クラウド型ECサイトは、サーバーの構築や管理を自社で行うのではなく、クラウド上で提供されるECプラットフォームを利用して運営する仕組みを指します。従来のオンプレミス型に比べ、初期費用を抑えつつ、最新のシステムを簡単に活用できる点が特徴です
では、なぜクラウド型が選ばれるのでしょうか?
導入や運用の手間を減らしながらEC事業を始められる反面、カスタマイズ性の制約やランニングコストといった課題もあります。また、「どのサービスが自社に合うのか?」と迷う人も多いでしょう。
今回、クラウド型ECサイトの基本から、メリット・デメリット、他のEC構築方法との違い、導入費用、成功・失敗事例まで詳しく解説します。読み終えたころには、クラウド型ECの仕組みや選び方がクリアになり、自社に適したサービスを見極める手助けとなるはずです。
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ネットショップを運営する方法にはさまざまな選択肢がありますが、その中でも注目を集めているのが「クラウド型ECサイト」です。従来のようにサーバーを自社で管理するのではなく、クラウド上で提供されるプラットフォームを利用して構築・運用する形態のことです。
では、クラウド型がどのような特徴を持ち、なぜ選ばれるのか、詳しく見ていきましょう。
クラウド型ECサイトの最大の特徴は、インターネット環境さえあれば、どこからでもサイトの運営・管理ができることです。これにより、企業のITリソースを削減しつつ、スピーディにオンライン販売をスタートできるメリットがあります。
また、サービス提供側がサーバー管理やセキュリティ対策を担ってくれるため、自社でインフラを構築・維持する手間がかかりません。技術的な知識がなくても運営しやすく、常に最新のシステムが使える点も強みといえるでしょう。
一方で、サービスごとに機能の違いや制約があるため、自社のビジネスに適したプラットフォームを選ぶことが重要です。「自由度の高いカスタマイズが必要なのか」「運用コストはどの程度許容できるのか」など、事前に確認しておくべきポイントも少なくありません。
従来、ECサイトを構築する方法としては、フルスクラッチ開発(ゼロから独自システムを開発)やECパッケージ(買い切り型のシステムを導入)などが一般的でした。しかし、これらは初期費用が高く、システム管理の負担も大きくなります。
これに対し、クラウド型は「初期コストを抑えながら、拡張しやすい環境を手に入れられる」という点が評価されています。事業規模の変化に応じて柔軟にプランを変更できることや、決済・在庫管理といった基本機能が標準装備されていることも、多くの企業が選択する理由のひとつです。
また、世界的に有名なECプラットフォーム「Shopify」や、日本国内で人気の「BASE」などのサービスが登場したことで、より多くの企業が手軽にクラウド型ECの導入を進めるようになりました。
このように、クラウド型ECサイトは「スピーディにオンライン販売を始めたい」「システム管理の負担を減らしたい」と考える企業にとって、有力な選択肢のひとつとなっています。
クラウド型ECサイトは、従来のECサイト構築とは異なり、システム全体がクラウド上で管理される仕組みです。多くの企業が採用を検討している背景には、「手軽さ」「拡張性」「セキュリティ」といった要素がありますが、一方で「カスタマイズの制約」や「運用コスト」といった課題も無視できません。ここでは、クラウド型ECサイトのメリットとデメリットを整理し、どのような企業に適しているのかを考えていきましょう。
メリット:クラウド型ECサイトが選ばれる理由
1. 最新のシステムを使い続けられる
クラウド型のECプラットフォームは、サービス提供側がシステムの更新や新機能の追加を定期的に行っています。そのため、自社で特別な対応をしなくても、常に最新の環境でサイトを運営できるのは大きな魅力です。新しい決済方法やマーケティング機能が追加されることも多く、進化するEC市場に対応しやすい点は、多くの企業が評価しているポイントでしょう。
2. 自社でインフラを管理する必要がない
