BtoBマーケティングの手法は、ここ数年で大きく変化しています。デジタル技術の進化やビジネス環境の変化により、オンライン施策の選択肢が増えた一方で、オフライン施策の役割も見直されつつあります。マーケティング担当者にとっては、どの手法を優先すべきか、どのように組み合わせるべきか、判断がますます難しくなっているのではないでしょうか。
たとえば、「SEOやWeb広告でリードを獲得するべきか?」「SNS運用はBtoBでも効果があるのか?」「展示会やDM施策はまだ有効なのか?」といった疑問を抱えることは珍しくありません。施策の種類が増えるほど、すべてに手を出すのは非現実的ですし、闇雲に取り組んでも期待した成果が得られないこともあります。
そこで、本記事ではBtoBマーケティングの主要な手法をオンライン・オフラインの両面から整理し、それぞれの役割や活用方法を解説します。さらに、オンラインとオフラインを組み合わせた事例も取り上げ、自社に適した施策を見極めるためのヒントを提供します。
マーケティングの選択肢が広がるなかで、「何を優先すべきか」を見極めることが、成功への鍵になります。本編では、それぞれの手法の強みと活用ポイントを具体的に紹介していきますので、自社に合った戦略を検討する際の参考にしてみてください。
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BtoBマーケティングにおいて、オンライン施策の重要性は年々高まっています。企業の購買プロセスがデジタル化し、情報収集の多くがWeb上で行われるようになった今、どのようにオンラインチャネルを活用するかが成果を左右します。
とはいえ、「SEOや広告に予算をかけるべきか?」「SNSは本当にBtoBに有効なのか?」といった疑問を持つ方も多いかもしれません。そこで、ここでは代表的なオンライン施策について、それぞれの役割や活用ポイントを整理していきます。
Webサイトやコンテンツを通じて、見込み客と自然につながる方法がSEO・コンテンツマーケティングです。BtoBでは、製品やサービスの導入を検討する前に情報収集をするケースが多く、その段階で有益な情報を提供できると、信頼関係の構築につながります。
キーワード選定の基本とBtoBで重視すべきポイント
SEO対策では、単に検索ボリュームの多いキーワードを狙うのではなく、見込み客の検索意図を考慮することが重要です。BtoBの場合、次のような種類のキーワードを意識するとよいでしょう。
・情報収集層向け:「◯◯とは」「◯◯の課題」「◯◯の比較」
・導入検討層向け:「◯◯の導入メリット」「◯◯ 価格」「◯◯ おすすめ」
・導入直前層向け:「◯◯ サポート」「◯◯ 使い方」
例えば、マーケティングオートメーション(MA)ツールを販売する企業であれば、「マーケティングオートメーションとは」といった基礎知識の記事から、「MAツール 比較」「MAツール 料金」といった比較検討層向けの記事まで、検索意図に応じたコンテンツを用意すると効果的です。
具体的なコンテンツ企画例
BtoBマーケティングでは、以下のようなコンテンツが有効です。
・ホワイトペーパー(課題解決のための資料提供)
・導入事例記事(成功事例を通じた説得力のある訴求)
・業界レポート・調査データ(専門的な知見の提供による信頼獲得)
・ブログ記事(SEO対策と情報発信を両立)
単に記事を作成するだけでなく、フォーム登録を設けてリード獲得につなげるなど、ビジネスの目的に沿った活用を考えることが大切です。
SEOやコンテンツマーケティングは効果が出るまでに時間がかかるため、短期間でリードを獲得したい場合は、Web広告の活用が有効です。
キャンペーン設計とターゲット設定のコツ
BtoB向けのWeb広告では、ターゲットを絞り込み、適切なチャネルでアプローチすることが鍵になります。
・検索広告(Google Ads):すでにニーズがあるユーザーに訴求
・ディスプレイ広告:ブランド認知やリターゲティング向け
・LinkedIn広告:BtoB特化のプラットフォームで、業種・職種単位でのターゲティングが可能
例えば、業務効率化ツールを提供する企業が「業務効率化 ソフト 比較」といった検索ワードで広告を出稿すれば、導入検討中の企業にピンポイントでアプローチできます。
