Webマーケティングや広告業界に身を置くことで、よく耳にする「データフィード」。
しかし、なんとなく理解しているつもりでも、具体的にどのようなシーンで導入するのかイメージしにくいワードかもしれません。
本記事では、改めてデータフィードとは何か、データフィードの仕組みから生成方法、事例までを詳しく解説します。
データフィードへの理解を深めて、効果的なWebマーケティング施策につなげていただければ幸いです。
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Webマーケティングや広告業界におけるデータフィードとは、企業が保有する商品データを、広告媒体が指定する規格に合わせて、変換し、送信する仕組みのことを指します。
例えば、Googleの検索エンジンに商品の写真や、価格、店舗名が表示された経験のある方も多いと思いますが、これはGoogle ショッピング広告という媒体にデータを送っているから表示されています。
この場合のデータとは、自社が保有する商品情報のことです。
Google ショッピング広告では、リスティング広告のようにキーワードを指定して入札するのではなく、事前に登録した商品情報に基づいて、関連性の高い検索語句に広告を配信します。
そのため、事前に広告媒体に対して商品のデータフィードを送り、取り込んでもらう必要があるのです。
なおデータフィードとは、データを「フィード=供給する」仕組みそのものを指しますが、そのほかにも、広告媒体の規格に合わせて自社の商品データを変換したファイルのことをデータフィードと呼ぶこともあります。
わかりやすさを優先してGoogle のショッピング広告を例に解説しましたが、求人検索エンジンにおいても、自社の求人データを送信するデータフィードが使われています。
具体的な提携先は後述しますが、広告配信や採用、SNSなどさまざまなシーンで活用されているのが特徴です。
ここからはデータフィードの主な仕組みについて解説します。まず広告主が自社の商品情報を、IDやタイトル、商品説明など、提携先の広告媒体が定めるルールに則ってリスト化し、送信します。
このリストがデータフィードと呼ばれるもので、CSVやTSV(またはXML)などで作成するのが基本です。
またデータフィードは一度作成したら終わりではなく、商品のアップデートとともに情報も常に更新しなければなりません。
具体的には、在庫が切れてしまったのにデータフィードを更新しなければ、在庫の無い商品が広告に配信されてしまうといったリスクが生じます。
もしくは、商品価格の設定を誤ると、割引商品が定価で広告配信されてしまうかもしれません。
このように、データフィードは広告媒体の規格に合わせて最適化し、常に新鮮な情報を届ける必要があるのです。
データフィードは、情報を効率的かつ自動的に配信するための仕組みであり、WebマーケティングやECを中心に、さまざまな業界で重要な役割を果たしています。
特に、広告キャンペーンや商品データの管理において、その効果は顕著です。ここでは、データフィードの主な役割について詳しく解説します。
データフィードを活用することで、データフィード内の情報を基に広告のクリエイティブ(商品タイトルや画像、価格など)が自動で生成されます。そのため、広告主側が都度、配信する広告のクリエイティブを何パターンも考える必要がありません。
広告媒体は、登録されたデータフィードの以下の情報を基に、自動でクリエイティブを生成するため、更に効率的に配信されます。
・商品ID
・商品名
・価格
・画像URL
・割引率
・商品説明
・定価
・リンク先URLなど
見方を変えれば、データフィードに入力されている商品情報に誤りがあると、正しいクリエイティブでの配信が困難になるため、データを常に最新の状態に保てるかが重要です
データフィードは、広告媒体の機械学習を促進させる役割も担います。具体的には、データフィード内の項目には必ず指定しなければいけない必須項目と、任意で指定する任意項目があります。
もちろん必須項目だけでも配信自体は可能であるものの、より多くのデータを登録することで機械学習を促進させられれば、より効果的な広告配信が可能です。
そのため、商品の具体的なカテゴリを登録したり、ファッションのサイズ表記を追加したりするなど、効果的に機械学習を促進させるための任意項目もできる限り設定しましょう。
ここからは、具体的にデータフィードがどのような広告媒体と連携できるのか、その連携先について見ていきます。
検索エンジン大手のGoogleが提供している検索連動型広告です。Google検索エンジンの最上部に、検索キーワードと連動する形で、商品名・画像・価格・店舗名などが表示されます。
テキストのみのリスティング広告よりも、画像を用いて訴求されているため、ユーザーからの視認性も高く、クリックされやすいのが最大の特徴です。
また、商品名や商品のカテゴリーで検索する購買意欲の高いユーザーを対象とするため、顕在ニーズに沿ってコンバージョンを促しやすいのもメリットの一つでしょう。
なおローカル在庫広告を活用すれば、商品在庫を保有する近隣店舗も表示でき、実店舗への集客も促進できるなど、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上にも寄与します。