従来のECサイトでは、サーバーの構築やメンテナンスが必要でした。しかし、クラウド型であれば、サービス提供側がインフラを一括管理してくれるため、サーバーダウンのリスクやトラブル対応の負担を軽減できます。特に、小規模な事業者やスタートアップにとっては、ITリソースを運用ではなくビジネスの成長に集中できるのは大きなメリットです。
3. スケーラビリティが高い
クラウド型は、アクセス数や取引量の増加に合わせて柔軟にシステムを拡張できる仕組みになっています。たとえば、セール時期に急激なトラフィック増加があったとしても、クラウドのリソースを増やすことで安定した運用が可能です。これにより、「急に売上が伸びたらサーバーが落ちるかも…」といった不安を抱えずに済みます。
4. セキュリティの強化
クラウド型ECの多くは、大手のクラウドサービス基盤の上に構築されているため、個別にセキュリティ対策を施すよりも強固な防御が期待できます。データの暗号化や不正アクセス対策が標準で組み込まれているケースも多く、セキュリティ管理の負担を大幅に削減できます。
デメリット:事前に理解しておきたい注意点
1. カスタマイズの自由度が制限されることがある
クラウド型ECは、あらかじめ用意された機能やテンプレートを活用して運営する仕組みのため、ゼロからの開発に比べると、カスタマイズの自由度が制限されるケースがあります。特に、自社独自の機能や特殊なUI/UXを求める場合は、プラットフォームの仕様によっては対応が難しいこともあります。
2. ランニングコストが発生する
クラウド型ECは、月額料金や取引手数料などのランニングコストがかかります。特に、販売規模が大きくなるほど、トランザクション費用や追加機能の料金が積み重なり、コストが膨らむ可能性もあります。導入前に、長期的な運営コストをしっかり計算しておくことが重要です。
3. サービス提供側の仕様変更に左右される
クラウド型ECサイトは、システムの根幹をサービス提供側が管理しているため、仕様変更や価格改定の影響を受けやすい側面があります。特に、APIの仕様変更や新機能の追加により、運用方法を見直す必要が出てくるケースもあるため、定期的な情報収集が欠かせません。
ECサイトを構築する方法はいくつかありますが、大きく分けるとクラウド型、SaaS型、ECパッケージ、フルスクラッチの4つに分類されます。それぞれの仕組みや特徴を理解することで、自社のビジネスに適した手法を選びやすくなります。
「クラウド型が気になっているけれど、ほかの方法と比べてどう違うのか?」「どの選択肢がコストや運用面で有利なのか?」そんな疑問を持っている方のために、ここでは各構築方法の違いを詳しく解説していきます。
クラウド型ECサイトとは
クラウド型は、ECプラットフォームの提供会社がシステム・サーバーの管理を一括で行い、ユーザーはインターネット経由でサービスを利用する方式です。代表的なサービスにはShopify、BASE、MakeShopなどがあり、導入のしやすさや運用の手軽さが評価されています。
特徴
・初期費用が抑えられ、短期間で開設しやすい
・サーバー管理やセキュリティ対策が不要
・システムのバージョンアップが自動で行われる
・カスタマイズ性には制約がある
クラウド型の最大の魅力は、「シンプルな運用とスケーラビリティ」です。ただし、細かいデザインや機能の変更が難しいことがあるため、独自のEC体験を提供したい場合には注意が必要です。
SaaS型ECサイトとの違い
SaaS型(Software as a Service)もクラウドを活用する形態ですが、「クラウド型」と「SaaS型」は厳密には異なる点があります。SaaS型のECサービスは、クラウド上で動作するものの、提供される機能やカスタマイズの範囲がより限定的なことが多いです。
SaaS型の特徴
・あらかじめ用意された機能をそのまま利用する
・カスタマイズはプラグインやオプションで対応
・低コストで始められるが、機能追加には制限がある
