「ネットショップを始めたい」「ECで売上を伸ばしたい」
そんなとき、多くの人が目にするのがECモールという選択肢です。
楽天市場やAmazonのような巨大プラットフォームが代表的ですが、一口にECモールといっても、実はいくつかの種類があります。
その中でも、近年急速に成長しているのがマーケットプレイス型ECモールです。これは、従来の「店舗単位で出店する」スタイルとは異なり、商品ごとに販売者が並ぶ仕組みです。メルカリやeBayのように、個人や企業が直接売買を行える形式が多く、CtoC(個人間取引)やD2C(メーカー直販)に適していると注目されています。
ただ、出店のハードルが低く、多くの人が参入しやすい一方で、競争が激化しやすく、価格競争に巻き込まれやすいという点も無視できません。
では、このマーケットプレイス型が選ばれる理由は何なのか?
ここでは、マーケットプレイス型ECモールの仕組みや特徴を整理しながら、「この仕組みをどう活用すればビジネスを成長させられるのか?」という視点で掘り下げていきます。ECに関わる方なら、一度は考えたことがあるであろう「どこで売るのがベストなのか?」という問いへのヒントになれば幸いです。
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マーケットプレイス型ECモールとは、複数の出品者が同じプラットフォーム上で商品を販売できるオンライン市場のことです。Amazonやメルカリなどが代表例で、出店者は在庫や価格を管理し、運営者は決済・集客などをサポートする仕組みです。
テナント型ECモールとは異なり、商品ごとに販売者が並ぶため、価格競争が起こりやすい一方、集客力が高く、出店のハードルが低いのが特徴です。個人・企業問わず活用しやすく、越境ECの販路拡大にも適しています。
では、この「マーケットプレイス型」とは具体的にどのような仕組みなのか、そして従来のテナント型と何が違うのかを見ていきましょう。
マーケットプレイス型ECモールは、プラットフォーム事業者が直接商品を持たず、販売者が個別に出品する形式をとっています。販売者は企業に限らず、個人が参加できるケースもあり、CtoC(個人間取引)の場としても機能することが多いです。
例えば、メルカリやヤフオク!のように、個人が自由に商品を出品し、直接購入者と取引する仕組みもマーケットプレイス型の一種です。一方、Amazonマーケットプレイスのように、企業が販売する商品をAmazonのサイト上で購入できる形態もあります。
マーケットプレイス型の主な特徴は以下の3点です。
プラットフォーム運営者は在庫を持たない
商品の管理や配送は基本的に販売者自身が行う(例外として、AmazonのFBAサービスなど一部の運営支援システムもある)
そのため、プラットフォーム側のコストが抑えられ、出品者の数が増えやすい
売り手の種類が多様
企業だけでなく、個人でも参加しやすい(メルカリやeBayなど)
D2Cブランドや小規模事業者が活用しやすい
価格競争が発生しやすい
同じ商品が複数の出品者によって販売されることが多く、価格設定やレビューの評価が売上に影響を与える
これらの特徴を踏まえると、マーケットプレイス型は売り手にとっては参入しやすいものの、競争が激しくなる環境だといえます。
マーケットプレイス型とよく比較されるのが、テナント型ECモールです。
テナント型の特徴
・出店者ごとに専用のショップページを持ち、独自のブランドを表現できる(楽天市場やZOZOTOWNが代表例)
・出店者が商品の管理・発送・顧客対応を担う
・モール自体の集客力を活かしながらも、ブランドとしての個性を打ち出しやすい
一方で、マーケットプレイス型では、プラットフォーム全体で統一された商品ページが用意され、同じ商品を複数の出品者が取り扱うことも珍しくありません。
例えば、Amazonの「テナント型」と「マーケットプレイス型」を比較すると、それぞれ以下のような違いがあります。
項目 | 楽天市場 | Amazonマーケットプレイス(マーケットプレイス型) |
---|---|---|
在庫の管理 | 出店者が管理・発送 | 出品者が管理・発送(またはFBA利用) |
出品者 | 多様な出店者 | 企業・個人も含め、多様な出品者 |
商品ページ | 出品者ごとにデザインをある程度自由にできる | 同じデザインフォーマットで出品が並ぶ |
価格設定 | 出店者が自由に設定 | 出品者が自由に設定 |
このように、テナント型は「ブランドショップの集まり」、マーケットプレイス型は「売り手ごとの競争がある市場」という違いがあります。
代表的なマーケットプレイス型ECモール
マーケットプレイス型は、世界中でさまざまな形態のプラットフォームが運営されています。代表的な例をいくつか紹介します。
1. Amazonマーケットプレイス(BtoC / CtoC)
Amazonのプラットフォーム上で、企業や個人が商品を販売できる仕組み。FBA(フルフィルメント・バイ・Amazon)を利用すると、Amazonが在庫管理や発送を代行するため、出品者にとっては利便性が高いです。
2. メルカリ(CtoC)
個人間での売買が中心のフリマアプリ。誰でも簡単に出品できる手軽さが人気で、匿名配送や売上金の管理機能など、安全な取引をサポートする仕組みが整っています。
3. eBay(CtoC / BtoC)
世界的に展開されるオークション&即決販売サイト。企業だけでなく個人も自由に商品を販売でき、越境ECとしても活用されることが多いです。
4. Shopee / Lazada(東南アジア中心のBtoC)
東南アジアで急成長しているマーケットプレイス型EC。特にShopeeはライブコマース機能が充実しており、ECとSNSの融合が進んでいます。
ECモールと一言でいっても、その運営方法や出店者の立場には大きな違いがあります。店舗を開設するように出店し、独自のページを運営する形の「テナント型」と、商品ごとに販売者が並ぶ「マーケットプレイス型」があります。
どちらの仕組みが優れているというわけではなく、事業の目的や販売戦略によって向き不向きが変わります。たとえば、「自社のブランドを前面に出したい」という場合と、「すぐに販売を始めて、より多くの顧客にリーチしたい」という場合では選ぶべき形態が異なるでしょう。それぞれの特徴を見ていきます。
マーケットプレイス型ECモールとは?
