コンバージョンが大事とはよく聞くものの、実際のところ、どれだけ意識されていますか?広告運用やWebサイトの改善を任されている人なら、一度は「思ったように成果が伸びない」と悩んだことがあるかもしれません。
コンバージョンは、単なる「数」ではなく、ビジネスの成長そのものを映し出す指標です。サイトに訪れたユーザーが商品を購入するのか、それとも離脱してしまうのか。そこには、小さな設計の違いが大きな影響を与えています。
ただ、「コンバージョンを増やしましょう」と言うのは簡単ですが、実際にどうすればいいのか、その方法を具体的に考えるのは難しいものです。CTAボタンのデザインを変える?ランディングページを見直す?フォームの項目を減らす?いろいろ試しているのに成果が出ない……そんなジレンマを抱えている方も多いでしょう。
そこで、この記事では「そもそもコンバージョンとは何なのか?」という基本から、「どうすれば効率的に改善できるのか?」という実践的な方法までを整理しました。特に、単に「増やすこと」にフォーカスするのではなく、「なぜ増えないのか?」という視点も交えて考えていきます。
数字の変化に一喜一憂するのではなく、本質的な改善を積み重ねる。そのためのヒントを、ぜひここで見つけてください。
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コンバージョンとは、Webサイトや広告を通じて達成したい成果のことです。ECサイトなら「商品が購入された瞬間」、BtoBサイトなら「問い合わせフォームが送信されたとき」がそれにあたります。一言で表すと、訪問者の行動が、運営側が期待する成果に結びついた状態となります。
では、なぜ「コンバージョン」という表現が使われるのでしょうか?この言葉は英語の“Conversion”(転換、変換)に由来しており、広告費や集客施策が成果へと転換されることを意味します。
訪問者が単にページを閲覧しただけではビジネスにはつながりません。しかし、適切な仕組みが用意されていれば、興味を持ったユーザーがアクションを起こし、具体的な成果として数字に表れるようになります。
そのため、コンバージョンを増やすことは、単なる指標の向上ではなく、ビジネス全体の成長に直結するといえます。
コンバージョンとビジネスゴールの関係
コンバージョンの具体的な内容は、業種やビジネスモデルによって異なります。どのような成果を求めるかによって、その定義も変わってくるのです。
ECサイトの場合
オンラインショップでは、最も重要なコンバージョンは商品購入です。
しかし、それだけではありません。たとえば、以下のような行動もビジネスにとって価値のあるコンバージョンと考えられます。
・カートへの商品追加
・会員登録
・メルマガ購読
・クーポンの取得
最終的な購入につながる流れを作るために、こうした「小さなコンバージョン」も意識することが重要です。
BtoBサイトの場合
企業向けサービスやSaaS(Software as a Service)のような業態では、問い合わせの送信や資料請求がコンバージョンとして設定されることが一般的です。BtoC(一般消費者向け)と比べて、顧客が意思決定をするまでのプロセスが長いため、コンバージョンの定義も異なります。
たとえば、以下のような行動も重要な指標になります。
・無料トライアルの申し込み
・ウェビナー(オンラインセミナー)の参加登録
・ホワイトペーパー(業界レポートやケーススタディ)のダウンロード
これらの行動を積み重ねることで、最終的な契約や成約につながります。
コンバージョンと一口に言っても、その形は業種やビジネスモデルによって大きく異なります。ECサイトであれば「商品購入」、メディアサイトなら「広告クリック」、アプリなら「インストール」など、サイトやサービスの目的に応じた指標が設定されるのが一般的です。
どのコンバージョンを重視するかによって、Webサイトの設計や広告の打ち方が変わるため、自社のビジネスにとって適切なゴールを設定することが重要です。ここでは、代表的なケースを見ていきましょう。
オンラインショップのコンバージョン
ECサイトにおける最も重要なコンバージョンは、商品が購入されることです。最終的に売上につながるこのアクションが目標に設定されるのは当然ですが、それ以外にも顧客との接点を増やすために役立つコンバージョンがあります。
よく設定されるコンバージョン例
・商品購入:カートに追加された商品が最終的に決済される
・会員登録:次回の購入につながる顧客データの獲得