クラウド型とSaaS型の大きな違いは、「自由度の高さ」です。SaaS型はより手軽に導入できる分、独自開発や細かな調整が難しいため、ECサイトに特有のニーズがある場合にはクラウド型や他の選択肢を検討する必要があります。
ECパッケージとの違い
ECパッケージは、あらかじめ開発されたECシステムを買い切りまたはライセンス契約で利用する方式です。クラウド型よりもカスタマイズ性が高く、独自のデザインや機能を組み込める点が特徴です。
ECパッケージの特徴
・システムを自社サーバーやクラウド環境にインストールして使用
・ソースコードの一部や管理画面のカスタマイズが可能
・初期費用が比較的高いが、運用コストは抑えられる
クラウド型と比べると、自由度は高いものの、サーバー管理やセキュリティ対策が必要になります。そのため、技術的な知識やエンジニアのリソースがない場合は運用負担が増えてしまうかもしれません。
代表的なECパッケージには、EC-CUBE、Magento、MakeShopプレミアムなどがあり、主に中規模以上のECサイト向けに使われています。
フルスクラッチとの違い
フルスクラッチとは、ゼロから独自のECシステムを開発する方法です。完全に自由な設計ができるため、企業独自のサービスや販売スタイルに最適化できますが、その分コストや開発期間がかかるのが難点です。
フルスクラッチの特徴
・自社独自の機能を自由に設計・開発できる
・他のシステムとの連携がしやすい
・開発費用・運用コストが高く、構築に時間がかか
クラウド型と比較すると、フルスクラッチは「自由度は高いが、開発・運用コストが非常に大きい」方法です。特に、数千万〜億単位の開発費がかかることもあり、導入には慎重な判断が求められます。
大手企業や、長期的なEC戦略を持ち、独自のシステム開発が必須なケースでは有力な選択肢になりますが、多くの企業にとっては、クラウド型やECパッケージのほうが現実的な選択肢になることが多いです。
比較表:EC構築方法の違い
EC構築方法 | 初期費用 | 運用コスト | カスタマイズ性 | 管理負担 | 代表的なサービス |
---|---|---|---|---|---|
クラウド型 | 低い | 定額 or 手数料 | 限定的 | 低い | Shopify, BASE, MakeShop |
SaaS型 | 低い | 低い | ほぼ不可 | 低い | STORES, カラーミーショップ |
ECパッケージ | 中〜高 | 中 | 高い | 中 | EC-CUBE, Magento |
フルスクラッチ | 非常に高い | 高い | 無制限 | 高い | 独自開発 |
このように、それぞれの構築方法には一長一短があります。選択する際には、事業の成長フェーズ、運用のしやすさ、開発・管理にかけられるコストを総合的に考える必要があります、
クラウド型ECサイトを導入する際、最も気になるのはコストではないでしょうか。初期費用は抑えられるものの、月額料金や取引ごとの手数料が発生するため、運用しながらの支出管理が必要です。また、拡張機能やデザインのカスタマイズを行うと追加費用がかかるケースもあります。
ここでは、クラウド型ECサイトを運営するための基本的なコストについて整理し、どの程度の予算感を持つべきか考えていきます。
1 初期費用・月額費用の目安
クラウド型ECサイトは、初期費用が抑えられる点が特徴です。しかし、無料で開設できるものから、初期設定費用が必要なものまでサービスごとに異なります。また、月額プランの内容によって利用できる機能が変わるため、どの程度のコストを見込むべきか、具体的な数値を挙げながら見ていきましょう。
初期費用
クラウド型ECサイトの初期費用は、0円〜数万円程度が一般的です。
無料で開設できるプラットフォーム
BASE、STORES(基本機能のみ)
初期費用がかかるプラットフォーム
Shopify(約2,000円〜)、MakeShop(11,000円)、futureshop(22,000円)
無料でスタートできるサービスも多いですが、本格的に運用する場合、初期設定費用が発生するケースもあります。法人向けプランやBtoB向けのECサイトを構築する場合は、ある程度の初期投資を見込む必要があるでしょう。
