ECサイトとは、『electronic commerce』の頭文字から来ており、日本語では『電子商取引』です。インターネット上に開設した商品を販売するサイトのことをいいます。
ECサイト構築費用は、相場が非常にわかりにくく、以下のような意見が聞かれるのが現状です。
・見積もりをとったが、内容がバラバラで混乱した
・複数の会社に見積もりをとったら、倍近くの値段の差ができた
・無料で作れるものがあるので、違いが分からない
ECサイトは、どの制作会社を選ぶかによって費用や内容が異なります。
会社によっては、どれを選べばいいのかわからないかもしれません。
本記事では、ECサイトの構築方法別の相場と費用の内訳を解説します。ぜひ、最後までお読みください。
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ECサイト構築方法は、以下の5つです。
・ASP型
・モール型
・オープンソース
・パッケージ
・フルスクラッチ
項目別に解説させていただきます。
ASPとは、「Application Service Provider」の略で、自分のソフトをインストールせずに、ネット上で簡単にECサイトを始められることが特徴です。商品管理や決済機能など、ネット販売を可能にする機能があります。
例えば、ECパッケージやオープンソースなどでは、基本的にサーバーを自社で用意する必要がありますが、ASPはサーバーの運用がなく、Webに関する知識や経験がなくても、ネットショップを開設できます。
ECサイトを構築することによって、数千円から10万円程度で運用でき、サーバーの開設やソフトウェアインストールなどの特別な準備が不要です。しかし、カスタマイズ性が低く、ユーザーのニーズに合わせた機能が限定的になります。
モール型とは、楽天市場やAmazonのような1つの場所にさまざまな店舗が集まった、インターネット上にあるショッピングモールです。決まった金額のテナント料を支払うことで、店舗を出せます。構築するにあたってのメリットとしては、モール自体に集客力があるので、購入者の信頼も得られます。
ハードルも非常に低く、モールが運営のサポートをしてくれるので売上アップも可能です。しかし、モール出店や運営に手数料がかかり、運営ルールにも従う必要があります。
初期費用は少なく簡単に始められますが、商品が売れたらロイヤリティを支払わなければならないデメリットもあります。
オープンソースは、外部に公開されているソースコードを使って、ECサイトを構築します。オープンソースのプログラムは、誰でも無料でサーバーにインストールでき、初期費用は低コストで始められます。カスタマイズの幅が広く、ユーザーのニーズに合った運用が可能です。
しかし、インストールしたプログラムをカスタマイズするには、Web制作の技術が必要になります。
公開されているソースコードを使うので、セキュリティでトラブルになる可能性があるので、注意しましょう。初期費用以外にかかる費用としては、以下の4つです。
・ドメインの取得
・サーバー
・デザインなどの外注
・決済手数料
費用は、自社によって異なるので、しっかり検討することが大切です。
パッケージとは、ECサイトの構築・運営に必要になるさまざまな機能を備えたシステムです。「商品や在庫の管理」「外部システムとの連携」など、サイトを作る上で求められる機能がセットされています。
カスタマイズの自由度が高く、ECサイトに必要な機能がそろっています。
しかし、その分コストは高く、ある程度売上を見込めるサイトで、充分な資金がある会社でなければ、導入は難しいでしょう。
システムを定期的にメンテナンスする際もコストがかかります。導入するシステムは最新ではないので、3~5年ごとに入れ替えが発生することもデメリットとして挙げられます。
システムはハイコストですが、運用すればハイリターンを得られやすいのがパッケージの特徴です。
先述した通り、機能は充実しているので、売上をどんどん伸ばしていきたい企業におすすめするシステムとなっています。
フルスクラッチとは、既にあるプログラムやソフトウェアを使うのではなく、ゼロの状態から独自にECサイトを作ります。最も自由度が高いですが、同時に「手間」や「コスト」が1番かかるのがデメリットです。