・メルマガ登録:定期的に販促情報を届けるためのリスト確保
・クーポンの取得:割引をきっかけに購入を促進
・お気に入り登録:ユーザーの購買意欲を高める指標
これらのコンバージョンは、商品購入につながる前段階の行動としても活用できます。たとえば、「お気に入り登録をした人には、翌日にクーポンを配布する」などの施策によって、購入を後押しすることも可能です。
2. BtoBサービスサイトのコンバージョン
法人向けのWebサイトでは、訪問したユーザーがすぐに契約へと進むケースは少なく、比較検討の時間が長くなる傾向があります。そのため、いきなり「申し込み」を促すのではなく、段階的に情報を提供しながら関係を築くことが重要です。
主なコンバージョン例
・資料請求:サービスの詳細情報をダウンロードさせることで、関心の高いユーザーを特定
・問い合わせ送信:具体的な相談が寄せられた時点で、商談へと発展する可能性が高い
・見積もり依頼:導入を検討している企業が、費用感を知りたいと考えたタイミング
・無料トライアルの申し込み:サービスの導入を検討する企業が試しに使ってみるステップ
BtoBの場合は、最終的な成約までに複数の接点を経ることが一般的です。そのため、問い合わせや資料請求といった初期のアクションを適切に評価し、コンバージョンとして追跡することが重要になります。
3. メディアサイトのコンバージョン
情報発信を主な目的とするメディアサイトでは、売上につながる形でユーザーの行動を促すことが求められます。広告収益型のサイトでは、ページビューを増やすだけでなく、広告のクリックや会員登録といったアクションを重視することが多いです。
代表的なコンバージョン
・有料会員申し込み:月額課金モデルで運営されるメディアでは、継続的な収益の柱
・広告クリック:広告収益型サイトでは、バナーや記事広告のクリックが直接的な収益につながる
・ニュースレター登録:メルマガを通じてユーザーとの接点を増やし、再訪を促す
・SNSシェア:記事の拡散によって新規ユーザーを呼び込むための重要な指標
メディアサイトでは、一度訪問したユーザーに継続的に関心を持ってもらうことが鍵になります。たとえば、「ニュースレター登録を増やす」「SNSでのシェアを促進する」といった施策を通じて、サイト全体のパフォーマンスを高めていく必要があります。
4. アプリにおけるコンバージョン
スマートフォンアプリの場合、インストールされることが第一の目標になりがちですが、実際には「インストール後に継続して利用してもらうこと」がより重要です。アプリが削除されず、収益につながる行動を促すことが本当の意味での成功といえるでしょう。
アプリでの主要なコンバージョン
・インストール:新規ユーザーの獲得
・アプリ内課金:ゲームアプリやサブスクリプション型サービスでの収益ポイント
・会員登録:ユーザー情報を取得し、継続的な利用につなげる
・プッシュ通知の許可:リテンション率(継続率)を高めるための鍵
アプリは、インストールされたものの使われずに終わるケースも少なくありません。そのため、ユーザーが定着する仕組みを整え、「どのタイミングでどんな行動を促すか」を意識することが重要になります。たとえば、初回利用時に特典を用意したり、適切なタイミングでプッシュ通知を活用することで、コンバージョンの向上につながることがあります。
コンバージョンは、単に「成果を達成した数」としてカウントするだけではなく、さまざまな視点から分類することで、ユーザーの動向や施策の効果をより正確に分析できます。
たとえば、同じコンバージョン数でも、「何度も訪れてコンバージョンしたユーザー」と「初回訪問でコンバージョンしたユーザー」では、意味合いが大きく異なります。流入経路ごとにどのような経緯で成果につながったのかを把握すれば、次のマーケティング戦略をより的確に立てられるでしょう。
ここでは、よく使われるコンバージョンの分類を解説していきます。
1. 総コンバージョン(Total Conversions)
ある期間内に発生したコンバージョンの合計を指します。
たとえば、ECサイトで1か月間に100件の商品購入が発生した場合、その100件が総コンバージョンとなります。単純な成果の指標として使われますが、実際のマーケティング施策の効果を測るには、次に紹介する「ユニークコンバージョン」や「間接コンバージョン」などのデータと組み合わせて分析することが重要です。
2. ユニークコンバージョン(Unique Conversions)
