事業を成長させるうえで「どうやってユーザーを集め、使い続けてもらい、最終的に売上につなげるか」という問いは、すべての企業に共通する課題です。広告やSEOで集客しても、継続して利用されなければ利益は出ません。そこで役立つのが AARRRモデルです。
AARRRモデルは、ユーザーとの関係を「集客・初体験・継続・紹介・収益化」という5つの段階に整理し、それぞれを改善することで成長のボトルネックを見つけやすくします。
本記事では、各段階の具体的な指標や改善策、国内外の事例、実践で使えるチェックリストまで網羅的に解説します。あなたのビジネスにすぐ役立つ実践的な内容をぜひ取り入れてください。
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AARRRモデルとは、スタートアップやWebサービスの成長を体系的に分析し、改善していくためのフレームワークです。シリコンバレーの著名な投資家であるデイヴ・マクルーア氏が提唱したもので、「Pirate Metrics(海賊指標)」とも呼ばれています。これは、各段階の頭文字を並べると「AARRR」と発音できることに由来しています。
AARRRは以下の5つのステージを表しています。
・Acquisition(ユーザー獲得)
・Activation(アクティベーション/初回体験)
・Retention(継続利用/定着)
・Referral(紹介・口コミ)
・Revenue(収益化)
これらを一連の流れとして最適化していくことで、効率的に事業を成長させることができます。従来の「ユーザー数の拡大」だけに偏らず、ユーザーの体験価値や収益性まで含めて設計できるのがAARRRモデルの大きな強みです。
全体像の可視化
AARRRモデルの最大の価値は、顧客の獲得から収益化までの流れを5つのステージに分解して可視化できる点です。従来は「広告でユーザーを集めること」や「売上を伸ばすこと」といった部分的な成果だけが注目されがちでした。
しかし実際には、どの段階でユーザーが離脱しているか、あるいは収益に結びついていないのかを正確に把握しなければ、本質的な成長は望めません。
AARRRを用いることで、ファネルのボトルネックを特定し、「今、どこを改善すべきか」を明確にできるのです。
KPI設計のしやすさ
各ステージには、成果を測定するための明確な指標が設定できます。たとえば、AcquisitionではCPAやCVR、Retentionではチャーン率やNPSといったように、段階ごとに異なるKPIを設定することができます。
これにより、部署ごとの目標がバラバラにならず、マーケティング、開発、営業、カスタマーサクセスといった全社横断的なチームが共通のゴールを共有できます。
さらに、KPIが明確であれば、定期的なレビューや改善サイクルもスムーズに進み、データドリブンな意思決定が可能となります。
施策の優先順位付け
事業成長には限られたリソースと予算しか投入できません。AARRRモデルを導入することで、データに基づいて「どのステージを優先的に改善すべきか」を判断できます。
たとえば、新規ユーザー獲得(Acquisition)が順調でも、継続利用(Retention)が低ければLTVは伸びません。この場合、広告費を増やすよりも、オンボーディング改善やプッシュ通知の最適化に投資した方が効率的です。
このように、AARRRは施策の投資対効果を見極め、経営資源の配分を合理化する指針となります。
短期的な成果に直結しにくい場合がある
特にRetentionやReferralは成果が出るまでに時間を要することが多く、短期的な売上を重視する経営環境では軽視されがちです。
たとえば、継続率改善のためにプロダクトを改修しても、数か月〜半年後にならなければデータが見えてこないケースもあります。そのため、AARRRモデルの実践には「中長期的な視点」が不可欠です。
一部の指標に偏るリスク
AARRRは便利なフレームワークですが、特定の指標ばかりに注目しすぎると全体最適が崩れます。典型的なのはAcquisitionへの偏重です。広告出稿でユーザー数を急増させても、ActivationやRetentionが弱ければ投資は無駄になります。
つまり、AARRRは「どの指標もバランスよく改善していくこと」が前提条件となります。
適用の難易度
AARRRは万能ではなく、業種やビジネスモデルによって適用方法が変わります。たとえばBtoB SaaSでは契約更新率やアップセルが重視される一方、メディアでは滞在時間や広告収益が重要です。
ECの場合は購入頻度や客単価がKPIの中心となります。このように、同じフレームワークでも業態によって解釈が異なるため、汎用的に適用するのは容易ではありません。自社の事業特性を踏まえてカスタマイズしなければ、期待した成果は得られないでしょう。
