リピート購入を促し、ブランドのファンを育てる効果もあります。
一方で、導入にはITツールの導入費用やスタッフ教育のコストがかかるため、戦略的な設計が求められます。本記事では、アパレル業界のオンライン接客のメリット・デメリットや具体的な事例について解説します。
アパレル業界においてオンライン接客におけるメリットとデメリットとは何でしょうか。メリットとデメリットのそれぞれを解説させていただきます。
ECの単価アップと離脱防止による収益性の改善
ECサイトの場合、読者モデルやお店のスタッフにて着こなしや着回しについて写真をサイト上にアップして購入を促すことも多々あると思います。ただ、服の着回しに自信の無い方やもっと新しい組み合わせを知りたい方、今持っている服とどのように組み合わせたら良いのかなどを知るにはECサイトでは難しいのが現状でした。そのため、このような疑問を持ってしまうと、ECサイトを離脱して実際の店舗に行くのか、もしくは他のサイトに訪問して何かを買われてしまうというのが実情でした。
しかし、オンライン接客を活用し、販売スタッフが着回しコンシェルジュとして対応することで、こうした課題を解決できるようになります。
商品点数が多く、服の組み合わせが重要視されるアパレル業界において、オンラインで気軽に相談できる環境は、顧客満足度の向上にも大きく貢献します。さらに、旬なカラーと手持ちの服の組み合わせや、トータルコーディネートの提案ができることで、客単価の向上にもつながります。
ファン顧客への育成とリピート購入の促進
対面接客の大きなメリットは、スタッフとお客様の間に人間関係を築ける可能性があることです。店舗スタッフと親しくなることで、同じ店舗でリピート購入する可能性が高まります。接客において、「良い接客をしてくれたお店で買いたい」「感じの良かったスタッフとまた話したい」と思ってもらうことは非常に重要です。
こうした顧客との関係構築は、従来のECサイトでは実現が難しいものでした。しかし、オンライン接客を活用すれば、物理的な接点がない分、五感をフルに使った接客は難しいものの、1対1でのコミュニケーションが可能になるため、特別感を演出しやすく、気兼ねなく相談できる環境を提供できます。
店舗では、他のお客様の存在が気になったり、「こんなことを聞いても大丈夫かな」と遠慮してしまうことがありますが、オンライン接客ならそうした心理的ハードルを下げることができます。
さらに、店舗での接客に満足したお客様に対し、同じスタッフがオンラインで対応することで、顧客のロイヤリティをより一層高めることができます。このように、オンラインとオフラインの接客を融合させることで、より効果的にファン顧客を増やしていくことが可能になります。
店舗がないエリアにて接客が可能
店舗のように商圏が存在しないECサイト上でオンライン接客の予約窓口を設けることで、サイト訪問者がどこに住んでいても接客ができるようになります。だから、今まで接客できずに取りこぼしていた層をオンライン接客にて積極的にアプローチ出来れば、今までECサイトで購入しなかった方が商品を購入してくれる可能性が高まります。
また、接客を受けて購入したいという層に対してもオンライン接客は魅力的なので、このような層を集客することが出来るようになります。
人件費最適化による収益性の向上
お店の閑散期や来店が少ない時間帯に対して思い切ってオンライン相談に対して人員を割り振ることができれば、人件費の最適化による追加コストが発生することなく収益アップにもつながります。
オンライン接客提供する顧客体験
オンライン接客だからといって、手を抜いてよいということは決してありません。むしろ、オンラインだからこそ、より一層注意すべき点が多くあります。
例えば、実店舗で高い満足度を提供しているスタッフによるオンライン接客を実施し、オンラインと実店舗を融合した顧客体験を作ることができます。また、オンライン会議ツールを活用し、人気スタッフによるリアルタイムのトークショーやお悩み相談を行うなど、さまざまな方法で顧客に価値を提供することが可能です。
こうした幅広い可能性があるからこそ、オンライン接客の設計は非常に重要です。設計を誤ると、満足度の高い接客が提供できず、結果として顧客満足度の低下につながる恐れもあります。そのため、しっかりと検討し、最適な形でオンライン接客を導入することが求められます。
オンライン接客のための初期投資と運営費
オンライン接客を提供するには、さまざまなデジタルツールを活用する必要があります。無料のサービスだけで運用できるのが理想ですが、実際には多くの場合、有償のツールを使用することになります。そのため、初期導入費用や月々の利用料が発生します。