月額費用
月額料金は、利用するプランによって大きく異なります。一般的な価格帯を以下にまとめました。
プラットフォーム | 初期費用 | 月額料金(目安) |
---|---|---|
BASE | 0円 | 無料(手数料型) |
Shopify | 2,000円〜 | 3,000円〜50,000円 |
MakeShop | 11,000円 | 12,000円〜50,000円 |
futureshop | 22,000円 | 10,000円〜 |
無料プランの場合、売上ごとに手数料が発生するため、売上が大きくなると月額固定プランのほうがコストを抑えられる場合もあります。
2 トランザクションフィーと追加コスト
ECサイトの運営には、月額費用だけでなく、取引ごとの手数料(トランザクションフィー)や、拡張機能を追加するためのコストも考慮する必要があります。
トランザクションフィー(決済手数料)
クラウド型ECサイトでは、取引ごとに決済手数料がかかるのが一般的です。主要なプラットフォームの決済手数料は以下のようになっています。
プラットフォーム | クレジットカード決済手数料 |
---|---|
BASE | 6.6% + 40円 |
Shopify | 3.4%〜(プランによる) |
MakeShop | 3.14%〜 |
futureshop | 3.2%〜 |
BASEのような無料プランを提供しているサービスは、売上の一部を手数料として徴収するビジネスモデルになっています。一方、ShopifyやMakeShopのように月額費用を払う代わりに手数料を抑えられるプランもあるため、年間の売上見込みに応じて最適なプランを選ぶことが重要です。
また、クレジットカード決済以外のコンビニ払い、銀行振込、代引きなどの支払い方法を導入すると、さらに手数料が発生するため、支払い手段の選定にも注意が必要です。
追加コスト(デザイン・拡張機能・広告費)
ECサイトの運営には、以下のような追加コストが発生することがあります。
1. デザインカスタマイズ
無料テンプレートでも十分なデザインが整っている場合もありますが、ブランドの世界観を作るためには、オリジナルデザインを適用する必要が出てくることも。テーマやテンプレートを購入すると、1万円〜10万円程度の費用がかかることがあります。また、プロのデザイナーに依頼すると、さらにコストがかかることを考慮する必要があります。
2. プラグイン・アプリ追加費用
クラウド型ECサイトでは、標準機能だけでは足りない部分をプラグインやアプリで補うことができます。例えば、以下のような機能追加を検討する企業も多いでしょう。
・メールマーケティングツール
・クーポン発行機能
・会員制機能
・在庫管理連携
これらのプラグインは、月額1,000円〜10,000円程度の費用がかかることが多く、導入する機能が増えるほどランニングコストも上がっていきます。
3. 広告・マーケティング費用
ECサイトを開設しただけでは、すぐに売上が立つわけではありません。広告やSEO対策を行いながら集客するための費用も見込んでおくべきです。
・Google広告・SNS広告:月1万円〜(予算に応じて変動)
・SEO対策(コンテンツ制作):1記事あたり5,000円〜30,000円
・インフルエンサーマーケティング:1投稿5,000円〜数十万円
売上を伸ばしていくためには、こうしたマーケティング投資も視野に入れる必要があります。
コスト比較を踏まえた運用のポイント
クラウド型ECサイトの費用を整理すると、「固定費」と「変動費」のバランスを考えながらプランを選ぶことが重要だといえます。
・初期費用を抑えたい場合、無料で始められるBASEやSTORESが適している
・ランニングコストを抑えたい場合、月額料金が発生する代わりに手数料が低めのShopifyやMakeShopが有力
・機能拡張が必要な場合、プラグインやアプリの費用を計算に入れる
運営する規模や売上目標に合わせて、最適なプラットフォームを選ぶことで、無駄なコストをかけずに事業を成長させやすくなるでしょう。