メリットとしては、外部委託ではなくシステムやプログラムを管理できる人材が社内にいるので、何かあればすぐに対応できます。改善点が見つかったときもスピーディーに対応できるのも魅力の一つです。
ゼロから作るので、高い制作スキルが求められ、「インフラ」「サーバー」も自社で準備しなければなりません。
フルスクラッチは、ECサイトの開発・費用に大きく投資できる環境が求められるので、人材を豊富に抱えている大企業にはおすすめのシステムです。
ECサイト構築にかかる費用の内訳としては、以下の通りです。
構築費用 |
初期費用 |
継続費用 |
カスタマイズ性 |
構築スピード |
モール型 |
低 |
低 |
低 |
速 |
ASP型 |
低 |
低~中 |
低 |
速 |
オープンソース型 |
低 |
低 |
高 |
速 |
パッケージ型 |
中 |
中 |
高 |
中 |
フルスクラッチ型 |
高 |
高 |
高 |
遅 |
ECサイト構築にかかる費用を項目別に解説します。
構築費用 |
初期費用 |
継続費用 |
カスタマイズ性 |
構築スピード |
モール型 |
低 |
低 |
低 |
速 |
モール型の最大のメリットは、モールのブランドや集客力を活かせることです。初期費用は10万円以内で十分ですが、「デザイン」「商品登録」などの外注費で追加費用が発生する場合があります。
出店料や商品が売れたとき、モール側に支払う手数料などもかかるので注意しましょう。
構築費用 |
初期費用 |
継続費用 |
カスタマイズ性 |
構築スピード |
ASP型 |
低 |
低~中 |
低 |
速 |
ASPは、ECサイトを作る方法のなかでは、最も安く作れます。費用は10万円から100万円ほどで制作できるのも魅力の一つです。
さらに費用を抑えたいのなら、初期費用0円のシステムを利できます。運用費用にかかるランニングコストも少なく、安ければ月額数千円、高くても数万円程度で維持が可能です。
個人経営のお店のように、予算に限りがある場合でもASPは利用できます。
構築費用 |
初期費用 |
継続費用 |
カスタマイズ性 |
構築スピード |
オープンソース型 |
低 |
低 |
高 |
速 |
オープンソースは、2番目に費用を安く済ませられます。構築費用の相場は、100~500万円です。運用にかかる費用は、どんなサイトを作るかによって変わるので、安ければ月額数千円程度、内容によっては数百万円かかる場合があります。
構築費用 |
初期費用 |
継続費用 |
カスタマイズ性 |
構築スピード |
パッケージ型 |
中 |
中 |
高 |
中 |
パッケージタイプは自由度が高いシステムとなっています。制作費は最低でも500万円以上を見積もるようにしましょう。運用にかかる費用も、月額数万円~数百万円とコストが高めです。
構築費用 |
初期費用 |
継続費用 |
カスタマイズ性 |
構築スピード |
フルスクラッチ型 |
低 |
低 |
低 |
速 |
フルスクラッチは、構築手段のなかで最も値段が高くなります。構築にかかる費用は、最低でも数千万円、数億円単位です。
また、運用していくにも毎月数十万円程度の維持費がかかります。個人経営のお店や中小企業では運営は難しく、人材や資金が豊富な大企業におすすめのシステムです。
ここからは、予算別にどのECサイトがよいのかまとめました。自社の予算に合わせて、最適なシステムを選ぶようにしましょう。
予算0~50万円
「BASE」「STORE.jp」といった無料ASP型を利用すれば、予算0円からECサイトを構築できます。
また5~20万円程度の格安ASP型を利用可能です。
商品登録画面を使って、自社の商品を登録すれば簡単に開設できます。ただし、独自のECサイトを構築することはできません。
Amazonや楽天などのモールに出店することも可能ですが、ロイヤリティやモールによっては月額料金を払う場合もあります。
予算50~100万円
有料ASP型の利用が一般的です。多くのASP型提供企業がサービスを展開しています。
定期購入などの業種や商材に特化したASP型もあり、自社が販売する商品に適したASP型を見つけることができれば、運用コストや手間がかからないのでおすすめです。
しかし、カスタマイズ性や拡張性には乏しく、外部システム連携や独自のECサイトを構築したい会社には向いていません。
