BtoBマーケティングに取り組む企業の多くが、「どの施策が効果的なのか」「営業とどう連携すべきか」「ROIをどう示せばよいのか」といった課題に直面しています。なんとなく広告を出し、展示会に出展し、SNSを運用する。しかし、施策ごとの成果が曖昧なまま、手探りで進めているケースも少なくありません。
本来、BtoBマーケティングは単発の施策ではなく、戦略的な流れの中で組み立てられるべきものです。市場環境の分析、ターゲット設定、施策の選定、実行計画、そして検証と改善。この一連のプロセスが明確であれば、迷うことなくマーケティングを進められるはずです。
この記事では、BtoBマーケティングの戦略立案をステップごとに整理し、どのように計画を立て、実行し、改善していくかを解説します。今の取り組みをより効果的にするヒントを見つけるために、ぜひ読み進めてみてください。
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BtoBマーケティングを成功に導くには、目の前の施策に取り組む前に、戦略の全体像をしっかりと描くことが重要です。市場環境を把握し、ターゲットを明確にしながら、どのような価値を提供するのかを整理する。この基盤がなければ、どれだけ手を尽くしても、一貫性のないマーケティングになりがちです。
では、どこから着手すればよいのか。ここでは、戦略の土台となる「市場環境の分析」「ターゲットセグメントとペルソナの設計」「独自の価値提案(UVP)の明確化」という3つのステップについて解説します。
市場環境を把握する:PEST・SWOT・3C分析の活用
マーケティング戦略の出発点は、「市場を正しく理解すること」です。市場がどのような状況にあるのか、競争環境はどう変化しているのか、顧客のニーズはどこにあるのか。それを把握せずに戦略を立てるのは、地図なしで目的地を目指すようなものです。
こうした市場の動向を整理する際に役立つのが、PEST分析・SWOT分析・3C分析などのフレームワークです。それぞれの特徴を簡単に紹介しましょう。
PEST分析:マクロ環境を捉える
PEST分析は、「政治(Political)」「経済(Economic)」「社会(Social)」「技術(Technological)」の観点から、外部環境が自社のマーケティングにどのような影響を与えるかを整理する手法です。
例えば、デジタル技術の進化(Technological)は、BtoB企業のリード獲得方法を変えています。従来の飛び込み営業やテレアポだけでは通用しにくくなり、SEOやウェビナーなどのデジタル施策が主流になっています。また、経済環境(Economic)によって、企業の購買意欲や予算編成の傾向が大きく変わることもあるでしょう。
PEST分析のポイントは、「自社の力ではどうにもできない大きなトレンド」を見極めることです。これを無視すると、時代の流れに逆行した戦略を立てることになりかねません。
SWOT分析:自社の強みと課題を整理する
SWOT分析を使って「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunities)」「脅威(Threats)」を戦略を考えることもできます。
例えば、自社の強みが「技術力の高さ」なら、それを軸にしたコンテンツマーケティングが有効かもしれません。一方で、「デジタル施策のノウハウが不足している」という弱みがあるなら、外部の専門家と協業する選択肢も考えられます。
SWOT分析は、単にリストアップするだけでなく、「どの強みをどう活かし、どの弱みをどう補うか」を考えることがポイントです。
3C分析:顧客・競合・自社を俯瞰する
BtoBマーケティングの戦略を立案するために、3C分析を活用することもできます。
・Customer(顧客):どの業界のどの層をターゲットにすべきか。顧客の課題やニーズは何か。
・Competitor(競合):競合企業のマーケティング戦略はどうなっているか。差別化できるポイントはあるか。
・Company(自社):自社が提供できる価値は何か。他社と比べて優位性がある分野はどこか。
分析は、単発で終わるものではありません。施策を進めながら、定期的に振り返ることで、戦略の精度を高めていくことが重要です。
ターゲットセグメントとペルソナの設計