マーケットプレイス型ECモールは、プラットフォーム運営者が在庫を持たず、出品者が商品を販売するスタイルです。販売ページはプラットフォーム全体で統一されており、同じ商品を複数の出品者が販売することもあります。
この仕組みは、個人や小規模事業者でも参加しやすいのが特徴です。たとえば、メルカリやAmazonマーケットプレイスのように、1点から気軽に出品できるサービスも多く、CtoC(個人間取引)が主流のプラットフォームもあります。
マーケットプレイス型ECモールの特徴
出品が手軽で、すぐに販売できる
専用のショップページを作らなくても商品ごとに販売できる プラットフォームの集客力を活かし、出店の手間を抑えられます。
在庫管理や発送のサポートがある場合も
AmazonのFBA(フルフィルメント・バイ・Amazon)のように、プラットフォーム側が倉庫・発送を代行するケースもある 出品者は販売に集中できるが、手数料が発生します。
価格競争が発生しやすい
同じ商品が複数の出品者から販売されるため、価格やレビュー評価が購買に大きく影響します。
競争が激しく、利益率を確保するための戦略が必要です。
マーケットプレイス型の代表例
Amazonマーケットプレイス
企業・個人が出品でき、FBAを活用すれば物流もAmazonに任せられる 価格競争が激しく、販売戦略が重要です。
メルカリ
CtoC取引の代表的なサービスで、個人が自由に売買できます。 匿名配送や手軽な出品システムが支持されています。
マーケットプレイス型は、出店の手間をかけずにすぐ販売を始めたい場合や、在庫を大量に抱えない形で販売したい事業者に向いているといえます。一方で、競争の激しさや手数料の問題があるため、単に出品するだけでは利益を出しづらいケースもあります。
テナント型ECモールとは?
テナント型ECモールでは、出店者が独自のショップページを運営し、販売する形になります。たとえば、楽天市場やZOZOTOWNのようなプラットフォームがこれにあたります。
この仕組みでは、各ショップがブランドの世界観を構築しやすいことが大きな特徴です。ショップごとにデザインやプロモーションの自由度が高いため、店舗ごとに個性を打ち出せます。
テナント型ECモールの特徴
独自のショップページを運営できる
販売者ごとに商品ページを作成できるため、ブランドイメージを保ちやすい デザインやプロモーションの工夫が可能で、ファンの獲得につながりやすいです。
在庫管理・発送は店舗側が担う
モールはあくまでプラットフォーム提供に徹し、商品の管理や配送は出店者が行う そのため、物流やカスタマーサポートの体制が整っている企業向けとなります。
集客はモール全体の力を借りるが、個別の施策も必要
モール自体の集客力を活かせるものの、競合が多いためSEOや広告施策を強化する必要があります。
テナント型の代表例
楽天市場
出店者ごとに店舗ページがあり、それぞれが独自の販売戦略を展開 クーポンやポイント制度を活用し、リピーターを獲得しやすい
ZOZOTOWN
ブランドごとのショップページが用意され、ファッションブランドが独自の世界観を表現
テナント型は、ブランドの認知度を高めたい企業や、自社サイトを持たないメーカー・ショップに向いているといえます。一方で、出店には一定のコストがかかり、集客のためのマーケティング施策も求められます。
どちらを選ぶべきか?
