神エクセル
日々の業務でよく使われるExcelファイルの中には、見た目は整っていても、入力や集計が面倒で非効率なものがあります。いわゆる「神エクセル」と呼ばれるそれらのファイルは、実は組織全体の時間や労力を大きく奪っているかもしれません。本稿では、神エクセルの特徴や問題点、そして改善に向けた具体策を、初心者にも分かりやすくご紹介します。
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神エクセルとは?
「神エクセル」とは、見た目はきれいだけど、使いにくくて、仕事をかえって非効率にしてしまうExcelファイルのことです。
以下のようなエクセルのことです。
・1文字ずつセルに入れてある申請書
・表や線が細かすぎて、どこに入力するか分かりにくい表
・見た目は帳票(紙)っぽいけど、データとしては活用できないファイル
こういったExcelを「神エクセル」と呼びます。
「神」というのは「紙(かみ)」と「神(かみ)」をかけた皮肉っぽい呼び方です。
神エクセルの課題
神エクセルは一見ちゃんとしているように見えますが、実は時間がかかる・間違えやすい・共有しづらいという問題があります。
問題 | 内容 | 仮の例 |
---|---|---|
入力が大変 | 書式が複雑で、どこに何を書けばいいか迷う | 毎月の報告書作成に1人あたり30分余分にかかる場合、10人で年間60時間のロス |
コピーや集計が難しい | セルが結合されていたり、データがバラバラで処理できない | 売上集計が自動でできず、毎回手作業で転記 |
他の人が使えない | フォーマットが独特で、作った人しか分からない | 担当者が休むと、他の人が対応できずに業務が止まる |
神エクセルの改善方法
神エクセルをやめて、「見やすくて、データとして使いやすいファイル」に変えていくのがポイントです。
Webフォームの活用
GoogleフォームやMicrosoft Formsを活用することで、Excelのように複雑なレイアウトを気にすることなく、誰でも簡単にデータを入力できる環境を整えることができます。
入力内容は自動的にスプレッドシートへ整理されるため、神エクセルのように手作業で集計を行う必要がなくなります。
活用例
セミナー参加者からのアンケートを、紙配布からGoogleフォームによるオンライン回答に変更します。回答結果が自動的にスプレッドシートに反映され、集計や分析の手間が省けます。
結果をグラフ化してそのまま社内資料に活用できるようになります。
メリット
・回答データを手入力する必要がなくなり、集計作業が大幅に短縮されます。
・記述式の回答もデジタルで蓄積され、今後の分析に活かすことができます。
・スマートフォンやタブレットからも回答可能なため、回収率が向上します。
クラウドベースのツール導入
Google Sheets や Microsoft Excel Online を活用することで、複数人が同時にアクセス・編集できる環境を整えることができます。変更履歴も自動的に記録されるため、「どのバージョンが最新なのか分からない」といった混乱を防ぐことができます。
活用例
営業部が月次売上を共有するためのスプレッドシートをGoogle Sheetsに変更して、担当者ごとに入力エリアを分けることで、チーム全体でリアルタイムに進捗を把握できます。
これによって、ファイルのやりとりが不要となり、データの二重入力を避けられます。
メリット
・常に最新版のファイルを全員で共有できます。同時編集が可能となり、作業待ち時間をなくすことができます。
・そして、閲覧や編集権限の管理がしやすく、セキュリティも向上します。
業務プロセスの見直し
神エクセルが生まれる背景には、紙ベースや人手による作業が残っていることが多くあります。そのため、業務プロセスそのものをデジタル前提で再設計することが重要です。単なるツールの置き換えではなく、根本的なフローの見直しが求められます。
活用例
勤怠申請を手書きやExcelから、オンライン打刻システムに変更して、承認フローもSlackやTeamsを通じてデジタル完結させます。
その結果、月末の勤怠集計作業が、これまでの半日から30分程度に短縮されます。
メリット
・二重入力や確認作業の手間を削減できます。作業全体のスピードが向上し、業務の流れが効率化されます。
・属人化を防ぎ、誰でも同じ業務を遂行できようになります。
教育と啓蒙活動
新しいツールや業務フローを導入するだけでは、現場に定着しません。従業員がその意義を理解し、自ら活用できるようにする教育や意識づけが必要です。理解と納得を得ることが、DXの第一歩です。
活用例
月に1回、各部署向けに「効率的なExcel・Formsの使い方講座」を開催します。フォーマット作成の基本や、神エクセルの何が問題なのかをわかりやすく説明します。
実際に改善を進めたチームが成果を発表し、他部署にも良い影響を広げます。
メリット
・新しい仕組みへの抵抗感を減らすことができます。
・現場から自主的な改善提案が出るようになります。
・組織内に継続的な業務改善の文化が根づきます。
まとめ
神エクセルは、見た目の美しさや紙への印刷を重視するあまり、データの再利用性や業務効率を犠牲にしたExcelファイルのことを指します。DXを推進する上で、こうした非効率なフォーマットから脱却し、構造化されたデータの活用や業務プロセスの見直しが求められます。
組織全体での意識改革と適切なツールの導入により、神エクセルからの脱却を図りましょう。