中小企業のマーケティング責任者や大手企業でマーケ経験のある担当者にとって、営業目標を達成するための 「フィールドセールス」 の効果的な活用は大きな課題ではないでしょうか。
オンラインでの非対面営業が普及する一方、高額商材やBtoBビジネスでは依然として対面での信頼関係を構築してニーズをヒアリングしながら営業をしていく必要があります。
2024年の調査では営業組織の53.3%が「訪問営業(対面)の方がリモート営業より好ましい」と回答しています。
(参照元:hubspot.jp 日本の営業に関する意識・実態調査2024の結果をHubSpotが発表)。
しかし、フィールドセールス単独では非効率になりがちな面もあり、インサイドセールスやマーケティングとの連携が成功のカギを握ります。
本記事ではフィールドセールスとは何かの基本から、インサイドセールスとの違い、さらには メリット・デメリット、フィールドセールス担当者に求められるスキルやマインドセット、最新テクノロジーの活用法、オンライン商談のトレンド、組織立ち上げ・強化のメソッドなどを紹介させていただきます。
記事の最後には、すぐに実践に役立つチェックリストやテンプレートをまとめたホワイトペーパーのご案内もありますので、ぜひ最後までお読みください。
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フィールドセールスとは、一言でいうと訪問営業のことです。営業担当者が自社オフィスの外、つまり顧客のもとに直接出向いて対面で商談を行う営業スタイルを指します。インサイドセールス(内勤営業)が電話やメール、Web会議など非対面でリード獲得や育成を行うのに対し、フィールドセールスは対面でのコミュニケーションを主体として商談を進め、受注に向けた意思決定を後押しする役割を担います。対面といっても近年はオンライン会議も含みますが、「顧客と直接対話し信頼関係を築く営業」がフィールドセールスの本質です。
フィールドセールスでは以下のようなも業務を担います。
提案・商談の遂行
顧客のニーズを聞き出して、そのニーズに合うように提案内容をカスタマイズし、自社製品・サービスの価値を伝えます。複数の関係者が意思決定に関与する場合が多いので、それぞれのステークホルダーに合わせて資料を作成し説明をしていきます。そしてクライアント社内の調整も支援します。価格交渉や契約条件のすり合わせなどクロージング(受注獲得)に向けた交渉も担います。
アフターフォロー・継続支援
成約後も定期的に顧客を訪問または連絡し、導入した製品・サービスの利用状況を確認します。顧客が十分に価値を得られるよう追加支援を行うほか、満足度を高めるフォローアップを実施します。さらにはアップセル(上位プランや追加サービスの提案)やクロスセル(関連商品の提案)の機会を探り、長期的な取引拡大を目指します。
そのため、フィールドセールスは 単に「物を売って終わり」ではなく、顧客のビジネスパートナーとして長期的関係を築いていく役割を果たします。BtoBの高額商材・ソリューションでは、顧客企業の経営課題に踏み込みながら解決策を共に考えるコンサル的な役割が求められる場合もございます。顧客 vs 営業という構造ではなく、顧客の課題に対して一緒に伴走して課題を解決していくという同士のような関係を築いていく必要があります。
インサイドセールス(内勤営業)との違いを整理すると、主に 「営業手法(対面か非対面か)」 と 「営業プロセスにおける役割」 の2点に分けられます。
営業手法の違い
フィールドセールスが顧客先への訪問や対面での商談(最近ではWeb会議含む)を中心とするのに対し、インサイドセールスはオフィス内で電話・メール・SNS・オンラインイベントなどを駆使して顧客と接点を持ち、顧客の商品サービスの購買意欲を上げるような活動をしていきます。
フィールドセールスが足を使う営業であるのに対し、インサイドセールスはデジタルツールを使う営業です。両者は手法こそ異なりますが、目的は共に自社の商品・サービスを顧客に提案し、課題解決することにあります。
役割の違い
一般的に、インサイドセールスは 営業プロセスの前半部分 を担います。具体的にはマーケティング部門などから提供された見込み顧客リストに対し、電話やメールでアプローチして興味喚起を行ったり、問い合わせや資料ダウンロードのあった潜在顧客と初回コンタクトを取ったりします。
こうして商談につながりそうな有望な見込み客(商談機会)を創出し、温度感が高まった段階でフィールドセールスに引き継ぐのがインサイドセールスの役割です。一方、フィールドセールスは 営業プロセスの後半部分、すなわち具体的な商談の進行からクロージング(契約獲得)までを担当するケースが多いです。
インサイドセールスが「顧客を育てる役割」、フィールドセールスが「育った商談を成約に導く役割」と言い換えることもできます。
両者はこのように明確な役割分担がありますが、分業することで営業効率を高め専門性を発揮できるメリットがあります。インサイドセールスはリードナーチャリング(見込み客の育成)に特化し、フィールドセールスはクロージングに専念することで、それぞれノウハウを蓄積しやすくなるためです。一方で、顧客視点では途中で担当者が変わることに違和感を覚えるケースもあり得ます。そのためスムーズな引き継ぎや部門間の連携が重要となります。