クラウド型ECサイトを選ぶ際、どのサービスを利用するかが重要なポイントになります。国内外で多くのプラットフォームが提供されていますが、それぞれ特徴が異なり、ビジネスの規模や目的によって最適な選択肢も変わってきます。
「手軽に始められるサービスは?」「大規模展開を視野に入れた場合の選択肢は?」など、気になる点は多いでしょう。ここでは、Shopify、BASE、MakeShopといった代表的なクラウド型ECプラットフォームを比較し、それぞれの特徴を整理していきます。
Shopifyは、世界175カ国以上で利用されているグローバルスタンダードなECプラットフォームです。特に越境ECや、成長フェーズのEC事業に適しており、スタートアップから大企業まで幅広く活用されています。
メリット
・多言語・多通貨対応が標準機能に含まれる
・カスタマイズ性が高く、豊富なアプリ・プラグインを利用できる
・決済手段が充実(Shopify Payments、PayPal、Apple Payなど)
・スケーラビリティがあり、ビジネスの拡大にも対応しやすい
デメリット
・初期設定にある程度の知識が必要
・月額料金に加えて取引ごとの手数料が発生することがある
・日本国内向けの機能やサポートは、国産サービスよりも少なめ
料金
・ベーシックプラン:月額約3,650円
・スタンダードプラン:月額約10,100円
・アドバンストプラン:月額約44,000円
Shopifyはこんな人におすすめ!
・将来的に海外販売も考えている事業者
・デザインや機能を細かくカスタマイズしたい企業
・拡張性を重視し、長期的にスケールアップを考えている企業
BASEは、「誰でも簡単にネットショップを作れる」をコンセプトに、個人や小規模事業者向けのクラウド型ECサービスとして人気があります。無料でスタートできる点が大きな魅力です。
メリット
・初期費用・月額費用が不要で、売れた分だけ手数料が発生
・シンプルな管理画面で、専門知識がなくても運営しやすい
・決済手数料や振込申請の手間が少なく、初心者向け
デメリット
・デザインの自由度が低く、カスタマイズには制限がある
・取引手数料が高め(6.6%+40円/件)で、売上が大きくなると負担が増える
・大規模ECサイトには不向き
料金
・初期費用:0円
・月額料金:無料
・販売手数料:6.6%+40円/件
BASEはこんな人におすすめ!
・低コストでECサイトを始めたい個人・小規模事業者
・シンプルな機能で十分な人
・短期間でショップを開設したい人
MakeShopは、国内市場に特化したECプラットフォームで、法人向けの機能が充実しています。独自ドメインの利用や細かい設定が可能なため、売上拡大を目指す企業に向いています。
メリット
・国内向けEC運営に適した豊富な機能が標準搭載
・SEO対策が施されており、集客に強い
・会員機能やポイント制度など、大手ECサイト並みの施策が使える
デメリット
・月額料金がやや高め
・カスタマイズには一定の知識が必要
・越境EC向けの機能はShopifyほど充実していない
料金
・初期費用:11,000円
・月額料金:12,000円〜50,000円
・決済手数料:3.14%〜
MakeShopはこんな人におすすめ!
・国内EC市場に注力したい企業
・SEO対策を重視し、集客力を高めたい人
・独自ドメインを利用し、ブランドの信頼性を強化したい人
EC-CUBEは、オープンソース型のECサイト構築ツールとして有名ですが、そのクラウド版が「EC-CUBE Cloud」です。パッケージ版の柔軟なカスタマイズ性と、クラウドの運用のしやすさを両立したサービスです。
メリット
・カスタマイズ性が高く、独自のデザインや機能を組み込める
・国産サービスのため、日本の商習慣にマッチしやすい
・外部システムとの連携がしやすい
デメリット
・他のクラウド型に比べると設定に時間がかかる
・初心者にはやや難易度が高め
・パフォーマンスを最大限に引き出すには開発スキルが必要
料金
・初期費用:無料〜(プランによる)
・月額料金:6,800円〜
・決済手数料:別途契約
EC-CUBE Cloudはこんな人におすすめ!