Meta Advantage+ カタログ広告は、FacebookやInstagramなどに商品カタログを宣伝できる機能のことです。仕組みは非常にわかりやすく、FacebookやInstagramで宣伝したいアイテムの情報を格納するカタログを作成します。
作成したカタログ内にあるアイテムにユーザーが興味を示すと、機械学習が自動で広告を生成し、配信するというものです。
Meta Advantage+ カタログ広告の配信先は、以下の通りです。
フィード、PC右側の広告枠など |
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フィード、ストーリーズ |
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Messenger |
ホーム |
Audience Network |
ネイティブ、バナー、インタースティシャル |
カタログ内にアイテムを追加する際に、スプレッドシートまたはファイルを使うデータフィードを利用します。
アフィリエイトとは、広告主が出稿している広告から、商品やサービスが購入されると料金が発生する成果報酬型の広告手法のことです。実はアフィリエイト広告においてもデータフィードを使うことができます。例えば、LINEブランドカタログもそのうちの一つです。
LINEブランドカタログを利用すれば、自社商品やサービスを、公式アカウント友だち数約4,800万人(2024年7月時点)、掲載ショップ約1,000ショップ以上(2024年7月時点)の膨大なユーザーにリーチできます。
LINEブランドカタログでは、売上金額に対して成果報酬が発生するアフィエイト方式となっており、掲載にあたってはASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)との契約が必要です。
商品や価格情報を連携する際に、データフィードを使用します。
参考:LINEブランドカタログ公式サイト
出典:indeed公式サイト
求人検索エンジンとは、求人に特化した情報を掲載するための検索エンジンのことを指し、代表的なサービスに「indeed」や「求人ボックス」などがあります。
これまでは広告配信の観点からデータフィードの使い道を紹介してきましたが、実は求人検索エンジンにもデータフィードは活用されています。
例えば、indeedであれば求人情報が掲載された採用ページのWebページ(HTML)を、素早く読み込んで更新する、XML形式のフィードを取り入れているのが特徴です。
HTML形式の採用ページの募集内容を更新した場合に、クローラーだけに任せていては、いつ情報を取得して最新の募集内容に書き換えてくれるかわかりません。
そこで、HTMLデータをXML形式に変換することで、例え募集内容が更新されたとしても、求人情報に古い情報が掲載されることなく、迅速に反映されます。
つまり、素早く求人情報の更新が可能であり、フィードを活用することで細かなチューニングも可能になるというわけです。
データフィードは、広告配信や採用など多方面で活用されていますが、ECサイトの改善においても重宝されています。例えば、ECサイトの回遊率やCVR(コンバージョン率)を改善する目的で使用されています。
具体的に、AIマーケティングツールの「awoo AI」では、商品データフィードを活用し、ECサイト内にある、あらゆる商品の特徴を理解し、その商品を示すハッシュタグを自動で生成するのが特徴です。
これまでのECサイトでは補足的な役割であったハッシュタグをフル活用することで、ユーザーが商品ページを閲覧してから、次の商品ページへ遷移するなど、サイト回遊率の向上に寄与します。
また、ユーザー自身が求める商品のハッシュタグを生成することで、最終的にはCVR(コンバージョン率)の改善も図れるでしょう。
このように、データフィードは今や広告配信や採用面だけでなく、CRO(コンバージョン率最適化)にも役立てられています。
ここからは、データフィードのメリットをご紹介します。特に広告配信で活用するシーンが多いため、Webマーケティング分野での導入を視野に検討されている場合は必見です。
リスティング広告を出稿する場合は、入稿用にいくつかのテキストを用意する必要があります。またディスプレイ広告であれば、テキストのみならず画像の制作も必要なため、一定の工数がかかる点は否めません。
一方で、データフィード広告の場合は、データフィードさえ用意できれば、あとは広告媒体が適切な組み合わせを学習し、自動で広告を配信してくれます。
そのため、画像制作をデザイナーに依頼する、効果的なテキストを作成するためにキャッチコピーに時間を費やすこともありません。
広告制作の工数を削減できるのが、データフィードのメリットです。
データフィードで広告を出稿すると、広告媒体側で機械学習が行われますので、ユーザーが検索したキーワードに対してマッチした広告やCVしそうな商材を自動で判別してくれます。