インサイドセールスを更に知りたい方は、「インサイドセールスとは?フィールドセールスとの違い、構築ロードマップ、 運用指標などを紹介」をご覧になってください。
フィールドセールスには、以下のような対面営業ならではの強みやメリットがあります。
非言語情報から真のニーズを汲み取れる
顧客と実際に会って対話することで、表情や声のトーン、仕草などの非言語コミュニケーションから微妙なニュアンスを感じ取ることができます。
顧客が明言しなくても困っていそうなポイントや本音の関心事を察知しやすくなるので、潜在的なニーズを引き出せやすくなります。メールや電話だけでは気づけない顧客の本音を対面だからこそ掴みやすいのは大きなメリットになります。
信頼関係を構築しやすい
人は顔を合わせて話すことでより親近感や信頼感を抱く傾向があります。特に何度も訪問して丁寧にフォローすることで、「この営業担当者は自社のことをよく理解してくれている」「信頼できるビジネスパートナーだ」と顧客に思ってもらいやすくなります。
BtoBの大型案件では人間同士の信頼が意思決定を左右することも多く、フィールドセールスの継続的な訪問活動は強固なリレーション構築につながります。
現場で課題を直接発見し解決策を提案できる
顧客企業を実際に訪れることで、そのオフィスや工場など現場の状況を直接見られるというメリットもあります。
例えば、工場の生産ラインを見学して課題を見つけ、その場で自社ソリューションの適用方法を提案するといったことが可能となってきます。顧客も「自分たちの現場を理解した上で提案してくれている」と感じれば、提案に対する納得感が高まります。机上ではなく現場発の提案ができるのは訪問営業ならではの強みとなります。
意思決定プロセスを把握しやすい
対面商談では、時に複数の部署・担当者が同席する場合もあります。その場で各担当者の反応を見ることで、組織内の誰がキーパーソンか、決裁者は誰か、といった顧客企業の意思決定フローを掴みやすくなります。
また訪問時に社内の雰囲気を感じ取ることで、社風や決裁に時間がかかりそうかどうか等も推測できます。これらは後の提案戦略を練る上で大いに役立ちます。
競合動向や市場情報を直接収集できる
顧客と話す中で、他社の提案状況や競合製品に対する評価など、市場の生の声を聞けることがあります。フィールドセールスはこのような現場の情報収集源としての役割も果たし、自社のマーケティング戦略や製品改善にフィードバックすることで組織全体の競争力向上にも貢献します。
以上のように、フィールドセールスは「人に会う」ことで得られる情報と信頼を最大限に活用できる点が大きな強みです。特に高額・複雑な商材の営業には不可欠な存在と言えるでしょう。対面ならではの強みを活かし、インサイドセールスやデジタル施策ではカバーしきれない部分を補完するのがフィールドセールスの価値となっています。
一方で、フィールドセールスには以下のようなデメリットや課題も存在します。これらを理解し、適切に対策することが重要です。
非効率になりがち
一人の営業が1日に訪問できる件数には物理的な限界があります。移動時間がかかるため、電話やメールを駆使するインサイドセールスに比べるとどうしてもリーチできる顧客数が限られるのです。
実際、フィールドセールスでは担当者が訪問できる顧客数に限りがあり、対応しきれない分を補うために人員を増やすと人件費が大きく膨らむという課題があります。営業規模を拡大しにくい点という観点ではフィールドセールスの構造的なデメリットと言えます。
コストが高い
訪問には交通費や出張費などの経費がかかり、また移動や商談に時間を費やすため1件あたりの獲得コストが高くなりがちです。特に遠方の顧客や訪問頻度が多い場合、コスト負担は無視できません。上司や経営層から「費用対効果に見合っているのか?」と指摘を受けるケースもあり、フィールドセールスは常に効率と費用対効果を意識した動きが求められます。
属人的になりやすい
フィールドセールスは担当者個人のスキルや裁量に任される範囲が大きく、優秀な営業は突出した成果を上げる一方で、そうでない場合は結果が出にくいというばらつきが生じやすいです。
経験やカンに頼った営業になり、組織としてノウハウが蓄積しづらい側面もあります。また、一人の担当者が顧客関係を握ってしまうと、その人が異動・退職した際に顧客との関係性が途切れるリスクも考慮しておく必要があります。
リードタイムが長い
対面で関係構築して大きな商談をまとめるには時間がかかることも多く、短期間で成果を出すのが難しい場合があります。とくに新規開拓では訪問までのアポ取りに苦労したり、訪問から受注まで何ヶ月も要したりするケースも珍しくありません。成果が出るまでのリードタイムが長期化しやすい点もフィールドセールスの課題です。
分業時の課題
先述のようにインサイドセールスと分業する場合、顧客から見ると担当が途中で替わるため不安を感じる可能性があります。また引き継ぎが上手くいかないと見込み客を取りこぼしたり、情報共有ミスが起きたりする恐れがあります。部門間の連携コストも考慮しなければなりません。
以上のデメリットを踏まえると、フィールドセールスを活用する際はいかに効率化するか、他部門と連携して弱点を補うかが重要になります。次のセクションでは、インサイドセールスとうまく連携してフィールドセールスの成果を最大化する方法を見ていきましょう。