同じユーザーが複数回コンバージョンした場合でも、1回としてカウントする方法です。
たとえば、あるユーザーが1か月の間に3回購入をしたとしても、ユニークコンバージョンとしては「1」とカウントされます。
この指標を使うと、「新規ユーザーの獲得状況」や「リピーターの割合」が見えてきます。総コンバージョンと比較すると、どれくらいのユーザーが繰り返しコンバージョンしているのかがわかり、マーケティング施策の調整に役立ちます。
3. 直接コンバージョン(Direct Conversion)
直近の流入経路が成果に直結したコンバージョンを指します。
たとえば、Google検索で「商品名」を調べたユーザーが、検索結果から直接ECサイトに訪れ、そのまま購入した場合は「直接コンバージョン」として記録されます。また、広告をクリックして訪問し、その場で資料請求や問い合わせを行った場合も、これに含まれます。
直接コンバージョンが多い場合は、ランディングページの設計が適切であり、訪問者が迷わずアクションを起こせている可能性が高いといえます。
4. 間接コンバージョン(Assisted Conversion)
過去の訪問履歴に基づいて、複数回の接触を経て発生したコンバージョンです。
たとえば、ユーザーがSNSの投稿を見て一度サイトを訪問し、その時は何もアクションを起こさなかったものの、数日後にGoogleで再検索してサイトに戻り、商品を購入した場合、最初のSNSからの流入は「間接コンバージョン」に含まれます。
このデータを活用すれば、広告やSNS施策がコンバージョンにどれくらい貢献しているのかを分析できます。「直接コンバージョンが少ないから広告の効果が低い」と判断するのは早計で、間接コンバージョンを含めた全体の流れを把握することが重要です。
5. クリックスルー・コンバージョン(Click-Through Conversion)
広告をクリックした訪問者が、同じセッション内でコンバージョンしたケースです。
たとえば、Facebook広告をクリックしてサイトを訪問し、その場で資料請求を行った場合、そのコンバージョンは「クリックスルー・コンバージョン」として計測されます。
この数値が高い場合は、広告のターゲティングが適切であり、訪問者が興味を持った状態でサイトに流入していると考えられます。一方で、クリック数が多いのにコンバージョン率が低い場合は、広告とランディングページの内容が合っていない可能性があるため、改善が必要です。
6. ビュースルー・コンバージョン(View-Through Conversion)
広告をクリックせずに閲覧しただけのユーザーが、その後コンバージョンに至ったケースを指します。
たとえば、YouTubeのバナー広告を見たものの、その場では何も行動を起こさなかったユーザーが、数日後に直接Webサイトを訪問して購入した場合、その成果は「ビュースルー・コンバージョン」として記録されます。
この指標は、ディスプレイ広告や動画広告など、比較的「間接的な影響」を持つ広告の効果を測るのに役立ちます。「クリックされない広告は無意味」と思われがちですが、実際には視認されたことがコンバージョンにつながるケースも多いため、こうしたデータを分析することで、より的確な評価ができるようになります。
コンバージョンの種類を把握する意義
コンバージョンの分類は、単なる指標の違いではなく、マーケティング施策の評価や改善のために重要な役割を果たします。
たとえば、直接コンバージョンが多い場合は「すぐに成果につながる広告」が効果的である一方で、間接コンバージョンが目立つ場合は「複数の接触ポイントを意識した施策」が求められます。また、ビュースルー・コンバージョンを軽視してしまうと、ブランド認知の影響を正しく把握できなくなります。
そのため、数値を単純に比較するのではなく、「どの指標をどのように活用すべきか」を意識することが大切です。次のステップでは、コンバージョンをより細かく分析するための方法について掘り下げていきます。
マイクロコンバージョンとは、ユーザーが最終的な成果に至る前に行う、小さなステップを指します。Webサイトや広告の効果を測る際、多くの人が「購入」や「申し込み」といった最終的なコンバージョンに注目しがちです。しかし、実際にはユーザーがそのゴールに到達するまでには、さまざまなステップが存在します。そこで重要になるのが「マイクロコンバージョン」です。