AARRRモデルは、ユーザーとの関係性を「獲得から収益化」までの一連の流れに整理したフレームワークです。それぞれのステージは単独で存在するのではなく、互いに連動し、最終的な事業成長へとつながっていきます。ここでは、各ステージの意味と実務におけるポイントを詳しく解説します。
Acquisition(獲得)
Acquisitionは「新規ユーザーをどう獲得するか」を扱う段階です。一般的な手法には以下があります。
・広告
検索連動型広告、SNS広告、ディスプレイ広告など。即効性が高い反面、コスト最適化が課題です。
・SEO(検索エンジン最適化)
中長期的に安定した流入を獲得できる重要な施策。記事コンテンツやホワイトペーパーを通じたオーガニック流入も含まれます。
・SNSや口コミ
UGC(ユーザー生成コンテンツ)やシェアを通じた自然流入は信頼度が高く、費用対効果も優れます。
このステージのゴールは「サービスに関心を持った見込みユーザーを効率的に呼び込むこと」です。単なる流入数ではなく、後続のActivationにつながる“質の高いユーザー”を獲得できるかどうかが重要です。
Activation(活性化)
Activationは、ユーザーが初めてサービスを体験し「価値を実感した」と感じるフェーズです。ここでの体験がポジティブでなければ、その後の継続利用は期待できません。
例として、ECサイトであれば「商品を簡単に見つけて購入できた体験」、SaaSなら「トライアル登録後すぐに主要機能を利用できた体験」が該当します。
Activationを改善することでRetention率が大きく伸び、LTV向上に直結します。
Retention(継続)
Retentionは、ユーザーがどれだけ継続的にサービスを利用し続けるかを測定する段階です。AARRRの中でもっともLTVに直結する重要なステージと言えます。
Retentionを改善するには、プッシュ通知やメールマーケティング、カスタマーサポートの充実、UI/UX改善などが有効です。顧客が「このサービスは手放せない」と感じる状態を作れるかどうかが勝負どころです。
Referral(紹介)
Referralは、既存ユーザーが他の人にサービスを紹介し、新規ユーザー獲得につながる仕組みを指します。広告費をかけずに新規顧客を獲得できるため、グロースにおいて非常に効率の良いフェーズです。
Referralをうまく設計できれば「口コミが口コミを呼ぶ好循環」が生まれ、広告費に頼らない成長基盤が構築されます。
Revenue(収益化)
Revenueは、最終的に収益を最大化する段階です。ユーザーが実際にお金を支払い、事業の持続性を支えるフェーズにあたります。
収益化の方法は事業モデルによって異なります。
・SaaS:月額・年額課金、アップセル、クロスセル。
・EC:単価向上、定期購入、関連商品のバンドル販売。
・メディア:広告収益、スポンサーシップ、課金コンテンツ。
ここでのKPIはARPU(1ユーザーあたりの売上)、ARPPU(課金ユーザーあたりの売上)、LTVなどです。収益化を強化する際には、単なる価格改定だけでなく、提供価値を高める戦略が求められます。
AARRRモデルは、概念として理解するだけでは効果を発揮しません。重要なのは、自社の事業に合わせて具体的な手順を踏み、実際の運用に落とし込むことです。ここでは、AARRRモデルを導入するための代表的な5つのステップを解説します。
1. ペルソナ設計と価値提案の明確化
最初のステップは「誰に価値を届けるのか」を明確にすることです。
実務のポイント
・ペルソナ設計:年齢、職業、趣味、課題、情報収集経路などを具体的に描く。
・課題の把握:ペルソナが日常で直面する「不便」「不満」「未充足ニーズ」を特定。
・価値提案(Value Proposition):その課題に対して、自社サービスがどんな独自価値を提供できるかを定義。
ペルソナと価値提案が曖昧なままAARRRを導入しても、KPIは形骸化してしまいます。最初に「誰に何を届けるか」を定義することで、以降の施策が一貫性を持つようになります。
2. カスタマージャーニーマップ作成
次に、ペルソナがどのようにサービスと接点を持ち、体験を積み重ねていくかを「見える化」します。
実務のポイント
・接点の整理:広告・SNS・検索・口コミなど、ユーザーがサービスに触れるポイントを洗い出す。
・感情の変化:各接点でユーザーが感じる期待・不安・満足をマッピング。
・障害の特定:離脱しやすいポイントや体験の不満を明確化。
このジャーニーマップがあれば、「AcquisitionからRevenueまでのどこに課題があるか」が直感的に分かります。さらに、各ステージの施策を統合的に設計できるため、部門ごとの取り組みがバラバラになるリスクを防げます。
3. イベント計測設計とタグ実装