フィールドセールスの弱点を補い強みを活かすためには、インサイドセールスとの密接な連携が欠かせません。両者がスムーズに協働することで、見込み客の取りこぼしを防ぎ営業効率を高めることができます。効果的な連携を実現するためのポイントをいくつか解説します。
役割分担と引き継ぎ基準の明確化
まず、インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担を明確に定義しましょう。どのタイミングで案件をフィールドに引き継ぐのか、リードの温度感や商談化の基準(いわゆるMQL→SQLへの条件)を営業とマーケティング間で合意しておきます。
例えば、「顧客から具体的な相談や見積依頼があればフィールドにバトンタッチ」など、明文化されたSLA(サービスレベルアグリーメント)を設定すると良いでしょう。また引き継ぎ時には顧客の課題・ニーズ・検討状況などの情報を漏れなく共有することが重要です。社内システム上のリード情報に詳細なメモを残したり、インサイドセールス担当者がフィールド同行して引き継ぎミーティングを行うなど、顧客に不安を与えないスムーズな橋渡しを心掛けます。
情報共有の徹底(ツール活用)
連携強化のためには、情報共有インフラの整備が必要となります。具体的には、SFAやCRMツールを導入してリードから商談、顧客情報までを一元管理し、関係者全員が最新情報にアクセスできるようにします。
マーケティングで獲得したリードの属性やインサイドセールスが得たヒアリング内容、そしてフィールドセールスの商談内容や進捗状況などを一つのシステム上で共有することで、常にチーム全体で顧客をフォローできます。また顧客とのやり取り履歴(電話やメール内容、訪問メモなど)もCRMに記録しておけば、担当者間で引き継ぎ漏れが防げます。
さらに、定期的な合同ミーティングや情報共有会を開催することも効果的です。例えば、2週間に1度でインサイドとフィールド合同の進捗共有ミーティングを行い、リードの状況や商談の課題をディスカッションする、月に1回の頻度で成功事例を共有し合う会を設けるといったような施策です。
このような交流によりお互いの視点を学び、連携意識が高まります。また場合によっては 人材ローテーション を行い、インサイド経験者がフィールドを、フィールド経験者がインサイドを一時的に経験することで、互いの苦労やノウハウを理解する取り組みも有効です。
リードナーチャリングとパイプライン管理
インサイドセールス側でのリード育成プロセス(リードナーチャリング)と、フィールドセールス側での商談管理プロセスを一貫したパイプラインで管理していくことも重要なポイントとなります。
マーケティングオートメーション(MA)なども活用しつつ、リードスコアリングによって優先度の高い見込み客から順にインサイドがアプローチ、一定のスコアに達したらフィールドに渡す、といった流れを設計します。
パイプライン全体を俯瞰して管理することで、どこで歩留まりが発生しているかが明確になり、双方で対策を打ちやすくなります。またフィールドからフィードバックをもらい「質の低いリードが多い」などの問題があれば、マーケティング施策やインサイドのアプローチ改善につなげます。
逆にインサイドからフィールドへ「もっと提案資料を充実させてほしい」など要望を出すこともできるでしょう。このように常に双方向に改善サイクルを回すことが、インサイド・フィールド連携の肝となります。
優秀なフィールドセールスになるためには、どのようなスキルやマインドセットが必要なのでしょうか。ここでは、フィールドセールス担当者に求められる主なスキル(能力)とマインドセット(心構え)をそれぞれ見ていきます。
コミュニケーション能力
まず何と言っても対人折衝力が重要となります。相手の話を丁寧に傾聴し、的確にニーズを把握するとともに、自社の提案をわかりやすく伝えるプレゼンテーション力が求められます。
初対面の相手と打ち解けて信頼関係を築く対人スキル、質問力やヒアリング力、そして商談をリードする進行力など、総合的なコミュニケーション能力が土台となります。
提案力・問題解決力
顧客の課題を整理分析し、自社の商品・サービスでどのように解決できるかを示す提案力も重要です。ただ製品機能を説明するだけでなく、顧客の業界動向や競合情報も踏まえて「御社の課題にはこの解決策が最適です」と論理的かつ魅力的に提案する力が成約率を左右します。論理的思考力や課題解決型のセールススキルは鍛えておく必要があります。
交渉・クロージングスキル
商談の最終局面では契約条件の交渉やクロージングのテクニックがものを言います。価格交渉では値引きに応じるばかりでなく、付加価値を再訴求して適正価格で契約いただく交渉力が必要です。
契約書の詰めや納期調整など細部に配慮しつつ、Win-Winの着地点を見つけられる折衝力は営業として磨いておきたいスキルです。
業界・商品知識
顧客に信頼してもらうには、その業界の知識や自社商品の専門知識も欠かせません。製造業の顧客なら生産プロセスや技術トレンドを理解し、ITサービスならシステム開発やセキュリティの基礎知識があるといった具合に、担当分野に精通していることが理想です。顧客より自社の営業が無知では話になりません。日々勉強を重ね、製品知識・業界知識をアップデートする姿勢が求められます。