市場の把握ができたら、「誰に向けてマーケティングを行うのか」を明確にしていきます。ここで大切なのは、「なるべく広い層にアプローチしようとしないこと」です。すべての企業に向けたマーケティングは、結局のところ誰の心にも響かなくなってしまいます。
ターゲットセグメントの決め方
BtoBマーケティングでは、業界・企業規模・地域・意思決定者の役職など、さまざまな軸でターゲットを分類できます。例えば、次のような視点で絞り込むと、より効果的な戦略が見えてきます。
・業界別:製造業向け・IT企業向けなど
・企業規模別:スタートアップ向け・大手企業向けなど
・課題別:「新規顧客開拓を強化したい企業」「営業DXを推進したい企業」など
ターゲットを明確にすることで、「どんなメッセージを伝えるべきか」「どのチャネルを使うべきか」も見えてきます。
ペルソナを具体化する
ターゲットの輪郭をよりはっきりさせるために、ペルソナを設定します。これは、架空の理想的な顧客像を作り込み、その人物の視点でマーケティング戦略を考えるための手法です。
例えば、「IT企業のマーケティング責任者」をターゲットとするなら、次のような具体的なプロフィールを設定すると、訴求ポイントがより明確になります。
・職種:マーケティング責任者
・業界:SaaS企業
・年齢:35歳
・課題:「リード獲得の手法を見直したい」「営業とマーケティングの連携を強化したい」
ペルソナを設定することで、広告のコピーやコンテンツのテーマ、営業トークの組み立て方まで、すべての施策に一貫性を持たせやすくなります。
価値提案(UVP)の明確化
ターゲットが定まったら、「自社は何を提供できるのか?」を考えるフェーズです。このとき、価格や機能だけでなく、「その商品・サービスを導入することで顧客の課題がどう解決されるのか」という視点が欠かせません。
UVP(Unique Value Proposition)は、競合と比較した際の「独自の強み」を示すものです。これが曖昧だと、顧客に選ばれる理由がなくなってしまいます。
例えば、以下のように「どこに差別化要素を持たせるのか」を整理すると、より明確になります。
・価格での差別化:「初期導入コストが安い」「サブスクリプション型でリスクが低い」
・機能での差別化:「競合にはない○○機能を搭載」
・サポートでの差別化:「専任担当がついて継続的にフォロー」
価値提案は、顧客の立場で考えることが重要です。自社が言いたいことではなく、相手にとって魅力的に映るポイントを見極めていきましょう。
BtoBマーケティングの戦略を立てるには、市場環境の分析 → ターゲットの選定 → 価値提案の整理というステップが欠かせません。このプロセスを踏むことで、単なる思いつきの施策ではなく、軸のあるマーケティングを展開できます。
次のステップでは、具体的な施策の組み立て方について掘り下げていきます。
BtoBマーケティング戦略を考えるうえで、「どのように計画を立て、どの順番で進めるべきか」が曖昧だと、施策が場当たり的になりやすいです。そうなると、社内の合意形成が難しくなり、営業や他部門との連携もうまく機能しません。
そこで、戦略を体系的に組み立てるための「5つのステップ」を整理しました。市場環境の把握から目標設定、施策の選定、実行計画、そして継続的な改善まで、この流れを意識することで、成果につながりやすいマーケティングが展開できるはずです。
マーケティングの出発点は、「どの市場で、どんな顧客に向けて価値を提供するのか」を見極めることです。ここを曖昧にしたまま施策を進めると、見込み客に響かないコンテンツや広告にコストをかけることになりかねません。
業界動向を把握する方法
まず、業界全体のトレンドを把握することが欠かせません。経済動向、技術革新、法規制の変化など、外部環境の変化によって企業の購買行動がどう変わるのかを考えることが大切です。
例えば、DX推進の流れが強まるなかで、従来の営業手法からデジタルを活用したアプローチにシフトする企業が増えています。この流れを理解しておくと、「どのような情報が求められているのか」「どのチャネルで発信すべきか」が明確になってきます。
競合をどう分析するか
市場環境だけでなく、競合企業の動向も把握しておく必要があります。競合のマーケティング手法や価格戦略、サービスの強みを整理し、自社がどこで差別化できるかを考えます。