CPAやCVRなど主要KPIの見方
広告の効果を測る際は、以下の指標を定期的にチェックし、適宜改善を行うことが求められます。
・CPA(Cost Per Acquisition):1件のリード獲得にかかるコスト
・CVR(Conversion Rate):広告を見た人のうち、どれくらいが問い合わせや資料請求に至ったか
・CTR(Click Through Rate):広告の表示回数に対するクリック率
CPAが高すぎる場合はターゲティングを見直したり、CVRが低い場合は広告の訴求内容を変更するなど、データをもとに調整することが重要です。
BtoB企業におけるSNSの活用は、BtoCほど一般的ではないものの、適切な使い方をすれば有力なマーケティング手段になります。
LinkedIn、TwitterなどBtoB向けプラットフォームの活用法
・LinkedIn:業界の専門家や企業の意思決定者が多く、BtoBマーケティングに適している。
・Twitter:リアルタイム性が高く、最新情報の発信や業界トレンドの共有に向いている。
BtoBの場合、SNSを通じて直接リードを獲得するというよりは、ブランディングや信頼構築、リードナーチャリングの手段として活用するのが現実的です。
ショート動画やウェビナー告知との連携
近年、BtoBでも動画コンテンツの活用が進んでいます。特に、短尺の動画(1分以内)で製品の特徴や導入事例を紹介するコンテンツは、SNSと相性がよいです。
また、ウェビナーの開催情報をSNSで拡散することで、見込み客との接点を増やすことも可能です。
リードを獲得した後は、適切なコミュニケーションを通じて関心を高め、商談へとつなげるプロセスが必要です。その手段として、メールマーケティングやマーケティングオートメーション(MA)が活用されます。
メール配信の設計とパーソナライゼーション
一斉配信ではなく、見込み客の関心や行動履歴に基づいて適切なタイミングで情報を届けることが大切です。
・新規リード向け:企業紹介、導入事例、業界レポートなどを提供
・比較検討層向け:製品の特長や競合との違いを強調
・導入検討層向け:価格情報や無料トライアル案内
シナリオ設定とスコアリングの概要
MAツールを活用すれば、リードのスコアリング(行動履歴をもとに見込み度を数値化)を行い、購買意欲が高まったタイミングで営業に引き継ぐことができます。
例えば、「製品ページを3回以上閲覧」「ウェビナーに参加」など、特定の行動を取ったリードには自動で個別フォローのメールを送るといった運用も可能です。
デジタル施策が主流になった今、オフラインマーケティングの役割は一見薄れているように感じるかもしれません。しかし、BtoBビジネスにおいては、「実際に会って話す」「製品を直接体験する」といったプロセスが、信頼構築や意思決定のスピードを上げることにつながるケースが多いです。
では、どのようにオフライン施策を設計すれば、費用対効果の高いマーケティングができるのでしょうか?ここでは、展示会やイベント、セミナーなどの活用方法と、それらをデジタル施策と組み合わせるポイントについて解説させていただきます。
出展の目的設定
展示会は単なる「名刺交換の場」ではなく、リード獲得、商談創出、ブランド認知など、さまざまな目的を持たせることができます。
しかし、目的が明確でないと「ブースを出しただけで終わる」ことになりかねません。例えば、以下のように目的を整理すると、施策の方向性が定まりやすくなります。
目的 | 施策内容 | 成果指標 |
---|---|---|
新規リード獲得 | 来場者向けのホワイトペーパー提供、無料デモ | 名刺交換数、資料請求数 |
商談創出 | ブース内での商談、事前アポイント制の導入 | 商談化率、受注率 |
ブランド認知 | イベントスポンサー参加 | SNS言及数、アンケート結果 |
集客の工夫
展示会で多くの来場者を集めるためには、事前のプロモーションが重要です。
・SNSや広告で告知し、ターゲット層に参加を促す
・事前登録者限定の特典を用意する(先着○名に限定レポート配布 など)
・既存顧客やリードにメールで案内し、当日のブース訪問を促す
「当日来てもらえればよい」ではなく、イベント前からアプローチを開始することが成功のカギになります。
フォローアップの流れ