タイムマネジメント能力
移動や複数案件の並行対応が発生するフィールドセールスでは、自分の時間を効率よく配分する能力も重要です。訪問スケジュールの最適化、商談準備や資料作成にかける時間配分、フォロー連絡のタイミング管理などになります。特に営業フォローのタイミングとそのフォローの際に話す内容で受注率が大きく変わります。
なぜなら、提案を受けた顧客も検討が止まっているうちに忘れる可能性があるからです。一つの課題を解決するときには複数の商品・サービスを検討しているので、検討の際には顧客責任者の頭の中で最初に自社のサービスを思い出してもらえるようにフォローしていく必要があります。
顧客志向(カスタマーセントリック)
フィールドセールスには「とにかく自社の商品を売り込む」姿勢よりも「顧客の成功を第一に考える」マインドが重要です。このように言われることが一般的です。ただ、ここでは更に一歩踏み込んで顧客と同士のような関係を築くことが重要となってきます。顧客企業の課題解決や成長を考える営業は、結果的に信頼され長期の取引につながります。顧客が抱える課題によっては自社のサービスよりも他社のサービスを進めたほうがいい場合もあります。そのため、「このサービスを導入すると支払うコストよりもメリットのほうが得られるかどうか?」と常に自問するような顧客第一主義の姿勢を持ちましょう。
自社の商品に対する愛着
データが重視される現代のビジネス社会においても、受注率の高い営業ができるかどうかは「自社商品への愛着」が大きなカギとなります。情報が豊富な分、顧客は当然、競合他社と自社サービスを比較しやすくなっています。
ここで問題になるのは、営業担当者自身が、自社商品やサービスの欠点ばかりに目を向け、過度にネガティブな認識を持ってしまうことです。このような心理状態では、提案の際に本来の価値を十分に伝えることができず、無意識のうちに自信のないプレゼンテーションになってしまいます。その結果、たとえ客観的には競合よりも優れている点があったとしても、顧客にその魅力が伝わらず、失注に繋がっていきま。
営業が高い受注率を維持するためには、単なる事実情報だけでなく、自社商品への深い理解と誇り、そして顧客に対して「本当に良いものを届けたい」という情熱を持つことが欠かせません。
高い目標志向と粘り強さ
営業にはもちろん目標達成への強い意欲が必要です。大きな数字目標にも臆せずチャレンジし、困難に直面しても諦めずに工夫と行動を続ける粘り強さが成果を生みます。
フィールドセールスは断られたり成果が出るまで時間がかかったりする中でもモチベーションを維持し走り続けるタフさが求められる仕事です。失敗から学び改善していく前向きなマインドセットを持ちましょう。
チームプレイヤー意識
個人プレーに陥らず、インサイドセールスやマーケティング、技術部門など社内チームで勝つ意識を持つことも大切です。フィールドセールスは一人で完結できる仕事ではなく、優秀なインサイドがいてくれるから質の高い商談が生まれ、専門知識を持つ技術担当がいるから提案に厚みが出るものです。自分だけの成果に固執せず、「チーム全体の勝利」を喜べる謙虚さと協調性を持ち、社内外から信頼される人間性を磨きましょう。
これらのスキル・マインドセットは一朝一夕に身につくものではありませんが、日々意識して実践することで徐々に自分の武器となっていきます。フィールドセールス担当者は「自分が会社の顔であり最前線のソリューションコンサルタントである」という自覚を持ち、総合力を磨いていきましょう。
フィールドセールスの生産性と成果を向上させるために、近年は様々なセールステクノロジー(営業支援ツール)が登場・発展しています。ここでは、フィールドセールスが活用すべき主要なテクノロジーと、その効果的な使い方を紹介します。
CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)は、現代営業における必須ツールと言っても過言ではありません。代表的なものにSalesforceや国内製品のSFAツールなどがありますが、ポイントは顧客情報や商談状況を一元管理し「見える化」することです。
これにより、個々のフィールドセールス任せだった情報が組織の資産となり、属人的な営業から脱却できます。例えばCRM上で商談ステージや確度(見込み度合い)を誰もがわかる形で定義・共有すれば、案件進捗の管理が統一されます。
各担当者は自分の抱える案件一覧や次のアクション項目を明確に把握でき、マネージャーも全体状況をリアルタイムに把握できます。
また、過去のやり取り履歴の蓄積も大きな価値です。訪問日時・内容、電話やメールの記録、社内で協議した内容までSFAに記録しておけば、チーム内の誰もが最新情報をキャッチアップできます。
引き継ぎ時も安心ですし、「〇〇の件、その後いかがですか?」といったフォローもデータを見れば漏れなく実行できます。さらに、蓄積データを分析することで受注率や商談期間などのKPIを計測・改善しやすくなります。
商談数・成約率・平均契約額などを可視化し、ボトルネックを特定して対策を講じるデータドリブンな営業を実現できるのです。要するにCRM/SFAは、フィールドセールスの「第二の頭脳」として機能し、経験と勘だけに頼らない科学的な営業へ導いてくれるツールなのです。