テナント型とマーケットプレイス型、それぞれに向き不向きがあります。どちらを選ぶべきかは、事業の方向性や戦略次第です。
■テナント型が向いているケース
ブランド構築を重視したい
自社の世界観を打ち出し、リピーターを増やしたい場合には向いています。
比較的高単価な商品を扱う
ブランド価値を伝えやすく、顧客に対する情報発信の自由度が高いです。
広告施策やマーケティングに投資できる
独自の販促が必要だが、その分、競争を回避しやすいです。
■マーケットプレイス型が向いているケース
すぐに販売を始めたい
出店準備の手間をかけずに市場に参入したい場合
低価格帯の商品を扱う
手軽に購入できる商品を、大量に販売するのに適している
個人または小規模事業者として販売したい
初期投資を抑えながらECを活用したい場合
近年、マーケットプレイス型ECモールの利用が拡大し、多くの企業や個人がこの仕組みを活用しています。その背景には、消費者の購買行動の変化と、販売者側のビジネスモデルの進化があります。
かつては、ECといえば企業が運営するオンラインストアが主流でした。しかし、近年ではCtoC取引の普及やメーカーの直販(D2C)、さらには国境を越えた越境ECの増加により、より柔軟で多様な販売チャネルが求められるようになっています。
なぜ今、マーケットプレイス型ECモールがこれほど注目されているのか。その背景となる3つの要因を見ていきましょう。
1. CtoC市場の拡大とユーザーの受容性
かつて、オンラインでの売買は企業が商品を販売し、消費者が購入するのが一般的でした。しかし、フリマアプリやオークションサイトの普及により、個人間取引(CtoC)が急速に広がっています。
日本ではメルカリがその代表例として知られています。数年前までは「中古品をネットで売るのは手間がかかる」「見知らぬ人と取引するのは不安」といった声もありましたが、アプリの利便性が向上し、安全な取引を保証する仕組みが整ったことで、多くの人が気軽に売買を行うようになりました。
また、若い世代を中心に「新品」にこだわらない消費行動が定着してきたのも大きなポイントです。中古品やハンドメイド商品、限定グッズの売買など、企業が販売する商品とは異なる価値を求める動きが広がっています。
これにより、個人が売り手として参加しやすいマーケットプレイス型ECモールの需要が高まり、出品のハードルも大きく下がりました。
CtoC市場の拡大がマーケットプレイス型を後押しする理由
・個人でも簡単に出品・販売できる仕組みが整っています。
・消費者の間で「新品にこだわらない」という意識が広がっています。
・フリマアプリの利用が日常化し、ユーザーの抵抗感が薄れています。
この流れは今後も続くと考えられ、マーケットプレイス型のさらなる成長を後押しする要因の一つになりそうです。
2. D2Cブランドの台頭
これまで、メーカーは小売業者やECモールを通じて商品を販売するのが一般的でした。しかし、最近ではD2C(Direct to Consumer)ブランドの台頭により、メーカーが直接消費者とつながるケースが増えています。
D2Cは、企業が自社サイトやマーケットプレイス型ECを活用し、仲介業者を介さずに直接販売するビジネスモデルです。たとえば、スタートアップ企業がSNSを活用しながらブランドを立ち上げ、Amazonマーケットプレイスや楽天市場を活用して販売するケースが増えています。
D2Cとマーケットプレイス型の相性が良い理由
初期投資を抑えながら販売を開始できる
独自のECサイトを立ち上げるにはコストがかかるが、マーケットプレイスならすぐに販売開始できます。
プラットフォームの集客力を活用できる
自社サイトだけでは集客が難しいが、大手モールなら既存の顧客基盤を活かせます。
スケールしやすい
売上が伸びれば、マーケットプレイスでの販売を維持しつつ、自社ECに誘導する戦略もとれます。
実際、D2Cブランドの多くがAmazonや楽天市場といったマーケットプレイスを活用しながら、ブランド認知度を高め、自社サイトへ誘導する戦略を取っています。これは、特に新規ブランドが市場に参入する際に有効な手法の一つです。
3. 越境ECの加速
もう一つの大きな潮流として、越境ECの成長が挙げられます。国境を越えて商品を販売することは、以前は物流や言語の壁があり、大手企業でなければ難しいとされていました。しかし、マーケットプレイス型のプラットフォームが整備されたことで、中小企業や個人でも海外市場に挑戦しやすくなっています。
たとえば、eBayやShopeeなどのマーケットプレイスは、各国のユーザーが簡単に商品を購入できる仕組みを持っています。日本国内でも、Amazonのグローバルセリング機能を利用すれば、海外の消費者に向けて商品を販売できます。
マーケットプレイス型が越境ECに適している理由
物流の仕組みが整っている
多くのプラットフォームが国際配送をサポートしており、出品者が個別に手続きをする手間が減っています。
多言語対応がしやすい
自社サイトを多言語対応するのは難しいが、マーケットプレイスならプラットフォーム側で対応してくれることが多いです。
海外のユーザーにリーチしやすい
海外のマーケットプレイスに出品すれば、現地の消費者に直接アプローチできます。
また、日本製品の人気が高い市場(例えばアジア圏や北米)では、「Made in Japan」の信頼性が追い風になり、売上が伸びやすい傾向があります。このような環境を考えると、国内販売だけでなく、海外市場への進出も視野に入れるべき時代になっているのかもしれません。
次の章では、マーケットプレイス型ECモールのメリットとデメリットについて整理し、それぞれの強みを最大限活かす方法を考えていきます。
マーケットプレイス型ECモールが急速に普及している理由の一つは、その手軽さとスケールのしやすさにあります。企業はもちろん、個人事業主や副業レベルでも参入しやすく、販売者にとって多くのメリットがある仕組みです。