AARRRモデルを実務で運用するには、ユーザー行動をデータとして正しく計測できる基盤が必要です。
実務のポイント
・イベント設計:どの行動を追跡すべきかを定義(例:アプリDL、会員登録、商品閲覧、購入完了)。
・計測ツールの活用:Googleアナリティクス4、Firebase、Mixpanel、Amplitudeなどを導入。
・タグ実装:GTM(Googleタグマネージャー)を用いて正確にイベントを発火させる。
計測が正確でなければ、どのステージにボトルネックがあるのかを特定できません。AARRRの成否は、この基盤整備にかかっているといっても過言ではありません。
4. 各ステージのKPI設定と施策実行
計測基盤が整ったら、いよいよKPIを設定し、施策を実行します。
実務のポイント
・Acquisition:CPA、CVR、チャネル別流入数。
・Activation:オンボーディング完了率、初回アクション率。
・Retention:リテンション率、チャーン率、NPS。
・Referral:紹介率、招待経由登録数、SNSシェア数。
・Revenue:ARPU、ARPPU、LTV、LTV/CAC比率。
施策の例として、Acquisitionでは広告運用改善、ActivationではUI改善やガイド設計、Retentionではプッシュ通知最適化、Referralでは紹介キャンペーン設計、Revenueでは価格改定やアップセル提案などが挙げられます。
5. 定期的なレビューと改善サイクル
AARRRモデルは「一度設計して終わり」ではありません。定期的にKPIをレビューし、改善サイクルを回すことが不可欠です。
実務のポイント
・レビュー頻度:スタートアップや新規事業では週次、大規模事業では月次が目安。
・ダッシュボード活用:Looker StudioやBIツールでKPIを可視化し、関係者全員が共有。
・仮説検証サイクル:課題を特定 → 仮説を立てる → 施策実行 → データ分析 → 改善案を再設計。
このサイクルを回すことで、AARRRモデルは単なる分析フレームワークから「事業を成長させるエンジン」に進化します。
AARRRモデルを実務に落とし込む際に最も重要なのは、各ステージに適切な指標を設定し、定期的にモニタリングすることです。ここで誤ったKPIを設定すると、施策の方向性がずれ、期待した成果が得られません。以下では、5つのステージそれぞれに適した指標と計測方法を解説します。
Acquisition(獲得)の指標と計測
Acquisitionは「どれだけ効率的に新規ユーザーを呼び込めているか」を把握する段階です。
主な指標
・CPA(Cost Per Acquisition):1ユーザー獲得あたりのコスト。
・CVR(Conversion Rate):訪問者のうち、会員登録や購入に至った割合。
・流入チャネル別トラフィック:広告、SEO、SNS、リファラルなど、チャネルごとの流入数。
計測方法
・Googleアナリティクス4を活用し、チャネル別の流入数やコンバージョンを追跡。
・広告プラットフォーム(Google広告、Meta Adsなど)からCPAを算出。
・SEO施策では、検索順位やクリック率(CTR)、オーガニック流入数をモニタリング。
Acquisitionは「量」だけでなく「質」が重要です。登録しただけで離脱するユーザーを多く獲得しても意味がなく、後続のActivationやRetentionにつながるユーザー獲得に焦点を当てる必要があります。
Activation(活性化)の指標と計測
Activationは、ユーザーが初めてサービスの価値を体感する段階です。オンボーディング設計が成果を左右します。
主な指標
・オンボーディング完了率:登録から初回利用まで完了した割合。
・初回アクション率:サービスのコアとなる行動を実行した割合(例:初回購入、最初の投稿、初回アップロード)。
・DAU/MAU(アクティブ率):日次や月次でどれだけ利用しているか。
計測方法
・アプリ解析ツール(Firebase、Mixpanel、Amplitude)でユーザー行動をイベント単位で追跡。
・ファネル分析で「登録→ログイン→初回利用」のどこで離脱しているかを把握。
Activationの改善は、Retentionに直結します。たとえばECでは「初回購入までの導線改善」、SaaSでは「無料トライアル中の機能活用率向上」が代表的な施策です。
Retention(継続)の指標と計測
Retentionはユーザー定着を測る段階で、LTV向上の中心的な要素です。
主な指標
・リテンション率:一定期間後に再度利用しているユーザーの割合(例:Day7、Day30リテンション)。
・チャーン率:一定期間で解約・離脱したユーザーの割合。
・NPS(ネットプロモータースコア):顧客満足度を測る指標。