予算300万円以上
予算300万円以上からになると、パッケージ型がおすすめです。ECサイトの売上がある程度の規模になると、機能を追加し、外部システムの連携が必要になるケースがあります。
ブランドイメージに合ったサイト制作や商品詳細ページに独自性を出すことも可能です。
システムの連携ができるので、年商1億円以上のECサイトを運営するのであれば、拡張性に優れたパッケージ型導入をおすすめします。
予算300~1,000万円
大規模ECサイトを構築できるパッケージ型がおすすめです。導入するときにSEOや集客といった、さまざまなサポートを受け、売上アップに向けたサイト施策の提案などをおこなっているシステムがあります。パッケージなら手厚いサポートを受けられます。
予算1,000~1,500万円
この予算内であれば、パッケージ型をベースに外部システムとの連携などが可能になります。
EC事業が拡大するほど、運用コストの削減やコア事業との連携が重要です。「顧客管理システム」や「在庫管理システム」「物流システム」などの外部システムといかに連携できるかがポイントとなっています。
予算1,500~2,000万円
EC事業が拡大し、自社のコア事業との連携がより蜜になると、他モールとの連携や自社モールの開設、実店舗の連携、越境ECへの参入を考えた方がいいでしょう。
予算が1,500万円から2,000万円以上確保できれば、パッケージをベースに戦略に直結できます。
2,000万円以上
数千万円~数億円の予算であれば、フルスクラッチがおすすめです。運営していくのに毎月数十万円の維持費がかかるため、個人経営や中小企業は、導入が難しい印象を受けます。
そのため、人材や資金が豊富な大企業に向いています。ゼロから作成するので、自由にカスタマイズすることが可能です。
ECサイト構築を見積もりする前に社内で検討することは、以下の9つです。
・費用が信用できるか注意する
・リニューアル時の費用を確認する
・KPIを設定する
・競合のECサイトを確認する
・決算機能は何を使いたいか
・物流業務は委託するのか
・集客方法はどの経路を使うのか
・ささげ業務を委託するのか
・将来的なリニューアルなどの見通しはあるのか
順番に解説させていただきます。
ECサイトの構築を制作会社に依頼する際、提案された費用が依頼内容に合った金額か把握することが重要になります。それぞれの制作会社によって依頼できる内容や料金に差が出てしまうので、依頼した内容の相場を理解することは難しいです。
表面的な見積もりの金額だけで比較してしまうので、最終的に想像以上の金額に達することになります。また、依頼側の要求内容を制作会社がうまく把握できない場合があります。
最低限の費用で見積もりを計算した場合、内容の擦り合わせをしたときに提案時の見積もりと大きく異なってしまうケースは珍しくありません。
単純な見積もりの金額だけで選ぶのではなく、どのような内容で計算されているか確認することが大切です。必要な機能などを詳細に提示しましょう。
ECサイトは、いくら時間やコストをかけてシステムを構築しても、常にアップデートをしなければなりません。ASP型など、外部のシステムやサーバーを使用して、ECサイトを構築した場合、常に新しいシステムを利用できます。
しかし、フルスクラッチ型やパッケージ型などのシステムを全て自社で構築した場合、何年か使用していると、システム自体が古くなってしまうことがあります。
セキュリティ対策が十分ではなく、構築後、新たに出たサービスや法令に対応できない、プログラムやソフトウェアのバージョン切れが起こるなど、弊害も出てきます。
3~5年単位で、リニューアルやメンテナンスが必要です。その際、別途費用がかかることも忘れないようにしましょう。
KPIとは、途中経過の目標の達成度や進捗を図るための指標です。会社としての目標を具体的に細分化し、目標を達成するために、どうように課題をクリアしたらいいのかを明確にし、達成度合いを数値化しましょう。
ECサイト構築においては、ページビュー数を増やし、商品に対するユーザーの流入が増え、購入者が増えるといった効果があります。
具体的な売上アップや利益率アップを見込めるような指標の設定は、ECサイトを構築・運営するにあたっての必須事項となります。KPIを設定するようにしましょう。
