アクセス解析を始めるとき、最初にぶつかる壁は「自分たちの業態に合った指標や方法が分からない」ということではないでしょうか。同じアクセス解析でも、ECサイトとBtoBサイトでは追いかけるべきデータや目的がまったく異なります。たとえば、ECサイトなら「カート放棄をどう減らすか?」が課題のひとつになる一方で、BtoBサイトでは「どのように見込み顧客を商談につなげるか?」が焦点のひとつとなります。
この記事では、ECサイトとBtoBサイトそれぞれのアクセス解析のポイントを掘り下げ、業種別の成功事例やトレンドを交えて解説します。自社のビジネスに合わせた解析手法を模索する中で、きっと新しい発見があるはずです。それでは、具体的な内容に進んでいきましょう。
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なぜ重要か?
カート追加後のステップで、何割のユーザーが購入せずにサイトを去ってしまうかを把握するのが「カート離脱率」です。
私は以前、配送コストが不透明だったりフォームが長すぎたりするせいで、多くの訪問者が最後まで買わずに終わるシーンを見てきました。こうした要因が蓄積すると、せっかくの売上チャンスを大幅に逃していることになります。もしカート離脱率が高いと感じているなら、一度ユーザー目線で購入フローを見直すのが良いかもしれません。
指標からわかること
離脱率が高いステップを特定することで、ユーザーが「どのタイミング」で購入をあきらめるかを把握できます。例えば、入力フォームで離脱が多い場合、項目の内容を見直しやシステムをちぇっと型フォームに切り替えるなどの見直す材料になります。
改善アクションの例
購入フォームの簡略化
購入ステップを短くし、入力項目を最小限にします。 離脱率が高いステップを削減・改善すると、最終的なコンバージョン率向上が見込めます。
リターゲティング広告
「カートに入れたが購入していないユーザー」セグメントに絞った広告出稿。 再訪時の購入率をモニタリングすることで、広告投資対効果(ROAS)の最適化のための改善を行えます。
なぜ重要か?
どんなにリピーターが多いブランドでも、新しいお客さんを増やさないと長期的な事業拡大は難しいと感じます。
私が以前担当したECサイトでも、リピーターばかり意識してしまい、新規ユーザーの獲得施策が手薄になっていたことがありました。すると、特定の既存顧客が購入をやめた途端に売上が急落するなんてこともあったんです。そんなリスクを回避するためにも、新規のお客さんを安定的に増やす取り組みは欠かせないです。
指標からわかること
新規ユーザー数の推移
GA4などのアクセス解析ツールで、新規訪問者の数を把握すると、「今週は広告経由のユーザーが増えている」「SNSからの流入は横ばいだ」など、チャネルごとの傾向を掴みやすくなります。
新規ユーザーの購入行動や離脱ポイント
たとえば、オーガニック検索で来た新規ユーザーは、どの商品ページを見てどのタイミングで離脱しがちなのか。その解析結果を基に、導線を手直しできるようになります。
改善アクションの例
広告キャンペーンの見直し
Google広告やSNS広告、ディスプレイ広告など、さまざまなチャネルから訪問者を呼び込む手段があります。 どの広告が最も新規顧客を連れてきているかを比較し、予算配分を調整するのが効果的だと思います。もし広告費用がかさんでいるのに新規の購入率が低いなら、クリエイティブやターゲット設定を修正してください。
オーガニック検索流入の強化(SEO)
GA4を検索コンソールと組み合わせれば、ユーザーがどんなキーワードからサイトを見つけているかを推測できます。 それを参考に、検索ニーズに合った記事や商品紹介ページを整備すれば、新規ユーザーにより深く興味を持ってもらえるはずです。
ランディングページ最適化(LPO)
新規のお客さんがたどり着く最初のページが魅力的でなければ、すぐに離れてしまいがちです。 直帰率やエンゲージメント率を指標に、デザインや見出しの順番を細かくテストするのがよいでしょう。複数パターンを用意してA/Bテストを行い、一番反応が良いものを採用してみる手もあります。
BtoBサイトを運営していると、「せっかく来訪してくれた人がどんな経緯で問い合わせに至るのか」を知りたくなる瞬間がありませんか。
コンバージョン率やコンテンツ閲覧の状況、リード獲得につながる導線などをチェックしつつ最適化を進めると、成果が上がります。B to Bサイトでのアクセス解析で注目したい指標と、その具体的な活用の仕方を考えてみます。
指標の考え方
訪問者のうち、問い合わせフォームを送信した人の割合をコンバージョン率として指標に設定してみます。とくに「新規訪問」や「初めてセッションを開始したユーザー」からのコンバージョン率に注目すると、まったく知らない企業に対してどれだけ興味を持ってもらえているかを推測しやすいです。
改善のヒント
フォームの簡略化
はじめて問い合わせをする人が大変だと感じないよう、最低限の項目だけに絞るのがよいかもしれません。 フォーム送信率がどれぐらい変動するかを継続的に見ることで、施策の有効性が分かりやすくなります。
わかりやすいCTAボタン(行動喚起)
ページの途中や最後など、ユーザーの目に留まりやすい場所に「今すぐ質問する」「導入情報をもっと詳しく知る」といった文言で書かれたCTAボタンを置くというやり方です。 新規訪問者には、サービス導入後のメリットを端的に示す表現が響きやすいと感じます。