とはいえ、「売り手が増えれば必ず成功する」という単純な話ではありません。競争が激化しやすい環境でもあるため、マーケットプレイス型の特性を理解し、うまく活用することが求められます。
では、マーケットプレイス型ECモールの主要なメリットを見ていきましょう。
1. 圧倒的な集客力が期待できる
自社でECサイトを開設した場合、最も大きな課題となるのが「どうやってお客様に来てもらうか?」という点です。新しく立ち上げたサイトでは、広告を打ったり、SEO対策を徹底したりしなければ、なかなか認知されません。
その点、マーケットプレイス型ECモールは、すでに確立されたプラットフォームの集客力を活かせるのが強みです。
例えば、Amazonや楽天市場のような大手ECモールでは、運営側が積極的に広告やプロモーションを行い、テレビCMやSNS、検索エンジン経由で大量のアクセスを集めています。これにより、出品者は個別の集客施策をそれほど意識しなくても、多くのユーザーに商品を見てもらえる環境が整っています。
集客面でのメリット
・自社サイトと比べて、オープンしてからの集客がやりやすいです。
・モール運営側が大規模な広告やキャンペーンを実施するため、新規顧客を獲得しやすいです。
・ユーザーが「購入する目的」で訪れているため、購買意欲が高い傾向があります。
もちろん、競合が多い市場では単に出品するだけでは売れません。商品ページの最適化や価格設定の工夫が求められますが、それでもゼロから顧客を呼び込むよりは、はるかに楽な環境といえます。
2. 出店のハードルが低い
マーケットプレイス型ECモールは、企業だけでなく個人でも簡単に出品できる点が特徴です。
従来、ECビジネスを始めるには、以下のような準備が必要でした。しかし、マーケットプレイス型のプラットフォームでは、アカウント登録さえすれば、すぐに販売を始められるケースがほとんどです。
・自社のECサイトを開設
・決済システムやカート機能の導入
・在庫管理や配送の整備
・サポート体制の構築
出店のハードルが低い理由
・サイト構築が不要で、シンプルな手続きで販売開始できます。
・クレジットカード決済や配送手続きなど、基本機能が整っています。
例えば、eBayでは、個人が気軽に商品を販売できる仕組みが整っています。また、Amazonの「マーケットプレイス」に出店すれば、企業だけでなく個人事業主でも簡単にEC販売をスタートできます。
事業規模を問わず、誰でも参加しやすいのは、マーケットプレイス型の大きな強みといえるでしょう。
3. 顧客データの蓄積と活用がしやすい
マーケットプレイス型ECモールでは、出品者が商品を販売するごとにさまざまなデータが蓄積されます。
・どのカテゴリの商品が売れているか?
・どの価格帯が人気なのか?
・どの地域のユーザーがよく購入しているのか?
こうしたデータを分析することで、売上の向上につなげるヒントを得られるのがポイントです。
たとえば、Amazonでは「ビジネスレポート」というツールが提供されており、商品の閲覧数やコンバージョン率(購入に至った割合)をチェックできます。また、楽天市場でも「RMS(楽天マーチャントサービス)」を通じて、詳細な販売データを取得できます。
データ活用のメリット
・購入履歴や閲覧データを基に、商品改善や価格調整がしやすい
・人気商品の傾向をつかみ、売れ筋に集中できます
・レビューやフィードバックを分析し、次の施策に活かせます
ただし、マーケットプレイスの仕組みによっては、顧客の個人情報を直接取得できないこともあります。そのため、ユーザーとの関係を深めるための戦略(SNS活用やリピーター向け施策など)が必要になるケースもあるでしょう。
4. 出品者が増えるほどスケールメリットが生まれる
マーケットプレイス型ECモールは、売り手が増えるほどプラットフォーム全体の魅力が高まるという特徴があります。
たとえば、AmazonやeBayのような大規模なモールでは、多様な出品者が商品を扱っているため、消費者にとって「ここに行けば何でも揃う」という利便性が生まれます。これが結果的にモール全体の集客力向上につながるのです。
また、出品者が増えることで、以下のようなメリットも生まれます。
スケールメリットのポイント
・商品数が増えることで、消費者にとって選択肢が広がる
・多くの出品者がいるため、価格競争が起こり、購入しやすい価格帯になる
・プラットフォームが成長すると、モール運営者がさらにプロモーションに投資しやすくなる
ただし、出品者が増えるということは、競争が激しくなるという側面もあります。そのため、単に出品するだけではなく、価格設定や商品ページの工夫、レビューの管理など、販売戦略をしっかり考える必要があるでしょう。
マーケットプレイス型ECモールには、出品の手軽さや集客のしやすさといった魅力があります。しかし、その一方で「競争の激しさ」や「コスト負担」といった課題も無視できません。
多くの販売者が参入しやすいからこそ、ただ出品するだけでは十分な売上を確保するのが難しくなります。また、モール運営者が持つデータや仕組みに依存するため、自社のブランド価値を高めにくいという側面もあります。
ここでは、マーケットプレイス型ECモールを活用する際に考えておくべきデメリットについて整理していきます。
1. 差別化の難しさ(価格競争が激化しやすい)
マーケットプレイス型ECモールでは、同じカテゴリの商品を多くの出品者が扱うため、価格競争に巻き込まれやすくなります。
例えば、Amazonでは同じ商品を複数の出品者が販売していることが一般的です。この場合、購入者の多くは価格やレビュー評価を比較して選ぶため、少しでも安い方に流れやすいという傾向があります。
なぜ価格競争が起こりやすいのか?