MA(マーケティングオートメーション)ツールはマーケ部門が主に使うものと思われがちですが、営業サイドとも連携することで威力を発揮します。具体的には、MAでスコアリングされた見込み客データや、その顧客が閲覧した資料・Webページ履歴などをフィールドセールスが商談前に把握できると、より精度の高い提案準備が可能です。例えば「このリードは製品Aの資料を3回ダウンロードしている」「ウェビナーに参加済みで具体的な課題をアンケート回答している」といった情報が事前にわかれば、訪問時に話すべき内容を絞り込めます。ホットなリードを逃さず、適切なタイミングでアプローチする上でもMAとの連携は重要です。
さらに、MAで育成中のリードに対し、フィールドセールス視点でコンテンツ提供を提案することもできます。「事例集PDFを送付してほしい」「セミナー登壇して直接ニーズを聞きたい」など、営業現場の声をマーケにフィードバックし、MAキャンペーンに反映してもらうといった協働も有効でしょう。マーケティングと営業のデータ共有・連携 にテクノロジーを活用することで、フィールドセールスの活動効率とクロージング率は格段に高まります。
フィールドセールスと言えど、オンライン商談ツールを活用することも視野に入れたほうがよいかもしれません。ZoomやMicrosoft Teamsはもちろん、電話とPC画面共有を組み合わせた国内専用ツール(例:bellFaceなど)も広く使われています。
オンライン商談ツールにより移動時間ゼロで顧客と顔合わせできるため、フィールドセールス業務の全てをオンライン商談に置き換えるのではなく、例えば、訪問が難しい遠方のクライアントや初回ヒアリングには積極的に活用してみましょう。
対面とオンラインを上手に使い分けることで商談回転率が上がり、移動コストも削減できます。
また、AI技術の営業への応用も最新トレンドです。営業向けAIアシスタントサービスを導入すれば、過去の商談記録から最適な提案パターンを推薦してくれたり、ボイス入力で訪問メモを自動でテキスト化したり、さらには次のアクションをリマインドしてくれるなど、営業活動の生産性を飛躍的に高めてくれます。
生成AI(GPTなど)を使って提案書のひな型を作成したり、メール文面のドラフトを生成したりすることも可能になりつつあります。ただし、AIに頼りすぎた一方通行のコミュニケーションは逆効果になり得るため、あくまでツールはサポート役と位置づけ、最終的な人間らしい心配りは営業自身が行う姿勢が大切です。
この他にも、名刺管理アプリ(例:SansanやEight)で獲得名刺を即デジタル化して顧客データベース化する、タブレット端末で製品デモやカタログ提示をスムーズに行う、クラウドストレージで大容量の提案資料や契約書を安全に共有する等、フィールドセールスをテクノロジーで支援する方法は多岐にわたります。
重要なのは、自社の営業プロセスに合ったツールを選定し、現場で定着するまで使いこなすことです。最新テクノロジーを味方につければ、従来のやり方では考えられないスピードと効率で営業目標に近づけるでしょう。
2020年以降のコロナ禍を経て、オンラインでの商談(リモート営業)はBtoBセールスにすっかり浸透しました。フィールドセールスの世界でも、訪問に代わってWeb会議を活用する 「オンラインフィールドセールス」 の重要性が飛躍的に高まりました。現在では対面とリモートを状況に応じて使い分けるハイブリッドな営業スタイルが主流になりつつあります。
このセクションでは、オンライン商談の最新トレンドと成功のための対応策を見ていきましょう。
オンライン商談の位置づけと活用シーン
多くの企業では初回商談やヒアリングはオンラインで実施し、クロージング直前の重要局面や大規模提案時のみ対面訪問するという形が増えています。オンラインであれば移動時間が不要なため、営業1名あたりの対応件数を増やすことができます。
特にコロナ禍以降、顧客側も「まずはオンラインで」という文化が定着したため、以前ほど対面へのこだわりはなくなりました。ただし前述のとおり対面営業の強みも依然大きいので、オンライン商談と訪問を効果的に組み合わせる ことが重要です。例えば新規リードには即オンラインでアプローチしてスピーディにニーズ把握、その後有望度の高い案件には現地訪問して深掘り提案、といった使い分けが有効です。
オンライン商談を成功させるポイント
オンラインであっても顧客との信頼関係構築や熱意の伝え方に工夫が必要です。成功のポイントを押さえておきましょう。
通信環境とツールの整備
基本中の基本ですが、安定した高速通信環境を用意します。通信トラブルは商談の熱を冷ましてしまいますので、有線LANや予備のネット接続を確保するなど万全を期しましょう。
また使用するWeb会議ツールの機能は熟知しておきます。画面共有や資料共有、ホワイトボード機能などをスムーズに使いこなせれば対面と遜色ないプレゼンが可能です。ツールによっては参加者の発言ログやチャットが保存できるものもあるので、後日の議事録作成にも役立ちます。
双方向の積極的コミュニケーション
オンラインでは対面以上に意識的なコミュニケーションが必要です。一方的に話し続けず、適度に相手に質問を投げかけたり意見を求めたりして双方向のやり取りを促しましょう。また画面越しだと相手の表情が読み取りにくいため、「ここまでの説明でご不明点ありませんか?」などとこまめに確認を入れることも大切です。