ECサイトの費用対効果として、競合サイトや商品がよく売れているサイトと比較します。運営していくにあたって、確実にこれをすれば成功するといったノウハウはありません。それぞれのECサイトによって異なるからです。
競合のECサイトでの比較対象は、販売商品の内容、集客における施策、接客の内容などが挙げられます。実際に成功しているシステムやサービスがどのようなものなのか、自社と比較して何が不十分なのかということを比較し、必要な箇所を改善することは非常に重要です。
加えて、競合サイトの中でも特に成功している事例に注目することが効果的です。たとえば、競合が取り入れている機能やデザインが顧客にどのように支持されているのかを分析することや、集客施策の中で特徴的なものがないかを探ることが重要です。また、接客やカスタマーサポートの仕組みについても、自社との差異を把握し、どのような改善が可能かを検討します。
成功のポイントは一律ではありませんが、競合分析を通じて自社の課題を具体的に把握し、解決策を導き出すことで、費用対効果の高いECサイト構築を目指すことができます。
ECサイトで買い物するときの決済方法をよく検討しましょう。クレジット払い、銀行振込、代金引換などの方法がありますが、どの方法を選ぶかで制作費用は異なります。
希望の決済方法がないと、購入者が離脱する恐れがあります。節約することはあまり考えず、必要と思われる機能をそろえておきましょう。
ECサイトで物販をするなら、商品を発送するフローが発生します。物流業務は作業コストがかかるので、お金をかけ、外部へ委託するという選択肢をもっておくといいでしょう。
自社ECで課題になるのが集客です。立ち上げてすぐのサイトは、検索順位もなかなか上がりません。顧客をサイトに誘導するためには、以下の集客対策が必要です。
・SEO対策
・Web広告
・SNS
・インフルエンサーマーケティング
集客対策をしたい場合、採用コストや人件費、離職の可能性などを考慮すると、なるべく業務を委託するのがおすすめです。
さまざまなサービスを提供している会社を選びましょう。
ささげ業務は、商品をサイトに掲載するときに発生する「撮影」「採寸」「原稿」を指します。
この対応を自社でするのか、制作会社に依頼するかによって見積もり金額が大きく変わります。請け負っていない制作会社もあるので、特に委託したいと考えている場合は注意が必要です。
スタート時は、アイテムのみの販売で少しずつ販売を拡大すれば、商品が増え年商が上がる可能性があります。
初期のサイトだと、機能やサービスに不足が生じ、効率が上がらなくなるかもしれません。だからといって、最初からクオリティの高いサイトを作るのは危険です。
ECサイトは、3~5年でリニューアルのタイミングがあります。
数年後にはデザインや機能がトレンドに合わなくなっているからです。システム自体が古いと更新に時間がかかるので、業務の効率を落とさないためには、システムを定期的にリニューアルしましょう。
ECサイト構築費用の事例をいくつか紹介します。
自社の予算と比較して検討するようにしましょう。
株式会社 askme
楽天市場への出店に強い制作会社です。
楽天市場の店舗ページを最低25万円(スタートプラン)から制作しています。
デザインにこだわりたいプランや徹底的にこだわりたいプランなどもございます。
URL:https://www.askme.co.jp/
株式会社KTG creation
カラーミーショップを使った、サイト制作に強い会社です。
費用は以下の通りです。
・1ページのシンプルプラン:15~20万円
・フルオーダープラン:30~40万円
URL:https://ktg-creation.com/
ECサイト構築費用は、どのシステムを選ぶかによって全く違います。
ポイントは、以下の4つです。
・ECサイトの目的や、叶えたい要件を明確にする
・社内で要件の優先順位を考えておく
・見積もりをする際は、どの会社でも同じ内容で依頼する
・自社の費用を明確化する
どの制作会社がいいのか、しっかりと検討し、メリットとデメリットを理解した上で選ぶようにしましょう。
また、ECサイトは3〜5年でリニューアルのタイミングを迎えることが多く、都度、メンテナンスが必要です。ぜひ、リニューアル後の費用まで意識してECサイト構築を心がけてください。