・クラウド環境でも高度なカスタマイズを行いたい企業
・既存の業務システムとの連携を重視する企業
・国内向けに最適化されたECサイトを運営したい企業
サービス | 初期費用 | 月額料金 | 特徴 |
---|---|---|---|
Shopify | 0円 | 3,000円〜50,000円 | 世界的に人気、越境EC向け |
BASE | 0円 | 無料(手数料型) | 小規模向け、初心者向け |
MakeShop | 11,000円 | 12,100円〜 | 国内向け機能が充実 |
EC-CUBE Cloud | 0円〜 | 6,800円〜 | カスタマイズ性が高い |
クラウド型ECサイトの選択肢は多様ですが、それぞれの特徴を理解し、自社のビジネスに最適なものを選ぶことが大切です。運営の目的や成長戦略を踏まえ、じっくり検討してみてください。
クラウド型ECサイトは、手軽に始められるというメリットがありますが、事前の準備をしっかり行わないと、後になって「このプランでは機能が足りなかった」「ターゲットに合った販売方法ができなかった」といった問題が発生することもあります。
では、どのようなポイントを押さえて進めれば、スムーズに導入できるのでしょうか?
ここでは、導入前に考えるべき点と、具体的な進め方について整理していきます。
1. 事業規模と成長戦略を明確にする
ECサイトの規模によって、最適なプラットフォームは変わります。
小規模な個人ブランドと、全国展開を目指す大手企業では、求められる機能やコストの考え方が異なります。
小規模・個人向け
・初期コストを抑えたいなら、BASEやSTORESのような無料で始められるプラットフォームが適しています
・SNSと連携し、インスタグラム経由の販売を強化するなど、シンプルな運用が望ましいです
中規模・法人向け
・ShopifyやMakeShopのような、拡張性のあるプラットフォームが候補になります
・将来的な売上規模を見据え、ランニングコストと手数料のバランスを考えます
大規模EC・ブランド展開
・カスタマイズの自由度が求められる場合は、EC-CUBE CloudやShopify Plusといった上位プランを検討する必要があります
・ERPや在庫管理システムとの連携を考慮し、API対応の有無を確認する必要があります
事業の成長に合わせた選択ができるかどうかは、ECサイト成功の大きなカギになります。
2. ターゲット層の明確化
「どのような顧客に向けた販売を行うのか?」
これを明確にしないと、ECサイトの構成やマーケティング施策がチグハグになってしまいます。
・個人向け(BtoC)なのか、法人向け(BtoB)なのか
・20代向けのトレンド商品なのか、40代以上の高価格帯商品なのか
・国内市場中心なのか、海外販売(越境EC)も視野に入れるのか
例えば、10〜20代をターゲットにするなら、スマホ操作を意識したデザインが必須になりますし、BtoBなら見積もり機能や請求書決済の対応が求められます。
ターゲットに合わせた機能が揃っているかを確認しながら、ECサイトの方向性を決めていきましょう。
3. カスタマイズの必要性を考える
クラウド型ECサイトは、基本的な機能が揃っている分、カスタマイズの自由度には制限があることが多いです。
「既存の機能で十分なのか、それとも追加のカスタマイズが必要なのか」を事前に整理しておくことが大切です。
・テンプレートのデザインで問題ないか、それともオリジナルのデザインが必要か?
・標準の決済・配送方法で足りるか、それとも特別な連携が必要か?
・会員制度やポイントシステムを導入したいか?