たとえば、ECサイトで商品を購入する前に、ユーザーが「お気に入り登録」や「カートに追加」を行っていたとします。この行動は最終的な売上には直結しませんが、購入意欲の高さを示す指標のひとつです。このように、最終成果に至る前のアクションをコンバージョンとして捉え、分析に活用する考え方がマイクロコンバージョンです。
これには、以下のような行動が含まれます。
マイクロコンバージョンの具体例
ECサイトの場合
・商品のお気に入り登録、カートへの追加、クーポンの取得
BtoBサービスサイトの場合
資料のダウンロード、セミナー・ウェビナーへの申し込み、問い合わせページの閲覧
メディアサイトの場合
記事の最後までスクロール、メルマガ登録。SNSシェア
このような行動を可視化することで、広告運用においてコンバージョン(CV)が少なく、機械学習が十分に機能しない場合の補助データとして活用できます。
たとえば、ECサイトの広告運用では、購入という最終的なCVが少ないと、機械学習の最適化が進まず、広告配信の精度が上がりにくいことがあります。そのような状況では、マイクロコンバージョン(お気に入り登録、カート追加、クーポン取得など)をCVの代替指標として設定し、学習を促進することが有効です。
同様に、BtoBサービスの広告では、「問い合わせ」や「商談予約」などのCVが少ない場合に、「資料ダウンロード」や「ウェビナー申し込み」をマイクロコンバージョンとして活用できます。これにより、広告プラットフォームの機械学習がより多くのデータを処理できるようになり、最適化が加速します。
また、メディアサイトの広告運用においても、最終的な有料会員登録のCVが少ない場合、「記事の最後までスクロール」「メルマガ登録」「SNSシェア」といったマイクロコンバージョンを計測・活用することで、精度の高いターゲティングが可能になります。
このように、CVが少なく機械学習が進まない場合でも、マイクロコンバージョンを適切に設定することで、広告配信の最適化を促し、成果につなげることができます。
コンバージョン率を向上させるための施策は数多くありますが、最も重要なのは「ユーザーがストレスなく行動できる環境を整えること」です。いくら多くの訪問者を集めても、目的のアクションにつながらなければ意味がありません。
では、具体的にどのようなポイントに注目すべきなのでしょうか?ユーザーの検索意図に適したコンテンツ設計、サイトの使いやすさ、行動を促す工夫、そしてスムーズな入力体験。この4つの観点から、改善のヒントを紹介します。
1. ターゲットに適したキーワード設定
どれだけ魅力的なコンテンツや商品を用意していても、ユーザーの検索意図とズレていればコンバージョンにつながりにくくなります。
たとえば、「おしゃれなスマホケース」を求めているユーザーに対し、機能性を前面に押し出したページを見せても、期待に応えられない可能性があります。逆に、「防水スマホケース」を探している人には、デザインよりも耐久性や防水性能を強調した方が響くでしょう。
① 検索意図とページ内容の一致を意識する
ユーザーが求める情報や商品をスムーズに提供することが大切です。次のような視点で見直してみてください。
・検索されるキーワードが「情報収集目的」か「購入意欲が高いもの」かを区別するようにします。
・記事や商品ページの内容が、検索意図と合致しているか確認します。
・タイトルや見出しが、ユーザーの関心を引くものになっているかチェックします。
② 購買意欲の高いキーワードを狙う
「商標キーワード(例:◯◯シャンプー 口コミ)」や「具体的なニーズ(例:乾燥肌 シャンプー おすすめ)」を含む検索は、比較的コンバージョンにつながりやすい傾向があります。
そのため、検索ボリュームだけでなく、どのフェーズにいるユーザーを狙うかも考慮してキーワードを選定すると、成果が出やすくなります。
2. Webサイトの導線・UI/UX改善
訪問者がストレスを感じることなく目的のアクションに進めるかどうかは、サイトの導線設計やユーザーインターフェース(UI/UX)に大きく左右されます。
① ユーザーが迷わずゴールに到達できる情報設計
・重要な情報をファーストビュー(最初に見える範囲)に配置します
・ページ遷移のステップを減らします(クリック数が多いと離脱率が上がりやすい)
・直感的に操作できるデザインを採用します(たとえば、ボタンの位置を目立たせる)
スマホユーザーが増えているため、モバイル最適化を意識した設計が欠かせません。
② 読み込み速度を改善する