計測方法
・コホート分析:登録月別に追跡し、継続利用の傾向を可視化。
・アンケートやユーザーインタビュー:離脱理由を把握し、改善に反映。
・通知・CRMツールを活用し、適切なタイミングで再利用を促進。
Retentionは単なる「継続率」ではなく、「継続理由の解明」が肝です。ユーザーが「また使いたい」と思う理由を明確にし、その体験を強化することが重要です。
Referral(紹介)の指標と計測
Referralは既存ユーザーによる新規ユーザー獲得を可視化する段階です。
主な指標
・紹介率:既存ユーザーのうち、紹介行動を起こした割合。
・招待経由の新規登録数:紹介リンクやコードからの流入数。
・SNSシェア数・口コミ投稿数:UGCの発生状況。
計測方法
・紹介コード・招待リンクの発行で紹介元を追跡。
・SNS分析ツールでシェア数やエンゲージメントを可視化。
・レビュー・口コミサイトのモニタリングでUGC発生状況を把握。
Referralは「自発的な口コミ」と「仕組み化された紹介施策」の両輪で強化する必要があります。たとえば「友達を招待すると双方に特典」が代表的な施策です。
Revenue(収益化)の指標と計測
Revenueは、事業の持続性を支える最終フェーズです。
主な指標
・ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)
・ARPPU(課金ユーザーあたりの平均売上)
・LTV(顧客生涯価値)
・CAC(顧客獲得単価)との比率:LTV/CAC比率が3以上であることが理想とされる。
計測方法
・決済システムやCRMツールで売上データを収集。
・サブスク事業ではチャーン率と組み合わせたLTV計算。
・EC事業ではRFM分析(Recency, Frequency, Monetary)で顧客セグメント別の収益性を把握。
Revenueを最大化するには、単なる価格設定ではなく「アップセル・クロスセル設計」「サブスクリプション継続率改善」など、提供価値を高める施策が欠かせません。
BtoCアプリ/EC施策
クーポン配布(Activation / Retention施策例)
初回利用を促すクーポンはActivationに、リピート促進クーポンはRetentionに作用します。ユーザーが「最初の体験をお得に感じる」ことが、その後の定着につながります。
レビュー投稿促進(Referral施策例)
レビューは信頼性を高め、新規ユーザー獲得のきっかけとなるためReferralに該当。既存ユーザーを「紹介者」に転換する施策です。
カゴ落ち通知(Retention / Revenue施策例)
離脱したユーザーを再度呼び戻す点でRetention、実際の購入完了を促す点でRevenueに貢献します。
パーソナライズドレコメンド(Revenue / Retention施策例)
関連商品の提案によるアップセル・クロスセルはRevenue向上、ユーザー体験の最適化による再利用促進はRetention改善に作用します。
BtoB /SaaS施策
ウェビナー開催(Acquisition / Retention施策例)
見込み顧客獲得はAcquisition、既存顧客の理解促進はRetentionに寄与します。
フリートライアル改善(Activation施策例)
無料期間で「価値を体感できる」ように設計することはActivationそのもの。初回体験の質を高めます。
契約更新率向上施策(Retention / Revenue施策例)
利用継続を支援するのはRetention、長期的な契約維持やアップセルにつながる点でRevenueにも直結します。
顧客成功事例の公開(Acquisition / Referral施策例)
新規見込み客に「このサービスは効果がある」と伝えることでAcquisitionを強化、既存ユーザーが事例を共有することでReferral効果も発揮します。
メディア/サブスクリプション施策
記事レコメンド(Retention施策例)
関連コンテンツ提示により滞在時間や訪問頻度が増え、ユーザー定着を促進します。
メールマガジン強化(Retention / Activation施策例)
既存ユーザーの継続利用を維持するのはRetention、新規登録ユーザーが習慣的に利用を始める入口にもなるためActivationにも関与します。
広告最適化(Revenue施策例)
CTRやeCPMの改善は直接的に広告収益を最大化するRevenue施策です。
限定コンテンツ・会員特典(Revenue / Retention施策例)
課金率を高めるのはRevenue、有料会員に特典を与えることで「解約しにくい理由」を作りRetention向上にも効果があります。
Q1. AARRRモデルはどのような企業に向いていますか?