例えば、独自の会員制度を組み込みたい場合、できるプラットフォームとできないプラットフォームがるので、
必要な機能がどのプラットフォームで対応できるのかを見極めることが重要です。
クラウド型ECサイトの導入は、一般的に以下のステップで進められます。
1. プランの選定
どのプラットフォームを利用するかを決定するステップです。
「コスト・機能・運用のしやすさ」の3点を軸に選ぶとよいでしょう。
・売上規模が小さいうちは、固定費ゼロのサービスを選びます
・年間売上が大きくなる見込みなら、手数料よりも月額固定型のほうが有利なこともあるのでバランスを見当してください。
・海外販売を視野に入れるなら、越境ECに強いプラットフォームを選択することもできます。
後から移行するのは手間がかかるため、初期の段階でしっかり検討しておくことが重要です。
2. データ移行(既存ECサイトがある場合)
すでにECサイトを運営している場合、商品データや顧客情報を移行する必要があります。
・商品データ(商品名・価格・在庫・画像など)の移行
・顧客データ(会員情報・購入履歴・ポイント)を引き継げるか確認
・アクセス解析データを保存し、新サイトでの運用に活かす
データの移行方法は、CSVインポートやAPI連携などサービスごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
3. デザインの設定
プラットフォームごとに、用意されているテンプレートを使うか、独自デザインを適用するかを決めます。
・手軽にデザインを決めたい場合 → テンプレートをそのまま使用
・ブランドの世界観を重視する場合 → カスタマイズ対応ができるプラットフォームを選択
・外部デザイナーに依頼する場合 → 作業コストや修正のしやすさも考慮
デザインの統一感を持たせることで、ブランドの印象を強めることができます。
4. 運用開始後の販促施策
サイトの公開後は、集客のための施策が必要になります。
・Google広告やSNS広告を活用し、集客する必要があります。
・SEO対策(ブログ・商品ページの最適化)で自然流入を増やすことができます。
・SNSと連携し、InstagramやLINEなどの販促ツールを活用して顧客を獲得していきますます
・初回購入特典やクーポン施策でリピーターを増やすことができます
「ECサイトを作っただけで売れる」ということはなく、継続的な集客施策が重要です。
クラウド型ECサイトについては、多くの企業が関心を持っていますが、「セキュリティは問題ないのか?」「カスタマイズはどこまでできるのか?」といった疑問が寄せられることがよくあります。
ここでは、よく聞かれる質問に答えながら、クラウド型ECサイトの理解を深めていきます。
Q1. クラウド型ECサイトのセキュリティは大丈夫?
クラウド型ECサイトのセキュリティに関しては、利用するプラットフォームによって異なるものの、基本的には各サービス提供者が最新のセキュリティ対策を施しているため、一定の安全性は確保されています。
・データの暗号化
多くのクラウド型ECプラットフォームでは、SSL(Secure Sockets Layer)証明書が標準装備されており、通信の暗号化が行われています。これにより、顧客の個人情報や決済データが外部に漏れにくくなっています。
・DDoS攻撃や不正アクセス対策
ShopifyやMakeShopなどの大手プラットフォームでは、サーバー負荷を分散し、DDoS攻撃(大量のアクセスを送りつける攻撃)への対策が講じられています。また、不正アクセスを検知する機能が備わっていることが多いです。
・定期的なアップデート
クラウド型の強みの一つは、システムの更新が自動で行われることです。ECサイトを自社運営する場合、セキュリティパッチの適用を自分たちで管理しなければなりませんが、クラウド型ならプラットフォーム側が最新のセキュリティ対策を施してくれるため、安全性が向上します。
注意点
ただし、セキュリティの強度はプラットフォームごとに異なるため、どのような対策が施されているのか事前に確認することが大切です。また、パスワードの管理やアクセス権限の設定など、運営者側でできる対策もしっかりと行いましょう。
Q2. クラウド型ECサイトは中小企業向け?大企業向け?