・同じ商品を扱う出品者が多い(特に有名ブランドの商品)
・購入者は「最安値」を求める傾向がある
・モール側の価格調整機能(例:Amazonの「カート獲得競争」)がある
これにより、出品者同士の競争が激しくなり、利益を確保するのが難しくなるケースもあります。特に、価格だけで勝負する戦略は長期的には厳しいといえるでしょう。
対策
・価格以外の要素で差別化する(例:独自の付加価値や特典をつける)
・ターゲットを明確にし、専門性の高い商品を扱う
・ブランド力のある商品を扱う場合は、自社ECサイトと組み合わせる
単に価格を下げるのではなく、購入者が「このショップで買いたい」と思える工夫を取り入れることが重要です。
2. 出品にかかる手数料・コスト負担
マーケットプレイス型ECモールを利用する際、多くの場合、売上に対して一定の手数料やコミッションが発生します。
例えば、Amazonや楽天市場では、出品手数料に加えて売上に応じた販売手数料がかかります。さらに、フルフィルメントサービス(FBAなど)を利用すると、物流コストも別途発生するため、実際の利益率は想像以上に低くなることもあります。
発生しやすいコストの例
・出品手数料(月額固定費が必要な場合も)
・販売手数料(売上の数%が運営側に支払われる)
・配送代行手数料(FBAなどの物流サービスを利用する場合)
・広告費(モール内の検索上位を獲得するためのプロモーション)
出品者としては、売上だけを見るのではなく、最終的にどれだけ利益が残るのかを常に計算する必要があります。
対策
・手数料を考慮した価格設定を行います。
・FBAのような配送サービスを利用するか、自社発送でコストを抑えるか比較します。
・モール内広告を活用する際は、ROI(投資対効果)を慎重に分析します。
利益をしっかり確保するには、「どのモールに出品するのか」「どのコストを削減できるのか」を見極めることが重要になってきます。
3. 顧客情報が直接得られない
自社ECサイトの場合、購入者の情報(メールアドレス、購入履歴など)を活用して、メルマガ配信やリピート購入施策を行うことができます。しかし、マーケットプレイス型ECモールでは、基本的に顧客情報を運営側が管理しているため、出品者が直接アクセスできないケースが多いです。
顧客情報が制限されることの影響
・リピーター施策が打ちにくい(購入者リストを活用したマーケティングが難しい)
・購買データを詳細に分析できない(顧客の動向が見えにくい)
・ブランドと顧客の関係を築きにくい(顧客との直接的なコミュニケーションが取れない)
例えば、楽天市場では「楽天ID」に紐づいた顧客情報が管理されており、出店者はそのデータに直接アクセスできません。そのため、購入後のフォローアップやリピーター施策を打つのが難しくなります。
対策
・ブランド認知度を高め、自社ECサイトへの誘導を図る
・モール内のレビューやQ&Aを活用し、顧客との関係を築く
・SNSやブログを併用し、リピーターを増やす戦略を取る
モール内だけに依存せず、自社の販路を持つことが重要になります。
4. モールブランドへの依存度が高くなる
マーケットプレイス型ECモールでは、消費者が「モールのブランド」を信頼して購入する傾向があります。例えば、Amazonで買い物をする人は「Amazonで買う」という意識が強く、どの出品者から購入しているのかをあまり気にしないことが多いです。
これが意味するのは、出品者自身のブランドが育ちにくいという点です。
モールブランドに依存するリスク
・「どこで買うか」より「いくらで買うか」が重視される
・出品者が変わっても、消費者はあまり気にしない
・モールの仕様変更やアルゴリズムに左右されやすい
プラットフォームのルール変更があると、出品者の売上が大きく影響を受けることもあります。例えば、Amazonが手数料を引き上げたり、検索アルゴリズムを変更したりすると、急に売上が落ちるケースもあります。
対策
・自社ECサイトやSNSを活用し、ブランドの認知度を高めます
・独自の商品やサービスを提供し、「この店舗で買う理由」を作ります
・マーケットプレイス以外の販売チャネルも持ち、リスク分散を図ります
マーケットプレイス型ECモールは、短期間で売上を伸ばしやすい反面、長期的に自社ブランドを確立するのが難しいという側面があります。そのため、モールと自社ECサイトをバランスよく活用することがカギになるでしょう。
こうしたデメリットを踏まえた上で、次の章ではマーケットプレイス型ECモールを成功させるポイントについて考えていきます。
マーケットプレイス型ECモールは、参入のしやすさや集客力の高さが魅力ですが、単に出品するだけでは売上を伸ばすのは難しいのが現実です。競争が激しい環境の中で利益を出し続けるには、出店者・運営者それぞれの視点で戦略を考え、データを活用しながら適切なマーケティングを行うことが欠かせません。
ここでは、マーケットプレイスで成功するために重要なポイントを、出店者・運営者・マーケティング活用の3つの視点から整理していきます。
1. 出店者視点:ブランド構築とリピート獲得策
マーケットプレイスでは、同じ商品を扱う出品者が多数いるため、単に出品するだけでは埋もれてしまいます。その中で売上を伸ばすためには、商品ページの最適化、購入後のフォロー、プロモーションの活用が鍵になります。
① 商品ページの最適化(SEO、キーワード設定、魅力的な画像・動画)