AARRRモデルは、スタートアップから大企業まで幅広く活用できます。特にWebサービスやアプリ、SaaS、ECなど「ユーザー行動がデータとして追える事業」に最適です。ただし、BtoBやオフライン中心の事業でも、カスタマージャーニーを整理するフレームワークとして応用可能です。
Q2. AARRRとマーケティングファネルの違いは何ですか?
マーケティングファネルは主に「認知→興味→検討→購入」という流れを示すのに対し、AARRRは「獲得から収益化」までの全体像をデータドリブンで改善する点に特徴があります。特にRetention(継続)やReferral(紹介)を重視している点で、単なる獲得重視のファネルモデルよりも実務的で成長戦略に直結します。
Q3. 各ステージのKPIはどのくらいの頻度で確認すべきですか?
スタートアップや新規サービスの場合は週次でのチェックが理想的です。一方で大規模事業や安定期にあるサービスでは、月次または四半期ごとのレビューでも十分です。重要なのは「改善サイクルを止めないこと」であり、少なくとも月次での振り返りは欠かせません。
Q4. Retentionが低いときはどの施策を優先すべきですか?
Retentionが低い場合、まずはユーザーインタビューやアンケートで「離脱理由」を把握することが第一歩です。そのうえで、オンボーディング体験改善、通知やリマインド施策、UI/UX改善、カスタマーサクセス支援などを優先的に行います。短期的に広告でユーザーを増やすより、既存ユーザーの定着改善の方がLTV向上に大きく貢献します。
Q5. Referralを強化するにはどうすればよいですか?
紹介プログラムの設計がもっとも効果的です。「友達を招待すると双方に特典がある」など、インセンティブを明確にすることがポイントです。さらに、SNSで自然にシェアしたくなるUIを設計したり、レビュー投稿を促進することでReferralが強化されます。
Q6. AARRRはBtoBにも適用できますか?
はい。BtoB SaaSでは特に有効です。Acquisitionはウェビナーや展示会、Activationはフリートライアル体験、Retentionは契約更新率、Referralは既存顧客からの紹介、Revenueはアップセルやクロスセルといった形で整理できます。カスタマージャーニーが長いBtoBこそ、AARRRを活用することでボトルネックを明確にできます。
Q7. AARRRモデルを導入する際の最初のステップは?
まずは「ペルソナと価値提案」を明確にし、カスタマージャーニーを描くことから始めましょう。そのうえで、各ステージに沿ってイベント計測を設計し、ツールを導入してデータを収集するのが基本的な流れです。指標設計や改善サイクルはその後に続きます。
Q8. AARRRを既存のKPI設計にどう組み込めばよいですか?
すでにKPIを運用している場合でも、AARRRのフレームに当てはめて再整理することで抜け漏れが見つかります。たとえば「獲得数や売上は追っているが、紹介(Referral)の指標がない」といった気づきが得られるはずです。その際は既存KPIをAARRRの各段階にマッピングし、必要に応じて追加・修正を行います。
AARRRモデルは、Acquisition(獲得)からRevenue(収益化)までの5ステージで事業成長を体系的に捉える強力なフレームワークです。各段階に適切な指標を設定し、データを活用して改善サイクルを回すことで、ユーザー獲得だけでなく定着や収益化まで一貫して最適化できます。
BtoCアプリ、BtoB SaaS、メディアといった幅広い業態で応用可能であり、グロース施策や分析ツールを組み合わせることで再現性のある成長戦略を構築できます。
短期的な成果だけでなく、持続的な事業成長を実現するために、AARRRモデルを自社に合わせて導入・実践していきましょう。