ページの表示が遅いと、待ち時間にイライラして離脱するユーザーが増えてしまいます。画像の圧縮、不要なスクリプトの削除、キャッシュの活用など、技術的な部分の見直しも重要です。
3. CTA(ボタン・バナー)の最適化
CTA(Call to Action)は、コンバージョンに直結する重要な要素のひとつです。たとえば、「今すぐ購入する」と書かれたボタンと、「詳しくはこちら」のような曖昧なボタンでは、クリック率に大きな差が出ることがあります。
① 目立つデザインと配置
・ボタンの色や大きさを適切に調整し、視認性を高めます
・ページのどこにいてもCTAが見えるように設計する(固定表示など)
・ユーザーの視線の流れを意識して、適切な位置に配置します
② 行動を促すコピーを工夫する
「無料で試してみる」
「たった◯分で完了」
「今なら特典付き!」
このように、「お得感」や「手軽さ」を伝えるフレーズを活用すると、クリック率が向上しやすくなります。
4. 入力フォームの最適化(EFO)
問い合わせや購入手続きの直前で離脱するケースは意外と多いものです。その理由のひとつが、入力フォームの使いにくさです。
① フォームの項目を必要最低限にする
・不要な入力項目を減らします(本当に必要な情報だけを求める)
・住所や電話番号の入力を必須にするか再検討して、必要に応じて削除します
・オートコンプリート機能を活用し、手間を減らすようにします。
多くのユーザーは、入力が面倒だと感じると途中で離脱してしまいます。そのため、「最小限の情報で申し込みできるか?」という視点で設計を見直すことが重要です。
② スマホでの入力のしやすさを意識する
スマホ経由のコンバージョンが増えているため、入力フォームの最適化は欠かせません。
・タップしやすいボタンサイズを設定する
・キーボードの種類を自動切り替え(メール入力時は「@」が出るキーボードに)
・リアルタイムでエラーを表示し、入力ミスを減らす
③ 安心感を与える工夫
・セキュリティ面の表記を明確にします(「SSL暗号化通信を採用」など)
・プライバシーポリシーをわかりやすく記載します
・「〇〇社も導入済み」といった信頼性を示す情報を添えます
入力に対する不安を取り除くことで、ユーザーの離脱を防ぐことができます。
コンバージョンを改善するためには、正確なデータを取得し、現状を把握することが欠かせません。訪問者がどのような経路でサイトに来て、どのページで行動を起こしたのかを分析することで、課題や改善点が見えてきます。
ただし、データを正しく取得できていなければ、どれだけ効果的な施策を考えても的外れになってしまいます。ここでは、代表的な計測ツールや設定方法、よくあるトラブルについて解説します。
1. 主な解析・広告管理ツール
コンバージョンを計測するためには、Web解析ツールや広告管理ツールを適切に活用することが重要です。以下は、代表的なツールとその役割です。
① Google アナリティクス(GA4)
Google アナリティクスは、Webサイトの訪問者の行動を詳細に分析できるツールです。最新バージョンのGA4では、ページ閲覧やボタンクリック、スクロール動作など、さまざまなユーザーの行動をイベントとして記録できます。
主な活用ポイント
・コンバージョンのトラッキング(例:購入完了、フォーム送信、ダウンロード)
・流入経路の分析(検索エンジン、SNS、広告など)
・ユーザー属性の把握(地域、デバイス、閲覧ページなど)
② Google タグマネージャー(GTM)
Google タグマネージャーは、Webサイトに埋め込むタグ(計測用スクリプト)を一元管理できるツールです。GA4や広告のコンバージョンタグを、サイトのコードを直接編集せずに設定・管理できます。
主な活用ポイント
・タグの追加や変更を簡単に行えます
・イベントトラッキングの設定を柔軟に管理していきます
・テスト機能を使って計測が正常に機能しているか確認します
③ 広告管理ツール(Google広告、Facebook広告など)
広告経由のコンバージョンを測定するために、各プラットフォームの管理画面でコンバージョンタグを設定します。
主な活用ポイント
・Google広告やFacebook広告の効果測定
・クリック後のユーザー行動を把握
・リターゲティング(過去訪問者への広告配信)を実施
広告を運用する場合、これらのツールとGA4を組み合わせて使うことで、より精度の高い分析ができます。
2. コンバージョントラッキング設定の基本フロー
計測ツールを活用するには、正しくトラッキングを設定することが前提となります。基本的な流れは以下の通りです。