画面上で相手のリアクションが薄いときはチャット機能で補足情報を送るなど、複数チャネルを駆使して意思疎通を図ります。
資料共有とフォローアップ
オンライン商談ではデジタル資料を共有する場面が多くなります。事前に資料を送付しておき当日は要点のみ説明する、あるいは会議中にチャットで関連資料のリンクを送るなど、資料共有を効果的に行いましょう。また終了後のフォローメールも重要です。
対面に比べ記憶に残りにくいぶん、議事録や提案資料を早めに送りフォローすることで信頼感が増します。クラウドストレージを使えば大容量ファイルも安全に送付できます。
最後に、オンライン中心の営業活動であっても忘れてはならないのが「顧客と継続的に寄り添う姿勢」です。
デジタルなやり取りは効率的ですが、その中で人間らしさを出す工夫が信頼構築には欠かせません。定期的にカメラをオンにして表情を見せる、手書きのメッセージ画像を共有してみる、対面できる時には些細なことでも直接訪問してみるといったようなひと手間がオンライン営業に温かみを加えます。
53.3%の営業組織が今なお対面営業を好む背景には「直接会ったほうが互いに理解が深まる」という実感があります。
(参照元:hubspot.jp 日本の営業に関する意識・実態調査2024の結果をHubSpotが発表)
オンラインであっても顧客理解と信頼関係づくりを疎かにせず、必要に応じてリアルも交えるハイブリッド戦略で臨むのが、これからのフィールドセールスのあるべき姿と言えるでしょう。
続いて、企業内にフィールドセールスの組織を新たに立ち上げる場合や、既存のフィールドセールス組織を強化する場合のポイントを解説します。営業組織の在り方をゼロから見直し、効率的で成果の出るフィールドセールスチームを作るためのメソッドを順を追って見ていきましょう。
組織立ち上げのステップ
1.営業モデル・役割分担の設計
最初に、インサイドセールスやマーケティング、カスタマーサクセス等との役割分担を含めた全体の営業プロセス設計を行います。最近注目の「THE MODEL」型営業組織では、マーケ→インサイド→フィールド→カスタマーサクセスと一連の流れを分業化しますが、自社に合った形を検討しましょう。
フィールドセールスに何を任せ、どこからを他部署にするか、顧客視点で無理のないプロセスを描くことが重要です。
2. KPI・目標の設定
組織として追うべきKPIを定義します。月間の新規商談数、受注率、平均受注額、既存顧客からの追加受注額など、フィールドセールスチームのミッションに合わせて数値目標を決めます。
目標は高すぎず低すぎず現実的なラインに設定し、チーム全員で共有します。このような絶妙な目標を設定する際には、SMARTの法則を活用することもお勧めです。
インサイドセールスやマーケ部門のKPIとも矛盾がないよう整合性を取りましょう。共通のゴールが明確になれば、組織のベクトルが揃います。
3. 人材の採用・配置
次に、フィールドセールスを担う人材を集めます。既存社員を異動させる場合は適性を見極め、新規採用する場合は上記「求められるスキル・マインドセット」を備えた人材を重視します。
特に無形商材の営業経験や、対象業界の知見を持つ人材は立ち上げ期には貴重です。またリーダー層として、フィールドセールスチームを牽引できるマネージャー人材もアサインしましょう。営業メンバーの目標達成を支援し育成できる管理職の存在が組織の成否を握ります。
4. プロセスとツールの整備
営業プロセス(見込み客管理から商談進行、受注、アフターフォローまで)を具体化し、必要なツールを導入します。上述のCRM/SFAはもちろん、名刺管理、提案資料のテンプレート、営業マニュアル、トークスクリプト等も用意します。新人でも迷わず行動できるよう標準営業プロセスと資料類を整備することが大切です。また提案書やヒアリングシートのフォーマットなどもこの段階で整え、チームで共有しておきます。
5. 研修・ロールプレイングの実施
チーム発足時には集中的に研修を行います。商品知識研修、営業トーク研修、ロールプレイング(役割演習)などを実施し、全員のスキルレベルを底上げします。特にロールプレイングは、先輩が顧客役になり新人と模擬商談することで、実戦に近い形でフィードバックが得られる有効な手法です。
「顧客の課題を引き出して提案する」一連の流れを体で覚えさせることで、実際の訪問でも落ち着いて対応できるようになります。
6. テストマーケティングと改善
小規模に営業活動を開始し、いくつかの商談を回してみて課題を洗い出します。仮説と異なる点(例えばインサイドからのリードが質・量とも不足、提案資料が伝わりにくい等)が見えてきたら、すぐに対策を検討します。立ち上げ当初は特にPDCAサイクルを高速で回す姿勢が重要です。週次で活動結果をレビューし、改善策を講じ、翌週に反映する、といった素早い対応で組織を軌道に乗せていきます。
組織力強化のポイント
既存のフィールドセールス組織を強化する場合も、上記ステップの見直しに加えて以下のポイントに取り組むと効果的です。
定期的なスキル訓練
組織全体の営業力を底上げしていくには継続的な教育が必要となってきます。定期的に営業研修や外部セミナー参加を計画し、新しい営業手法や業界トレンドのインプット機会を作りましょう。また月1回はロールプレイングや成功事例共有会を行い、メンバー同士で学び合う文化を醸成します。