購入者の多くは、検索結果やレコメンドを通じて商品ページにたどり着きます。そのため、検索に引っかかりやすいタイトルや説明文を設定することが重要です。
・タイトルには主要なキーワードを含める(例:「折りたたみ傘 軽量 自動開閉 旅行用」)
・説明文には商品の強みを簡潔に記載する(長すぎると読まれにくい)
・高品質な画像や動画を用意する(購入者が実際に使用するイメージを持てるように)
また、モールごとに検索アルゴリズムが異なるため、各プラットフォームの仕様を理解して最適化することも大切です。
② レビュー対策とファンコミュニティの育成
マーケットプレイスでは、レビューの数と評価が売上に直結します。特に、新規の購入者はレビューを参考にする傾向が強いため、高評価を獲得する工夫が必要です。
・購入後のフォローを丁寧に行ないます(問い合わせに対する対応をなるべく早く行います)
・初回購入者向けの特典を設けます(ディスカウントやクーポンを提供します)
・SNSやメルマガを活用し、ブランドのファンを増やします
良いレビューを集めることで、新規の購入者にも安心感を与え、売上の安定につながります。
③ プロモーション施策(クーポンやSNS連携など)
価格競争に巻き込まれないためには、価格以外の魅力を打ち出すことが求められます。そのための施策として、クーポンや限定キャンペーン、SNSを活用したプロモーションが有効です。
・期間限定の割引クーポンを発行します(特に新規購入者向け)
・SNSと連携し、商品を紹介するキャンペーンを行います
・リピーター向けの特典を用意します(定期購入の割引など)
これらを組み合わせることで、競争の激しいマーケットプレイス内でも、安定した売上を確保しやすくなります。
2. 運営者視点:健全なエコシステムの構築
マーケットプレイス型ECモールの運営者にとって最も重要なのは、出品者と購入者が安心して取引できる環境を整えることです。そのためには、ルールの整備やカスタマーサポートの充実が欠かせません。
① 出品基準の明確化と管理体制(信頼性向上)
誰でも簡単に出品できる環境は魅力的ですが、無秩序に商品が増えすぎると品質の低い商品や偽物が流通し、モール全体の信頼性が低下するリスクがあります。
・出品基準を明確にし、不適切な商品を排除します
・新規出品者には一定の審査プロセスを設けます
・カテゴリごとに適切な品質基準を設け、購入者が安心できる環境を作ります
信頼性が向上すれば、結果的に購入者が増え、モール全体の成長につながります。
② カスタマーサポートの強化(顧客満足度向上)
顧客対応の良し悪しは、モールの評価に影響を与えます。購入後のトラブル対応や返品・返金のスムーズさは、リピーターを増やすための大きな要素となります。
・問い合わせ対応を迅速化し、トラブルを最小限に抑えます
・返品・返金ポリシーを明確にし、顧客が安心できる仕組みを作ります
・FAQやチャットボットを導入し、サポートの効率化を図ります
これにより、購入者の満足度を高め、モール全体の評価を向上させることができます。
③ 不正出品やトラブル対応のルール整備
マーケットプレイスでは、偽ブランド品の販売や悪質な出品者の問題が発生しやすいため、これを防ぐ仕組みが必要です。
・不正行為を防ぐための監視体制を強化します
・購入者からのフィードバックを活用し、問題のある出品者を特定します
・違反が発覚した場合のペナルティを明確にします
このようなルールを徹底することで、長期的に信頼されるマーケットプレイスを構築することができます。
3. マーケティング活用:データを活かした販売戦略
マーケットプレイスでは、出品者にとっても、データを活用することで売上を大きく延ばすことができます。
① レコメンド機能・メールマーケティングで購買率アップ
多くのマーケットプレイスでは、過去の閲覧履歴や購入履歴に基づいたレコメンド機能が用意されています。これを活用することで、購入率の向上やリピーター獲得につなげることができます。
また、ターゲットを絞ったメールマーケティングも効果的です。例えば、以下のような内容を適切なタイミングで届けることで、購入を促進し、リピーターを増やすことができます。
・過去に購入した顧客に関連商品の案内を送ります
・カートに入れたまま購入しなかった顧客にリマインドを行いま
・誕生日クーポンや季節のキャンペーンを案内します
② データドリブンな商品配置・キャンペーン設計
マーケットプレイスでは、どの商品がどのタイミングで売れるのかを分析することが重要です。
・売上データをもとに、人気商品の在庫を最適化します
・曜日や時間帯ごとの購買傾向を分析し、キャンペーンの実施タイミングを調整します
・新規ユーザーとリピーター向けのプロモーションを分けて展開します
データをもとに戦略を練ることで、より効果的に売上を伸ばすことができます。
マーケットプレイス型ECモールは、国内外でさまざまなプラットフォームが展開されており、それぞれが異なる特徴を持っています。出品形態や手数料の仕組み、顧客層の違いによって、向いている商品や販売戦略も変わってきます。
ここでは、日本国内と海外の主要なマーケットプレイスを比較しながら、どのような違いがあるのかを整理していきます。
1. 国内の代表的なマーケットプレイス型ECモール
① Amazon(BtoC・CtoC)
Amazonは、国内外で圧倒的な規模を誇るマーケットプレイス型ECモールです。個人・法人を問わず出品できるため、幅広い層の販売者が利用しています。