クラウド型ECサイトは、小規模な個人ショップから大企業まで幅広く利用されています。ただし、利用するサービスやプランによって適した事業規模が異なります。
中小企業向け
BASEやSTORESのような無料プランがあるサービスは、初期投資を抑えてECサイトを始めたい個人や小規模事業者に向いています。また、Shopifyの基本プランやMakeShopのスタンダードプランも、月額1万円前後で利用できるため、予算に合わせた選択がしやすいでしょう。
大企業向け
大規模なEC運営を考える場合、Shopify PlusやMakeShopプレミアムなどの法人向けプランが適しています。これらは、サーバーの安定性やカスタマイズ性が高く、アクセスの増加にも耐えられる設計になっています。また、API連携を活用して既存の業務システムと統合しやすい点も、大企業にとってのメリットです。
どの規模の事業者にも対応できるのがクラウド型ECサイトの強みですが、運営の目的や必要な機能によって最適なプランを選ぶことが重要です。
Q3. カスタマイズ性が低いって本当?
クラウド型ECサイトは「自由なカスタマイズが難しい」と思われがちですが、実際にはサービスごとにカスタマイズの幅が異なります。
カスタマイズしやすいサービス
・Shopify:アプリやプラグインが豊富で、コード編集も可能(上位プランでさらに自由度UP)
・EC-CUBE Co:オープンソースベースで、開発者向けのカスタマイズオプションあり
カスタマイズが制限されるサービス
・BASE・STORES:テンプレートが固定されており、大きな変更は不可
・MakeShop:機能は豊富だが、基本的な構造を大きく変えることは難しい
カスタマイズの自由度が求められる場合は、「どこまで変更できるのか?」を事前にチェックすることが大切です。特に、ブランド独自のデザインを反映したい場合や、特別な機能が必要な場合は、Shopifyの上位プランやEC-CUBE Cloudなどが適した選択肢になります。
Q4. ランニングコストを抑える方法は?
クラウド型ECサイトは、月額費用や取引手数料が発生するため、運用コストを抑える工夫が必要です。
1. 固定費と手数料のバランスを考える
月額無料+手数料型(BASE・STORES)
初期投資を抑えられるが、売上が増えると手数料が負担になることも 売上が小さいうちはメリットが大きいが、一定規模を超えたら固定費型のサービスへ移行を検討
月額固定+手数料低め(Shopify・MakeShop)
売上が大きくなるほど、手数料の影響を受けにくくなります。
年商数百万円を超えるなら、手数料型より固定費型の方がコストを抑えやすいです。
2. 不要な機能の追加を避ける
・クラウド型ECは、拡張機能やプラグインが充実しているものの、追加機能を増やしすぎると月額費用がかさんでしまいます
・本当に必要な機能だけを厳選し、無駄なコストを減らす
3. 決済手数料を考慮する
・クレジットカード決済は手数料が発生するため、銀行振込やコンビニ払いなど、手数料の低い支払い方法も併用することでコストを抑えられます
・Shopifyでは、自社決済サービス(Shopify Payments)を利用することで、決済手数料を低く抑えられます
4. 広告費を適切に管理する
・広告予算を最適化し、無駄な支出を防ぎます
・SEO対策を強化し、広告に頼らず集客することで、ランニングコストを抑えられる
売上が伸びると、それに伴ってコストも増えていくため、収益バランスを意識しながら運用することが重要です。事前にコスト試算を行い、無駄な支出を減らす工夫を取り入れていきましょう。
クラウド型ECサイトは、手軽に導入でき、運用負担を軽減できる点が魅力です。初期費用を抑えつつ、拡張性やセキュリティ対策を備えたサービスが多く、小規模事業から大企業まで幅広く活用されています。一方で、カスタマイズの自由度やランニングコストには注意が必要です。導入前に事業規模やターゲット層、必要な機能を明確にし、最適なプラットフォームを選ぶことが成功のカギとなります。運用後も、費用対効果を意識しながら継続的な集客施策を行うことが重要です。