データに基づく戦略見直し
CRMに蓄積されたデータを活用して、組織としての課題を分析します。例えば「商談数は多いが成約率が低い」場合は提案内容に問題がないか、「特定業界での受注率が極端に低い」ならアプローチ方法を変える必要がないか、などデータに基づき戦略を微調整します。数字を軸に改善策をディスカッションすることで、感覚ではなく論理的な組織運営が可能になります。
モチベーション・評価制度
フィールドセールスは目標数字に向けたプレッシャーも大きいため、公正な評価とモチベーション維持策が重要です。成果に応じたインセンティブ報酬はもちろん、プロセス(活動量や新しい挑戦)も評価に入れる、人前で成功を称賛する、MVP表彰を設ける等、やる気とチームワークを促進する仕組みを導入しましょう。メンバーが互いを支援し、高め合える組織風土づくりも長期的な強化につながります。
部門間連携の促進
マーケやカスタマーサクセスとの定例会議を設けるなど、他部門との壁を低くする工夫も組織力強化に有効です。マーケティングからのフィード(リード供給)が不足していれば一緒に施策を考える、導入後のカスタマーサクセスへの引き継ぎを円滑にするなど、組織横断の視点で営業プロセス全体を最適化します。全社的に顧客を支援する文化が根付けば、フィールドセールスチームも動きやすく成果を出しやすくなります。
以上のようなメソッドを実践することで、フィールドセールス組織は着実に強化されていくでしょう。立ち上げ時には慎重な設計と迅速な改善、強化時には人とデータ両面からの改革を意識することが成功のポイントです。
最後に、フィールドセールス活動で陥りがちな 失敗パターン と、それを防ぐための対策を整理します。以下によくあるミスと改善策を挙げますので、自社の営業を振り返り当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
見込み客を追い切れず機会損失が発生
フィールドセールス担当者が多くのリードを抱えすぎてフォローしきれず、せっかくの商談機会を逃してしまうケースです。インサイドセールスやマーケが頑張ってリードを獲得しても、フィールド側が追いきれなければ意味がありません。
対策
まずリードの優先順位付けを徹底しましょう。CRM上でスコアリングを活用し、有望度の高いリードから対応するようにします。
優先度の低い見込み客はインサイド側で継続ナーチャリングするなど役割分担を見直すことも有効です。また担当者ごとのリード数を適切に制限し、手が回らない場合は新規リードを一時的にストップする勇気も必要です。
定期的にパイプラインレビューを行い、放置リードがないかチェックする仕組み作りも有用です。
訪問前の準備不足で商談が空回り
アポイントを取って訪問したものの、事前準備が不十分で顧客の課題や業界知識を把握しておらず、的外れな提案をして失敗するケースです。
対策
訪問前チェックリストを用意し、最低限「顧客企業の基本情報(事業内容・規模・業界課題)」「想定される課題と自社ソリューションの関係」「過去のやり取り履歴」は必ず確認してから臨みます。必要に応じてインサイドセールスやマーケから事前情報をヒアリングするのも有効でしょう。準備段階で仮説を立てておくことで、商談時のヒアリングも深みが増し、提案の質が向上します。
クロージングを焦りすぎて信頼を損ねる
ノルマに追われるあまり、顧客の購買プロセスを無視して過度に契約を迫り、結果として関係性が悪化してしまうケースです。
対策
BtoB営業では顧客社内の検討プロセスがありますから、それを尊重した提案スケジュールを立てることが大切です。意思決定者が複数いるならそれぞれに合わせた情報提供を段階的に行いましょう。
また「今月中にぜひ契約を!」といった売り手都合の発言は禁物です。代わりに顧客の検討状況を逐一確認し、懸念点を解消する姿勢に徹します。もし受注タイミングが遅れそうでも、信頼を築いておけば将来的な受注や追加発注につながる可能性があります。
短期的な数字より長期的な信頼を優先するマインドを徹底しましょう。
顧客情報・商談記録の管理漏れ
日々の訪問や電話で得た情報を記録せず担当者の頭の中だけに留めてしまい、後で詳細を忘れてしまったり、引き継ぎできなかったりするケースです。
対策
商談直後に必ずCRMや営業日報に要点を記録する習慣をつけます。忙しくても5分だけ振り返りの時間を取り、次回アクションや顧客の反応を書き残しましょう。これにより自分自身の記憶補強にもなりますし、万一自分が抜けても他のメンバーがフォローできます。また、名刺やメールも放置せず所定の場所に保存・共有し、「情報を貯めて活かす営業」をチームとして実践します。
インサイド/マーケとの乖離による足並みの乱れ
フィールドセールスが単独プレーに陥り、インサイドセールスやマーケティング部門と連携を取らないことで、顧客へのアプローチがチグハグになってしまうケースです。例えばマーケは製品Aのキャンペーンでリードを獲得しているのに、フィールドはそれを知らず製品Bを提案してしまう、といったミスマッチです。
対策
部門間コミュニケーションを密にし、顧客アプローチ計画を共有しましょう。定例会議でキャンペーン情報を展開してもらう、フィールドからマーケに市場の声をフィードバックする、チャットツールで気軽に情報交換するなど、日頃から連携する文化を作ります。営業とマーケが共通KPIを持つことも有効です。足並みが揃えば顧客対応の質も上がり、成果にも直結します。