特徴
・「Amazonマーケットプレイス」として、企業も個人も出品できます
・FBA(フルフィルメント・バイ・Amazon)を利用すれば、在庫管理や配送をAmazonが代行します
・価格競争が激しく、レビューの重要度が高いです
手数料はカテゴリごとに異なり、出品プランによっても変動します。FBAを利用する場合は追加の倉庫保管料や配送費用が発生するため、コスト管理が重要になります。
② メルカリ(CtoC)
メルカリは、日本最大級のフリマアプリで、個人間の取引が中心です。手軽に出品・購入できることから、初心者でも利用しやすいのが特徴です。
特徴
・スマホアプリから簡単に出品・購入が可能です。
・匿名配送など、個人間取引の安全性を高める仕組みが整っています
・購入者は「新品」よりも「中古品」や「掘り出し物」を求めている傾向があります
手数料は売上の10%とシンプルな設定ですが、送料は出品者が負担することが多いため、価格設定には工夫が必要です。
③ ヤフオク!(CtoC・BtoC)
ヤフオク!は、オークション形式を採用したCtoC・BtoCのマーケットプレイスで、メルカリとは異なる取引形態が特徴的です。
特徴
・オークション形式と即決価格の設定が可能です
・ヴィンテージ品や限定商品など、価値が上がる商品が流通しやすいです
・個人・法人の両方が利用できるため、出品の幅が広いです
個人出品者はプレミアム会員(月額508円)になると、さまざまな特典が得られるため、本格的に出品する場合は検討してもよいでしょう。
④ 楽天市場(BtoC)
楽天市場は、出店型のECモールですが、マーケットプレイス型の仕組みも備えています。店舗ごとにページを作成するため、Amazonとは異なりブランドイメージを打ち出しやすいのが特徴です。
特徴
・モール型の仕組みを採用しているため、ショップごとにページを作成できます
・楽天ポイントやクーポンなど、購入者の囲い込み施策が充実しています
・出店には月額料金が必要で、手数料もAmazonより高めに設定されています
ブランドを強く打ち出したい企業には向いていますが、固定費がかかるため、売上規模が小さいと負担が大きくなる可能性があります。
2. 海外の代表的なマーケットプレイス型ECモール
① eBay(CtoC・BtoC・越境EC)
eBayは、世界中の個人や企業が利用する国際的なマーケットプレイスで、特に越境ECの入り口として人気があります。
特徴
・海外の顧客をターゲットにできるため、販路を広げやすいです
・オークション形式と即決価格の両方が選択できます
・出品手数料と販売手数料がかかるため、コスト管理が必要です
海外向けの販売に挑戦したい場合、eBayは比較的手軽に参入できるプラットフォームだと言えます。ただし、英語での対応や国ごとの配送ルールを理解しておく必要があるため、準備は必要です。
② Etsy(CtoC・BtoC・ハンドメイド特化)
Etsyは、ハンドメイド商品やヴィンテージアイテム、アート作品に特化したマーケットプレイスで、クリエイター向けの販売プラットフォームとして広く利用されています。
特徴
・ハンドメイド作品や一点ものの商品が中心となります
・購入者は「オリジナリティ」や「クラフトマンシップ」を求めています
・出品は1商品ごとに手数料がかかります(1品につき約0.2ドル)
大量生産の商品には向きませんが、個性的なアイテムや限定品を販売したい場合には最適なマーケットプレイスです。
③ Shopee・Lazada(東南アジア向け越境EC)
東南アジア市場で急成長しているマーケットプレイスが、ShopeeやLazadaです。これらはAmazonのようなプラットフォーム型ECモールですが、よりローカルなマーケットを意識した設計になっています。
特徴
・東南アジアの消費者に向けて販売できます
・ライブコマース機能が充実し、インフルエンサー施策と相性が良いです
・配送や決済のサポートが充実しており、海外販売のハードルが低いです
東南アジアではスマホ経由での購買が主流のため、アプリを活用したマーケティング戦略が重要になります。
3. 越境ECとしてのマーケットプレイス活用
海外市場に販路を広げる際、マーケットプレイス型ECモールは非常に有効な手段です。自社で海外向けのECサイトを立ち上げるのは手間もコストもかかりますが、既存のプラットフォームを活用すれば、すぐに海外の消費者にリーチできるメリットがあります。
越境ECを成功させるポイント
・どの国に向けて販売するかを明確にします(アメリカならeBay、東南アジアならShopeeなど)
・配送や関税のルールを理解し、スムーズな対応を準備します
・翻訳やカスタマーサポートの体制を整えます(英語対応は必須)
また、日本製品は海外市場でも評価が高いため、「Made in Japan」の強みを活かせる商材を選ぶことも重要です。
マーケットプレイス型ECモールと自社ECサイト、それぞれに異なる強みがあり、どちらを選ぶかは事業の目的やフェーズによって変わります。
「自社ブランドを確立し、ファンを育てていきたい」なら、自社ECサイトの運営が欠かせません。一方、「できるだけ早く販売をスタートし、多くの人に商品を届けたい」と考えるなら、マーケットプレイスの活用が効果的でしょう。