① 目標(ゴール)URLの設定
コンバージョンの定義を明確にし、どのページやイベントを計測するのか決めます。
例:
・ECサイトなら「購入完了ページ」のURL(例:/thank-you
)を設定
・資料請求サイトなら「フォーム送信完了ページ」を計測
GA4では「コンバージョンイベント」として、ページビューだけでなく特定のアクション(クリックやスクロール)も測定できます。
② イベントトラッキングの設定
特定のボタンクリックやフォーム送信をコンバージョンとして記録する場合、イベントトラッキングを設定します。
設定例
・ボタンクリックのトラッキング(例:CTAボタンをクリックした回数)
・フォーム送信の検知(例:「送信完了」アラートが表示されたらイベントを発火)
GTMを使用すると、こうしたイベントを比較的簡単に設定できるため、直接コードを編集できない場合でも活用しやすいです。
③ デバッグ・テスト手順
設定後は、データが正しく記録されているか確認することが大切です。以下の手順でチェックできます。
1. Google アナリティクスにて確認
コンバージョンが記録されているかをチェック
2. Google タグマネージャーのプレビューモードを活用
設定したイベントが正しく動作しているかテスト
3. 広告管理画面のコンバージョンデータを確認
広告経由のデータが計測されているかチェック
データの反映には時間がかかることもあるため、設定後は数時間〜1日程度様子を見るとよいでしょう。
3. よくあるトラブル例と対策
コンバージョントラッキングは、一見簡単に見えても、意外と設定ミスが発生しやすい部分です。計測データの信頼性を確保するために、よくある問題とその対策を紹介します。
① タグの設置ミスや重複設置
問題点
・コンバージョンタグが正しく設置されていない
・同じタグが複数回読み込まれ、コンバージョン数が過剰に記録される
対策
・GTMを使う場合、不要なタグが重複していないかチェック
・コンバージョンタグを設置後、デバッグモードで動作確認
・1回のコンバージョンにつき1度だけ計測されるようルールを設定
② 広告管理画面とアナリティクスで数値が異なる
問題点
・Google広告やFacebook広告のコンバージョン数と、GA4のデータが一致しない
・計測期間や計測方法が異なるため、数値のズレが生じる
対策
・広告プラットフォームの「アトリビューション設定」を確認し、計測ルールを統一
・GA4では「ラストクリック」、Google広告では「クリックアトリビューション」が適用されるため、異なるモデルを考慮する
・特定のデバイスやブラウザでの計測漏れがないかチェック
③ 計測データが突然記録されなくなる
問題点
・サイトのリニューアルやCMSの変更でタグが消えてしまいます
・Cookieの設定変更で計測が制限されます
対策
・定期的にタグの動作チェックを行います
・重要なイベントはサーバーサイドトラッキングも検討します
コンバージョン率を向上させるためには、一度の施策で終わらせるのではなく、継続的な検証と改善が欠かせません。
「新しいCTAボタンを設置したが、どれくらい効果があったのか?」
「ページのデザインを変更したが、コンバージョン率にどのような影響が出たのか?」
こうした疑問に対して、データをもとに判断し、改善を繰り返すことで、コンバージョンの向上につながります。そのためのフレームワークが**PDCAサイクル(Plan・Do・Check・Action)**です。
ここでは、コンバージョン改善におけるPDCAの具体的な進め方を解説します。
1. 計画(Plan)
最初に、コンバージョンを改善するための目標を明確にし、どの指標をもとに評価するのかを決めます。
① コンバージョン目標とKPIの設定
単に「コンバージョンを増やす」といっても、何を基準に改善を進めるかが決まっていなければ、効果的な施策を打ち出せません。以下のように、具体的な数値目標を設定しましょう。
・ECサイトの場合:「購入率を1.5%から2%に改善」
・BtoBサイトの場合:「資料請求数を月50件から80件に増やす」
・メディアサイトの場合:「メルマガ登録率を1.2%から1.8%に引き上げる」
これらの目標を決めたら、達成に向けた具体的な施策を考えます。
② A/Bテストの仮説立案
改善策の効果を検証するためには、異なるパターンを比較するA/Bテストが有効です。
仮説の例
・CTAの文言変更:「無料で試す」と「今すぐ登録」でどちらがクリック率が高いか?