なぜ重要か
複数のコンテンツを読んでいるユーザーは、自分の課題解決に向けて情報収集中とみなせるケースが多いです。特にBtoBでは、専門性の高い資料や事例を深くチェックしている人ほど、問い合わせや資料請求に進む可能性が高いんだろうな、と私も感じています。
見込み顧客がどんな関心があるのか
最初に訪問したタイミングで、どのページをどれくらい閲覧しているかを分析するだけでも、興味を持ったテーマが見えてきます。
例えば「導入成功事例」ページを集中して読んでいるユーザーは、製品の具体的な効果を重視しているのかもしれません。そういったコンテンツをきっかけに、ホワイトペーパーのダウンロードやセミナー登録などのリード獲得につなげると、スムーズに問い合わせに誘導できると考えられます。
具体的なアプローチ例
人気コンテンツをリード化に利用
・「業界別の成功事例」「最新レポート」など、閲覧数が高いページに問い合わせフォームやダウンロードフォームへのリンクを配置する方法です。
・ユーザーが十分に情報を得たタイミングで次の行動を促すと、リード情報を手に入れやすくなります。
ユーザーの行動パターンを分析
・GA4のユーザーパス解析などを使い、新規訪問者がどんな経路で問い合わせに至るのかを可視化します。
・その結果を見て、コンテンツ同士のつながりや誘導ボタンの配置を見直すと、導線がより自然になるでしょう。
どんな視点で解析するといいか
まずは、「どの経路から来た新規訪問者が、どれぐらいリード化しているのか」を測定すると良いと思います。資料ダウンロードやメルマガ登録など、問い合わせ以外のアクションもコンバージョン目標として設定しておくと、少しずつ育成できるリードがどのチャネル経由で増えているかが分かってきます。
ホワイトペーパーを中心にしたランディングページ
新規ユーザーが「ここでしか得られない」情報だと感じる内容を提示し、必要最低限のフォームでリード情報を入れてもらう手法です。
完了率を観察しつつ、ランディングページの見せ方や入力項目を改善していくのがおすすめです。
流入経路別のCV率を比較
有料広告、オーガニック検索、SNS、他サイトからのリンクなど、チャネルごとにリード化の率や後の商談化状況を追跡します。
成果の高いルートを強化する戦略を取りながら、成果が低い箇所はメッセージやキーワード設定を再検討すると、全体的な獲得効率が上がりやすいです。
メルマガ登録からのナーチャリング
初回登録をしたユーザーに対して、段階を踏んで製品説明や成功事例を紹介するメールを送り、最終的には問い合わせや商談につなげる流れです。
開封率やクリック率はメール配信ツールで確認し、リンクを踏んだ後の動き(ダウンロードやフォーム送信)はGA4で見られるようにしておくと、施策の手ごたえが分かりやすいと思います。
課題を明確にし、それに対して適切な解析と施策を講じることで、アクセス解析がビジネス成果を大きく向上させることができます。ここでは、ECサイトとBtoBサイトそれぞれの実際の課題と、その解決方法について想定できるケースとして紹介させていただきます。
課題
ページ離脱率が高く、カート放棄が目立つことが問題でした。特に、商品詳細ページからカートへの遷移率が低いため、多くの訪問者が購入を完了する前に離脱していました。
施策
・購入フローの短縮
カート追加から購入完了までのステップを最適化。複雑な会員登録を省略し、美香委員でも購入機能を導入しました。これにより、フォーム入力の手間を軽減しました。
・特典を強調したランディングページ
商品の魅力に加え、「期間限定割引」や「送料無料キャンペーン」などの特典を目立つ形で訴求しました。これにより、訪問者が「今買う理由」を明確に感じられる構成に改善。
・ページデザインの改良
カートボタンのデザインを目立たせ、ボタンの位置をスマートフォンユーザーでもタップしやすい場所に配置しました。
課題
問い合わせ数が少なく、資料請求を行ったユーザーを商談につなげるプロセスが十分に機能していないことが課題でした。また、訪問者がどのような情報を求めているのかが不明確で、フォローアップ施策が行き届いていませんでした。
施策
資料請求後の関連事例提示:
資料請求を行ったユーザーに対し、自動で関連する導入事例や解決策を提示する仕組みを導入しました。たとえば、特定の業界に関心を持つユーザーには、その業界向けのケーススタディを案内するメールを送付しました。
リードを育成する仕組みの導入:
問い合わせのタイミングを逃さないよう、CRMツールを活用し、訪問者の行動データを営業チームとリアルタイムで共有。これにより、効率的なフォローアップが可能になりました。
フォームの改善:
問い合わせフォームの項目数を減らし、簡潔な入力で送信できるようにしました。また、ページ下部だけでなく中段にも問い合わせボタンを配置しました。
アクセス状況を解析することによって、ECサイトとBtoBサイトそれぞれの特性に応じた課題を解決し、ビジネスを成長させることができます。ECサイトでは、購入フローの減らすことや特典訴求を中心とした導線改善などによってコンバージョン率を上げることが重要です。
一方、BtoBサイトでは、リード獲得から受注までの長期的な購入プロセスを支援する仕組みが求められます。資料請求後の関連情報提供や、問い合わせフォームの最適化などいろいろな要素を改善していく必要があります。
自社の業態に合った解析手法を取り入れ、継続的な改善を目指しましょう。