これらの失敗例は、裏を返せば適切な対策で防げる課題です。自社のフィールドセールス活動を見直し、同じ過ちを繰り返さないようにプロセスや仕組みを整えていきましょう。
最後に、フィールドセールスの現場で役立つツールやテンプレート類をいくつか紹介します。営業活動を効率化し、成果を上げる助けとなる便利ツールや資料は積極的に活用しましょう。
活用したい主なツール
顧客管理・営業支援ツール(CRM/SFA)
既に述べたとおり、Salesforceに代表されるCRM/SFAは必須ツールと言ってもいいでしょう。顧客データ一元管理や進捗の見える化に加え、レポート機能で営業実績を分析できます。国内企業ではeセールスマネージャーなども利用されています。まずは自社に合ったCRMを選定し、営業プロセスに組み込みましょう。
マーケティングオートメーション(MA)
MarketoやHubSpot、PardotなどのMAツールは、マーケティング主導でリードを育成する際に活躍します。フィールドセールスとしてもMA上の見込み客行動データを閲覧することで、顧客の興味関心を把握できます。営業・マーケの連携において心強いツールです。
オンライン商談システム
ZoomやMicrosoft Teamsはもちろん、先述の国産ツールbellFaceのように電話を併用できるサービスも人気です。対面訪問が難しい状況でも商談機会を創出しやすくなるので、アカウントを用意しておきましょう。Web会議用の良質なヘッドセットやカメラも準備しておくとプロフェッショナルな印象を与えられます。
名刺管理アプリ
SansanやEightは、名刺をスマホで撮影するだけでクラウド上のデータベースに蓄積できるサービスです。交換した名刺情報を放置せず即データ化し、CRMに自動連携させることでリード管理の抜け漏れを防ぎます。フィールドセールスは名刺獲得の機会も多いため、ぜひ導入したいツールです。
営業資料共有ストレージ
最新の提案書テンプレートや事例集、製品パンフレットなどをチームで共有できるよう、クラウドストレージ(Googleドライブ、Dropbox等)やナレッジ共有ツールを整備しましょう。
必要な資料にいつでもアクセスできる環境を作ることで、顧客からの急な要望にも素早く対応できます。アクセス権限管理をしっかり行い、営業用フォルダを整理しておくことがポイントです。
準備しておきたいテンプレート
訪問ヒアリングシート
顧客訪問時に聞くべき事項を体系立てて整理したシートです。課題・ニーズ、予算、決裁者、タイムラインなどの項目を網羅しておき、商談中に抜け漏れなく質問できます。チェックリスト形式で使えるテンプレートがあると便利です。
提案書(提案企画書)フォーマット
提案資料作成に時間を取られすぎないよう、基本構成が出来上がったテンプレートを用意しましょう。表紙、現状課題の整理、提案概要、導入効果、費用、導入スケジュール等、ひな型があればあとは顧客ごとにカスタマイズするだけで済みます。自社の過去事例を盛り込んだ汎用提案書をライブラリ化しておくのも効果的です。
営業活動KPI管理シート
エクセル等で作成したシンプルなもので構いませんが、月ごとのリード数・商談数・受注数や進捗率などを記録するシートがあると便利です。個人ごと・チーム全体の両方で目標と実績を見比べ、目標達成に対して何が課題があるのかを発見するために利用したり、予実管理にも使えます。
商談記録テンプレート(日報)
商談後に記入する簡易フォーマットです。顧客名、訪問日時、主な会話内容、温度感、次アクションなどを項目立てて記録します。後から見返したり上司に報告したりする際に役立ちますし、メンバー間で共有すれば情報共有ツールにもなります。フォーマットを統一しておけば記載漏れが減ります。
顧客ランク分類表
担当顧客をランクA(有望度高)~C(フォロー中)等に分類するシートです。フィールドセールスはいくつもの顧客を抱えるため、主観だけでなく客観基準でランク付けして管理すると効果的です。定量指標(売上ポテンシャル、クロージング予想時期等)をもとに更新し、優先順位づけやリソース配分の判断材料にします。
以上のようなツール・テンプレートを活用すれば、フィールドセールスの日々の業務負荷を軽減し、より戦略的な動きに時間を割くことができます。本記事の末尾でご案内するホワイトペーパーでは、これらテンプレートのサンプルも提供していますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
ここまでフィールドセールスの基礎から実践ノウハウまで詳しく解説してきました。対面営業であるフィールドセールスは、信頼関係構築や深い顧客理解という強みを持ちながら、インサイドセールスとの連携やデジタルツールの活用によって更に効率的に営業を行っていくことができます。
重要なのは、学んだ知識を自社の営業現場に落とし込み実践することです。ぜひ本記事の内容をチームで共有し、フィールドセールス戦略の見直しや施策の実行に役立ててください。対面とオンライン、マーケティングと営業、テクノロジーとヒューマンタッチの「いいとこ取り」で、貴社の営業成果が飛躍的に向上することを願っています。