どちらか一方に偏るのではなく、事業の状況に応じて両者を組み合わせる戦略が、売上を安定させるカギになります。ここでは、自社ECサイトとマーケットプレイスの違いを整理し、どのように使い分けるのがよいかを考えていきます。
1. 自社ECサイトの強みと課題
① ブランドの世界観を演出できる
自社ECサイトの最大の魅力は、デザインやコンテンツを自由にカスタマイズできることです。商品を単に販売するだけでなく、ブランドのストーリーや価値観を伝えやすい点がメリットになります。
・サイトのデザインを自由に構築することができます(ブランドイメージを統一しやすい)
・ブログや動画コンテンツを活用し、商品の魅力を伝えやすいです
・SNSと連携して、ファンとのコミュニケーションを深められます
たとえば、D2Cブランドの多くは、自社ECサイトをメイン展開し、SNSやメルマガで顧客と直接つながる仕組みを作っています。「どこで買うか」ではなく「このブランドの商品が欲しい」と思わせることができるのが、自社ECの強みです。
② 顧客との直接的な関係を構築できる
マーケットプレイスでは、顧客情報を運営側が管理するため、出品者は購入者の詳細を把握しづらいのが実情です。一方、自社ECサイトでは、購入者のデータを直接管理し、リピーター施策を展開できるのが大きなメリットです。
・メールアドレスや購買履歴を活用し、メルマガやキャンペーンを実施できます
・リピーター向けの特典(ポイント制度や限定クーポン)を導入しやすいです
・カート放棄率を分析し、最適なリマーケティング施策を展開できます
マーケットプレイスは新規顧客の獲得に向いていますが、リピーターを増やし、LTV(顧客生涯価値)を向上させるには、自社ECサイトの活用が欠かせません。
③ 広告や集客を自力で行う必要がある
自社ECサイトの最大の課題は、ゼロから集客を行わなければならない点です。マーケットプレイスのように、すでに多くのユーザーがいるわけではないため、以下のような施策が必要になります。
・GoogleやSNS広告を活用し、認知度を高めます
・SEO対策を行い、検索エンジン経由の流入を増やすです
・インフルエンサーやアフィリエイトを活用し、信頼性を高めます
これらの施策には時間とコストがかかるため、すぐに売上を伸ばすのが難しいという課題もあります。特に、スタートアップや小規模事業者にとっては、マーケットプレイスと並行して運営するのが現実的な選択肢になることが多いです。
2. マーケットプレイス型ECモールとの併用メリット
マーケットプレイスと自社ECサイトは、対立するものではなく、補完関係にあると考えるのがよいでしょう。それぞれの特性を活かしながら、組み合わせることで売上を最大化できます。
① まずはマーケットプレイスで集客し、自社ECサイトへ誘導する
特に新しいブランドや商品を販売する場合、マーケットプレイスを活用することで、知名度の向上と初期の売上確保がスムーズになります。
具体的な流れ
1. マーケットプレイスで販売を開始し、レビューを増やしていきます(信頼性を獲得)
2. 購入者向けに、自社ECサイトのキャンペーン情報を提供し、新規顧客に購入してもらうようにしていきます
3. SNSやメルマガを活用し、リピーターを獲得します
これにより、マーケットプレイスの集客力を活かしながら、自社ECサイトに顧客を誘導する流れを作ることができます。
② マーケットプレイスで在庫をさばき、自社ECサイトで限定商品を展開する
マーケットプレイスと自社ECサイトをうまく使い分ける方法の一つとして、販売チャネルごとに異なる商品戦略を取るというやり方があります。
具体的な施策
・マーケットプレイスでは、定番商品や売れ筋商品を販売し、在庫を安定的にさばいていきます
・自社ECサイトでは、限定カラーや特別仕様の商品を展開し、ファン層を育成していきます
・マーケットプレイスでの売上データを分析し、顧客ニーズに合った商品を自社ECサイトで開発します
この戦略をとることで、マーケットプレイスの集客力を活かしつつ、独自性のある商品を自社ECサイトで展開し、ブランド価値を高めることができます。
3. 事業規模や目標に応じた最適解を見つける
どちらの販売方法をメインにするかは、事業のフェーズや目標によって変わってきます。
マーケットプレイス中心が向いているケース
・立ち上げ初期で、早く売上を作りたい
・集客に時間やコストをかけず、既存のユーザーにリーチしたい
・在庫を一気にさばきたい、またはテスト販売をしたい
自社ECサイト中心が向いているケース
・ブランドの世界観をしっかり構築したい
・顧客との直接的な関係を築き、LTVを高めたい
・広告やSNS運用に力を入れ、長期的なファンを増やしたい
多くの企業は、最初はマーケットプレイスを活用し、ある程度のブランド認知が広がった段階で自社ECサイトに軸を移すという流れを取っています。
マーケットプレイス型ECモールは、手軽に出店できる一方で競争が激しく、価格競争や手数料負担といった課題もあります。そのため、適切な販売戦略とマーケティング施策が不可欠です。
自社ECサイトとの使い分けが重要になります。マーケットプレイスを活用して集客を図りながら、ブランド価値を高める場として自社ECサイトを育てる戦略が効果的です。
また、国内外のプラットフォームを理解し、販売チャネルを最適化することで、より広い市場にアプローチできます。事業規模や目標に応じてマーケットプレイスと自社ECのバランスを調整し、継続的に売上を伸ばす仕組みを整えることが成功の鍵となるでしょう。