また、外部コンサルタントに初期設計を依頼すると、さらにコストがかかるため、導入前にオンライン接客のメリットを十分に検討することが重要です。費用対効果を考慮しながら、最適な導入方法を選択する必要があります。
スタッフに対する教育投資
オンライン接客では特有のスキルが必要なってきます。店舗とオンラインでの接客は、友に双方向のコミュニケーションですが、伝わり方が若干変わってきます。また、アパレルの場合、実際に試着ができないので、それに変わる接客の仕方を絶えず研究しないといけません。そのため、オンライン接客にあった接客の仕方を学ぶ必要があるのため、ここでも費用が発生します。
アパレル業界でのオンライン接客は、ECサイトでの購入を促すことにおいて補完的なサービスとして非常に相性が良いです。その理由として、服の素材感やサイズについて詳しく知ることや、今持っている服との組み合わせをどうすればいいのかという悩みに対して相談することができれば、コンバージョン率が上がる可能性が非常に高いだけでなく、満足のいく服を買うことができるからファン化する可能性が高いです。
そのため、ファッションブランド各社は、オンライン接客が標準化しつつあります。アパレル業界における具体的な事例を紹介させていただきます。
ファッション オンライン接客事例:ベイクルーズ
ベイクルーズにて運営するファッションブランドJOURNAL STANDARD、EDIFICE、EMILY WEEK、Spick and Spanにて、「Online Styling Service」という名称でオンライン接客サービスを提供しております。
具体的には、Zoomを活用したファンションのスタイリングについての相談ができます。対象はどなたでもOKで、予約制で60分間自宅からOne to Oneでファッションアドバイスを受けられるので人気のあるサービスとなります。
ベイクルーズ「Online Styling Service」
引用元:ベイクルーズ公式サイト
ファッション オンライン接客事例:オンワード
画像引用元:オンワード公式サイト
このオンラインサービスでは、23区のスタッフが、素材やサイズ感、着心地や着回し・コーディネーションなどを相談しながらお好きな時間にショッピングを楽しむことができます。予約をしていただき、スマホやパソコンにてスタッフとネット上でつないでいただき、オンライン接客を受けることができます。
ファッション オンライン接客事例:GUCCHI
ラグジュアリーブランドであるGUCCHIも「ビデオアポイントメントサービス」によるオンライン接客を展開しております。専任のグッチのアドバイザーがビデオ通話を利用して製品を紹介します。ビデオ通話によるオンライン接客意外にも、メールやチャットでも商品やサービスについて対応しております。間口を拡げることにより、いつでも対応できる体制を構築しているとのことです。
引用元:GUCCHI 公式サイト
ファッション オンライン接客事例:ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンでは完全予約制にてオンライン接客サービスを提供しております。Zoomやマイクロソフトのteamsを活用して多様なショッピング・エクスペリエンスを提供する一環で行っており、専任のアドバイザーが対応しているとのことです。
画像引用元:ルイ・ヴィトン 公式サイト
ファッション オンライン接客事例:ORIHICA
ORICHICAではLINEのビデオ通話を使って「リモートスタイリングサービス」という名称にてオンライン接客サービスを提供しております。メンズとレディースとで担当者が分かれます。コーディネートや着心地やサイズだけでなく、洋服のお手入れや装いのマナーまでも相談できるので、始めてスーツを着るもしくは買う際には非常に心強いサービスとなります。また、ちょっとした相談事を少しだけしたい方には、チャットによる接客もできるようにしております。お客様の用途に合わせて受けたいオンライン接客を用意しております。
画像引用元:ORIHICA 公式サイト
アパレル業界におけるオンライン接客の事情について紹介させていただきました。商品アイテムが多いアパレル業界にてオンライン接客を提供することは、スタイルコーディネートや着心地やサイズを確認したいお客様にとって非常に有意義であります。ラグジュアリーブランドまでOne to Oneで体験できるオンライン接客を提供してきております。