展示会で名刺交換をしただけでは、なかなか商談につながりません。むしろ、イベント後のフォローアップこそが成果を左右するといえます。
・来場者ごとに興味分野を分類し、パーソナライズしたフォローを実施
・イベント直後にフォローアップメールを送り、商談につなげる
・リードをマーケティングオートメーション(MA)に登録し、ナーチャリング施策を実施
セミナーやカンファレンスは、単なる情報提供の場ではなく、業界内でのポジションを確立し、見込み顧客との関係を深める機会になります。
・参加者が特定のテーマに興味を持っているため、商談化率が高い
・講演を通じて「知識の提供」→「ソリューション提案」につなげやすい
・参加者とのディスカッションを通じて、直接の課題感を把握できる
営業との連携がスムーズに進むと、リード獲得から商談までの流れを効率化できる点が魅力です。
セミナーやカンファレンスの場では、マーケティングと営業がうまく連携することで、より成果を出しやすくなります。
マーケティングの役割 | 営業の役割 |
---|---|
集客(広告・SNS・メール配信) | 事前アポイントの獲得 |
資料準備(プレゼン資料、配布資料) | 参加者との会話、課題ヒアリング |
イベント後のフォローアップ施策 | 商談化リードへのアプローチ |
「マーケティングがリードを集め、営業が商談化する」という流れを明確にしておくことで、イベントのROIを高めることができます。
DM(ダイレクトメール)
デジタルマーケティングが主流になった今でも、手元に届く「紙のDM」には一定の効果があるといわれています。特に、次のような場合に有効です。
・特定の意思決定者へ直接アプローチしたいとき
・デジタル施策と差別化し、印象に残るコミュニケーションをしたいとき
・展示会やカンファレンス後のフォローアップとして送付したいとき
送るだけで終わらせるのではなく、「DM送付 → メールや電話でフォローアップ」という流れを作ることで、より成果につながりやすくなります。
電話アプローチ
電話は、適切なタイミングで行えば効果的な手法です。ただし、「とにかく電話をかける」というスタイルでは、逆効果になりかねません。
・ウェビナー参加者や資料ダウンロードしたリードに対して、フォローコールを行う
・既存顧客のアップセルやクロスセルの機会として活用する
・展示会やセミナー後の「お礼+課題ヒアリング」を目的に実施する
「売り込む」のではなく、「相手の課題を聞く姿勢」を持つことが、成功のカギになります。
オフライン施策をデジタルと連携させる方法
オフライン施策は、デジタル施策と組み合わせることで、より高い効果を発揮します。例えば、次のような施策が考えられます。
・展示会後にメールで補足資料を送付し、Webサイトへの誘導を行う
・セミナー参加者をMAに登録し、オンラインコンテンツを継続的に提供する
・DM送付後にQRコードを活用し、特設ページに誘導する
オフライン施策は、「デジタルの時代には不要」というわけではなく、むしろWebマーケティングでは接点が持てない企業にアプローチ出来たり、対面だからこそ得られる信頼や関係性の構築に有効です。だからこそ、デジタル施策と組み合わせて長期的なアプローチを設計することが重要になります。
「どの施策をどう組み合わせるか?」を意識しながら、自社に合ったオフラインマーケティングの活用方法を考えてみてください。
BtoBマーケティングにおいて、「オンライン施策だけでは成果が出ない」「オフライン施策の効果が不透明」といった悩みを持つ企業は少なくありません。デジタル施策が普及する中で、展示会や対面商談が不要になったかというと、そうではありません。実際には、オンラインとオフラインを適切に組み合わせた企業ほど、成果を出しやすい傾向にあります。
では、どのように施策を設計すれば、オンラインとオフラインの相乗効果を生み出せるのでしょうか?ここでは、具体的な活用方法とポイントを解説していきます。
オンライン×オフライン融合の重要性と背景
BtoBの購買プロセスは、ここ数年で大きく変化しました。これまで、営業が対面での説明を通じて顧客と関係を築き、導入を進めるケースが一般的でした。しかし、デジタル技術の発展により、購買担当者はオンラインで情報収集を行い、比較検討を進めることが当たり前になっています。
なぜオンラインだけでは不十分なのか?