・フォームの項目数調整:入力項目を減らすことで送信完了率が上がるか?
・デザイン変更:購入ボタンの色やサイズを変えることでコンバージョンに影響が出るか?
こうした仮説を立てたうえで、次の「実行(Do)」のステップに移ります。
2. 実行(Do)
計画した施策を実際に適用し、データを収集します。
① ページデザイン・コピーの変更
・CTAボタンの変更(色・配置・文言の調整)
・ファーストビューの見直し(重要な情報を目立たせる)
・フォントサイズや余白の調整(可読性を高める)
訪問者が最初に目にするファーストビューのデザインは、コンバージョンに大きな影響を与えるため、慎重にテストを行います。
② 新しいキーワードの出稿
・検索広告のターゲットキーワードを調整
・SEO対策として新たなコンテンツを作成
・ターゲット層に適した広告クリエイティブを試す
新しい施策を適用したら、次は「評価(Check)」の段階に進みます。
3. 評価(Check)
施策の効果を確認し、どの要素が改善につながったのかを分析します。
① コンバージョン率・直帰率・滞在時間のチェック
改善施策を行ったあと、次の指標を確認します。
・コンバージョン率(CVR) → 施策前後でどれくらい変化したか?
・直帰率 → ページを開いてすぐに離脱した割合が増減していないか?
・滞在時間 → ユーザーがページをしっかり読んでいるか?
これらのデータを比較することで、「意図した改善が達成できたのか」を判断します。
② ヒートマップツールでボタンのクリック率を検証
GA4などの解析ツールだけでなく、ヒートマップツールを活用すると、より具体的なユーザー行動を把握できます。
ヒートマップで確認できるポイント
・CTAボタンがどれくらいクリックされているか
・ページ内でどの部分までスクロールされているか
・離脱が多いエリアはどこか
こうしたデータをもとに、次の「改善(Action)」へ進みます。
4. 改善(Action)
評価結果をもとに、効果が高かった施策を拡大し、うまくいかなかったものを修正・再テストします。
① 効果のあった施策を拡大
・クリック率が高かったCTAのデザインを他のページにも適用
・成果の出たランディングページの要素を広告クリエイティブにも活用
一度うまくいった施策を他の部分に展開することで、全体のコンバージョン率向上につながります。
② 効果が薄かった施策を見直し、再テスト
・A/Bテストで効果が低かったパターンに対しては改善案を考え実行します
・フォームの離脱率が高い場合、入力項目やデザインを修正することができます。
③ マイクロコンバージョンのデータを活用する
最終的なコンバージョンに至らなくても、ユーザーがどの段階で離脱したのかを分析することで、新たな改善策を見つけることができます。
例
・「カートに入れたが購入しなかった」 → 価格や送料が原因の可能性があります
・「フォームの途中で離脱した」 → 入力の負担が大きいのかもしれないです
コンバージョンを増やすためには、ユーザーの行動を理解し、適切な施策を継続的に行うことが重要です。
ここでは、コンバージョンの定義から種類、計測方法、改善のポイントまでを解説させていただきました。コンバージョン率を向上させるためには、ターゲットに適したキーワード選定、UI/UXの最適化、CTAの改善、入力フォームの調整が欠かせません。
小さな変更を積み重ねながら、継続的な分析と最適化を行うことで、より高い成果につなげることができます。