競合分析のフレームワークとしては、3C分析においての競合分析などが活用できます。例えば、競合のWebサイトやSNSでどんなコンテンツを発信しているのか、広告の出稿傾向はどうなっているのかを調査するだけでも、競争環境が見えてくるはずです。
目標が曖昧なまま施策を展開すると、「成功の定義」がはっきりしないため、どこにリソースを集中すべきかが見えにくくなります。成果を正しく評価し、改善につなげるためにも、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定しておくことが重要です。
売上目標・リード数の設計
BtoBマーケティングでは、一般的に「売上」や「商談数」を最終目標とし、それを細分化して「リード獲得数」「サイト訪問数」「資料ダウンロード数」などのKPIを設けることが多いです。
例えば、年間で10億円の売上を目指すとします。商談1件あたりの平均契約額が500万円で、受注率が20%なら、必要な商談数は200件。その商談を生み出すために、どれだけのリードを確保すべきかを逆算することで、具体的な目標が定まります。
経営層に納得してもらう指標の作り方
経営層が納得しやすいKPIは、「売上や利益につながる要素」を明確に示せるものです。たとえば、「Webサイトの訪問者数が増えた」「SNSのフォロワーが増えた」といった指標は、直接的な売上に結びつきにくいため、説得力を持たせるには補足説明が必要になります。
経営層向けのレポートでは、以下のようなKPIを組み合わせて伝えると、納得感が高まりやすくなります。
・短期的な指標:リード獲得数、商談創出数
・中長期的な指標:LTV(顧客生涯価値)、受注単価、継続率
目標を設定したら、次は「どの施策をどの程度の比率で実施するか」を決めていきます。BtoBの場合、Web施策だけではなく、展示会やセミナーなどのオフライン施策も選択肢に入れることが一般的です。
施策ごとの目的を整理する
・リード獲得施策:SEO、Web広告、ホワイトペーパーの配布
・ナーチャリング施策:メールマーケティング、ウェビナー、展示会フォローアップ
・ブランディング施策:オウンドメディア運営、SNS活用
施策を選ぶ際は、それぞれの目的と効果を見極め、バランスよく組み合わせることがポイントです。
ステップ4:実行計画とスケジューリング
どれだけ優れた施策を考えても、計画通りに進まなければ意味がありません。マーケティング活動は短期で終わるものではなく、長期的な視点でスケジュールを組むことが大切です。
ガントチャートやタスク管理の活用
プロジェクトをスムーズに進めるために、ガントチャートやタスク管理ツールを活用すると、スケジュールの可視化ができます。
例えば、以下のようなスケジュールを組むと、施策の進捗を一目で把握できます。
・1〜2ヶ月目:市場調査・ペルソナ設定・施策選定
・3〜4ヶ月目:コンテンツ制作・広告運用開始
・5ヶ月目〜:効果測定・改善施策の実施
部門間の連携が必要な場合は、各担当の役割を明確にし、定期的なミーティングを設けるとスムーズに進めやすくなります。
マーケティング施策は、1回やって終わりではなく、効果を分析し、改善を重ねていくことが重要です。そのためには、施策ごとのKPIを定期的にチェックし、何が成果につながっているのかを見極める必要があります。
ツールを活用したデータ分析
効果測定には、MA(マーケティングオートメーション)やCRM、BIツールなどを活用すると、データの集計・分析が効率化されます。
例えば、以下のような視点でデータをチェックすると、改善のヒントが得られます。
・リードの質が悪い場合 → ペルソナの見直しが必要か?
・コンバージョン率が低い場合 → LPのデザインやCTAに問題はないか?
新規顧客の獲得に苦戦していたSaaS企業の想定ケースをもとに、BtoBマーケティング戦略の見直しプロセスを紹介しました。問い合わせ数が増えても、新規契約につながらなければ意味がありません。
そこで、ターゲットを未導入企業に変更し、コンテンツ・広告・営業プロセスを最適化することで、商談化率と受注率の向上を実現しました。BtoBマーケティングでは「リードの数」ではなく「質」が重要です。もし、新規顧客の獲得に伸び悩んでいるなら、ターゲット設定や情報提供の仕方を見直し、リードを育てる仕組みを強化することがカギになります。本記事を参考に、自社に合った戦略を検討してみてください。