・決裁者との直接の信頼構築が難しい
企業の購買プロセスでは、最終的な意思決定者がWebコンテンツを直接読むとは限りません。オンライン施策だけでは、重要なステークホルダーとの関係構築が不十分になりがちです。
・リードの温度感を正確に把握しにくい
Web広告やホワイトペーパーで獲得したリードが、どの程度本気で検討しているのかを見極めるのは難しいです。実際に対話してみると、興味はあるものの、今すぐ導入するつもりはないケースも少なくありません。
・オフライン施策だけでは接触回数が足りない
逆に、オフライン施策だけでは継続的なアプローチができず、せっかく名刺交換をしても商談につながらないことが多いです。
こうした課題を解決するには、「オンラインで興味を引き、オフラインで関係を深める」という考え方が重要になります。
① ハイブリッドイベント(リアル+オンライン)
リアルイベントの強みを活かしつつ、デジタルでリーチを拡大する施策です。
活用例
・展示会を開催し、来場者には会場限定のコンテンツを提供します。
・イベントの一部をライブ配信し、遠方の参加者にも情報を届けます。
・参加者の行動データを記録し、オンライン上でのフォローアップに活用します。
ポイント
・リアル参加者にはデジタルフォローを実施します(QRコードで資料を配布したり、ウェビナーを案内したりします)。
・オンライン視聴者にもオフラインでの接点を提供します(個別相談会への招待や体験セッションの案内など)。
② ウェビナー+リアル商談の連携
ウェビナーは、BtoBマーケティングにおいて定着した施策の一つです。しかし、ウェビナー単体では「情報収集で終わってしまう」ことも少なくありません。そこで、ウェビナー参加者をオフラインの商談に誘導する流れを作ることで、成果につなげやすくなります。
活用例
・ウェビナーで製品の基本情報を伝えた後、興味を持った参加者を対面商談へ誘導します。
・事例紹介ウェビナーを開催し、参加者限定で「リアル体験会」を案内します。
ポイント
・ウェビナー視聴履歴をもとに、商談化の優先度を決定します。
・オフラインのイベントに参加しやすいよう、無料体験や特典を用意します。
③ オンライン広告+オフラインイベントの組み合わせ
オンライン広告を活用し、オフラインのイベントや商談会への集客を強化する方法です。
活用例
・LinkedIn広告やリターゲティング広告を活用し、特定の業界や職種にイベントの告知を行います。
・イベント前にWeb広告で認知を高め、興味を持った企業へ個別招待を送ります。
ポイント
・オフラインイベントの前後で広告を出稿し、接触回数を増やします。
・イベント参加者のデータを活用し、追跡広告やメールでフォローアップします。
④ MAツールを活用したオフライン施策のデータ管理
オフラインで獲得したリード情報をマーケティングオートメーション(MA)ツールと連携し、オンライン施策と組み合わせることで、効果的なフォローが可能になります。
活用例
・展示会で獲得したリード情報をMAに登録し、Webサイトの閲覧履歴と統合します。
・営業チームが対面でヒアリングした内容をデータベース化し、次回のアプローチにつなげます。
ポイント
・オフラインイベントでの名刺交換を「データ化」し、継続的にフォローできる仕組みを作ります。
・営業とマーケティングが連携し、リアルとデジタルの情報を統合します。
成果を最大化するための施策設計ポイント
オンラインとオフラインの役割を明確にします。
・オンライン:認知拡大、リード獲得、ナーチャリング
・オフライン:商談化、意思決定支援、関係構築
データを統合し、一貫した顧客体験を提供する
・CRMやMAツールを活用し、すべての接点を可視化します。
・オフラインでの会話内容を記録し、次のアクションにつなげます。
施策ごとのKPIを設定し、相互の影響を測る
・ウェビナー参加者の商談化率
・展示会参加者のオンライン行動(サイト訪問、資料DLなど)
・イベント後のリターゲティング広告の効果
オンラインとオフラインを融合させることで、それぞれの強みを活かしながら、マーケティングの成果を高めることができます。重要なのは、「オンラインで関心を引き、オフラインで関係を深め、オンラインでフォローする」という流れを作ることです。
どの施策をどのように組み合わせるかは、自社のターゲットや営業プロセスによって異なります。まずは、小さな施策からテストを行い、成果を分析しながら最適な形を模索していくことが重要です。
BtoBマーケティングにおいて、オンラインとオフラインの施策を適切に組み合わせることで、リード獲得から商談化、成約までのプロセスを最適化できます。オンライン施策は効率的なリード獲得やナーチャリングに優れ、オフライン施策は信頼構築や意思決定の後押しに有効です。それぞれの役割を明確にし、連携させることで、施策の相乗効果が生まれます。
展示会やセミナーはデジタル施策と組み合わせることでより高いROIが期待でき、DMや電話アプローチもターゲットを絞ることで効果的に活用できます。重要なのは、単発施策で終わらせず、継続的な接点を持つ仕組みを構築することです。マーケティングの目的に応じて、最適な施策の組み合わせを検討し、戦略的に活用していきましょう。