そのため、通常の広告出稿であれば、次はどのターゲットを狙うべきか、マーケティング担当者が施策を練り、改善を施す必要がありますが、データフィード広告であればこのような工数も削減できるでしょう。
無理なく、最適なユーザーに広告を配信できるのが、データフィード広告の特徴です。
通常の広告出稿では、配信された広告をクリックすると、専用のランディングページや商品一覧ページなどに遷移させられてしまいます。
しかし、データフィード広告を活用すれば、ユーザーがクリックした商品の詳細ページに、直接ランディングさせることが可能です。
そのため、興味のある商品ページにすぐさま遷移することで、ユーザーの離脱率への影響も最小限に抑えられるでしょう。
購買意欲が高い状態のまま、商品詳細へ飛べるため、CVR(コンバージョン率)向上も期待できます。
広告制作の手間も削減でき、ユーザーに特化した広告を配信できるため、さまざまなメリットをもたらすデータフィードでしたが、事前に把握しておくべきデメリットも存在します。
データフィードの規格は、広告媒体によって異なります。そのため、必要なデータを整えて媒体ごとに用意しなければならず、一定のリソースが発生してしまう点は否めません。
また繰り返しお伝えしますが、データフィードは一度設定して終わりではなく、価格や在庫情報など常にメンテナンスをする必要があります。
このようなメンテナンスを自社だけで対応するのが難しいケースも考えられるため、事前にデータフィードの作成やメンテナンスに時間を費やすことができるかを判断しておきたいところです。
また、広告媒体ごとにフォーマットやファイル形式、アップロード方法まで異なるため、こちらも事前の確認が必要不可欠です。
ここからは、データフィードを生成する方法と、それぞれの注意事項を具体的に見ていきます。
内製化とは、自社でデータフィードを生成し、管理を行う手法です。
内製化するために、外注コストが発生しないのがメリットではありますが、データを整えて、都度メンテナンスする必要があるため、事前にどの程度工数がかかるかを算出できていないと、従業員の負担になるでしょう。
内製化を検討する場合は、システム構築のコストやデータ修正における工数などを、事前に算出することが肝要です。
自社で内製化が難しい場合は、外部のデータフィードサービスを利用することでも作成できます。
外部サービスを利用する場合は、すべて運用を外部に委託できるため手間がかからないのがメリットでしょう。また、万が一トラブルがあったとしても、外部の担当者がすべて対応してくれるため、気持ち的にも安心できます。
一方で、当然ではありますが、運用すべてを外部に委託するためにランニングコストが発生し、後述するデータフィード管理ツールよりも高額になりやすい点は否めません。
外部サービスを検討する場合は、導入後のランニングコストとの兼ね合いを判断し、どの程度費用対効果を得られるのか考えておく必要があるでしょう。
内製化が難しく、外部サービスの利用もコスト的に慎重にならざるを得ない場合は、データフィード管理ツールの活用も視野に入れてみましょう。データフィード管理ツールとは、ベンダーから提供されたツールを使用して、データフィードを作成するというものです。
担当者がツールを使うことで、より簡単に確実にデータフィードを生成できます。
最近では、優秀なデータフィード管理ツールも多く、主要な広告媒体を網羅していたり、わかりやすいUI(ユーザーインターフェース)で使いやすかったりと、機能が豊富に搭載されています。
もちろんツールを使用するには料金が発生しますが、すべて外部に委託する場合と比べると割安なのもメリットです。
またすべてを内製化するよりは、工数はかかりませんが、それでも担当者がツールを使用し、日々メンテナンスが必要なので、その点は考慮しなければなりません。
継続率98.0%のデータフィード管理ツール「dfplus.io」の導入事例です。
株式会社フィードフォースが運営している「dfplus.io」は、データフィードが初心者の方でも安心して使えるわかりやすいUI(ユーザーインターフェース)を採用し、フィードの自動作成や人的ミス回避など、さまざまな機能が用意されています。
例えば、旅行予約サイト「travel with」を運営されている、トラベル・スタンダード・ジャパン株式会社では、積極的な広告戦略の後押しにdfplus.ioを導入。
具体的には、インハウス運用で担当者1名と限られたリソースにもかかわらず、「他社のどこよりも早く新しい媒体やメニューにトライする」という戦略を実現し、半年で活用フィード数が2倍にまで増加しているとのことです。
dfplus.ioの導入によって、複数の広告媒体における成果を最大化されています。
参考:旅行予約サイトを運営するトラベル・スタンダード・ジャパンのデータフィード管理環境として「dfplus.io」が導入されました|dfplus.io公式サイト
本記事では、広告戦略の強力な後押しにつながるデータフィードの概要やメリット・デメリット、提携先の一例などを詳しくお伝えしました。
自社で内製化するのか、またはデータフィード管理ツールを導入するのか、外部委託なのか検討項目はさまざま用意されておりますので、自社の費用対効果と照らし合わせながら検討してみてください。