BtoBビジネスにおいて、新規リードを獲得するだけでなく、適切に育て、価値のある関係を築くことが、持続的な成果につながっていきます。しかし、リードジェネレーションやナーチャリングに取り組む中で、「なかなか成果につながらない」「どの施策を優先すべきか迷う」といった悩みを抱える企業も少なくありません。
本ガイドでは、Webサイトの最適化やコンテンツ施策、ウェビナー活用など、効果的なリードジェネレーションの手法を整理し、さらに、獲得したリードをどのように育成し、営業と連携して成果へつなげるのかについても解説させていただきます。
リード獲得・育成の取り組みは、短期間で成果を出せるものではなく、継続的な改善が求められます。適切な仕組みを整えることで、属人的な営業頼みのスタイルから脱却し、より安定したリード獲得・ナーチャリングを実現することができます。これから紹介する手法を参考にしていただければ幸いです。
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BtoBのマーケティングでは、「リードジェネレーション」と「リードナーチャリング」という言葉がよく使われます。しかし、両者の役割や目的を正しく理解し、適切に使い分けられている企業は意外と少ないかもしれません。
新しい見込み客を獲得することに注力するあまり、せっかく得たリードをうまく育てられず、商談につながらないというケースもあります。リードジェネレーションとナーチャリングの違いを明確にし、それぞれをどのように組み合わせて活用すべきかを考えてみましょう。
リードジェネレーションとは、新しい見込み客を獲得するための取り組みです。Webサイトや広告、ウェビナー、ホワイトペーパーのダウンロードなど、さまざまな手法を用いて、自社の製品やサービスに関心を持つ人々を獲得します。
ただし、単にリードの数を増やすだけでは意味がありません。重要なのは、営業チームがアプローチしやすい質の高いリードを集めることです。問い合わせや資料請求が多くても、実際に購買につながる見込みが低ければ、営業活動の負担が増えるだけになってしまいます。ターゲットとなる企業や担当者の属性を見極め、適切なチャネルを選ぶことが求められます。
一方、リードナーチャリングは、獲得した見込み客に対して適切な情報を提供しながら、購買意欲を高めていくプロセスです。BtoBでは、検討期間が長く、すぐに商談に至るケースは少ないため、接触後にどのように関係を築くかが重要になります。
たとえば、最初にホワイトペーパーをダウンロードしたリードに対して、業界のトレンドや課題をまとめたメールを送ることで、興味関心を持続させることができます。さらに、製品の導入事例や比較資料を提供すれば、具体的な検討フェーズへと進む後押しができるでしょう。こうした段階的な情報提供を行うことで、「まだ決めきれていない」リードを逃さず、購買のタイミングを引き寄せることができます。
この2つは別々の施策ではなく、連携してこそ効果を発揮します。リードジェネレーションが新しい見込み客との最初の接点を作る役割を担うのに対し、ナーチャリングは、その接点を深め、商談や契約へとつなげる工程です。
どちらか一方だけに力を入れても、売上には直結しにくくなります。リードジェネレーションだけでは「集めただけ」で終わってしまい、ナーチャリングだけでは「そもそも対象となるリードがいない」状態になってしまうからです。獲得したリードがどの段階にいるのかを把握し、適切なフォローを行うことで、初めて効果的なマーケティングが成り立ちます。
新しい見込み客を獲得するには、多くの企業がWebサイトやコンテンツを活用しています。ただ、単に訪問者を増やすだけでは商談につながりません。どのような施策を組み合わせ、どこを改善すれば効果的にリードを獲得できるのかを整理していきましょう。
Webサイトは、見込み客と最初に接触する場のひとつです。問い合わせや資料請求につなげるためには、ただ情報を掲載するだけでなく、コンバージョンしやすい設計が求められます。
1. フォーム設置の工夫
フォームの項目数が多すぎると離脱率が上がり、逆に少なすぎると営業活動で必要な情報が不足します。例えば、以下のような点を調整するだけで、成果が変わることもあります。
・必須項目を最小限にまで抑えます
・「入力補助」機能を活用し、ユーザーの入力の手間を減らします。
2. LP(ランディングページ)の活用
ランディングページ(LP)は、特定のターゲットに向けて訴求するための専用ページです。訪問者が知りたい情報を適切に配置することで、コンバージョン率(CVR)の向上につながります。
LPの最適化ポイント
・ファーストビューで魅力を伝える(目を引くコピー、ビジュアルを活用)
・CTA(コール・トゥ・アクション)の配置を最適化する(ボタンの色や文言も影響する)}
・信頼性を高める要素を入れる(導入事例、実績データ、口コミなど)
事例:フォーム改善でCVRが向上したケース
ある企業では、フォームの入力項目を8つから5つに減らしただけでCVRが20%向上しました。また、「無料相談」のCTA文言を「まずは簡単にご相談ください」に変えたところ、問い合わせ数が増加した例もあります。小さな改善が大きな成果につながることもあるため、定期的な見直しが重要です。
見込み客は、すぐに問い合わせをするとは限りません。そのため、役立つ情報を提供し、信頼関係を築くことが求められます。その手段のひとつが「ホワイトペーパー」や「eBook」のダウンロード施策です。
1. ホワイトペーパー・eBookの役割
これらの資料は、見込み客が抱える課題を整理し、解決策を提示するものです。売り込み色を強くしすぎると敬遠されるため、純粋に「参考になる」と感じてもらえる内容が求められます。
2. ダウンロードページの設計
ダウンロードを促すには、ページの構成も重要です。以下のようなポイントに気をつけると、より多くのリード獲得につながります。
・資料の中身がわかる説明を入れます(タイトルだけでなく、簡単な概要を掲載)
・フォームの入力負担を減らす工夫をします(メールアドレスだけでダウンロードできる形にするなど)
・ダウンロード後のステップを用意します(関連資料の案内や、フォローアップメールの送付)
3. 自動メール配信との連携
資料をダウンロードした後、放置してしまうとせっかくのリードが埋もれてしまいます。ダウンロード直後にお礼メールを送り、その後も関連する情報を段階的に届けることで、興味関心を持続させることができます。
オンライン・オフライン問わず、ウェビナーやセミナーはリード獲得の有効な手段のひとつです。実際に講師の話を聞くことで、信頼度が高まり、リードの温度感も把握しやすくなります。
1. 効果的な集客チャネル
ウェビナーの集客では、告知の仕方によって成果が大きく変わります。
・自社サイトやメール配信で告知(既存リードへのリーチ)
・LinkedInやX(旧Twitter)などのSNSを活用(ターゲット層に合わせて適切なプラットフォームを選ぶ)
・広告出稿(ターゲットを絞った配信で参加率を高める)
2. 参加者のニーズを把握するための工夫
ウェビナー申し込み時に「どんな課題を感じているか」などの質問を1つ加えると、参加者の関心があるテーマを把握できます。そのデータを活用すれば、当日の講演内容を調整したり、終了後のフォローアップに役立てたりすることができます。
見込み客の興味や課題を把握するために、アンケートは有効な手段です。特に、イベント後のフォローや、ナーチャリングのシナリオ設計に活用できます。
1. アンケートで得られる情報
・どのような課題を抱えているか
・導入時期や予算感の有無
・競合サービスとの比較ポイント
2. アンケート結果の活用方法
集めたデータをもとに、リードごとに最適なコンテンツを提供できます。例えば、まだ情報収集段階のリードには業界レポートを案内し、具体的な検討フェーズのリードには製品の比較資料を提供するなど、関心度に応じた対応が可能です。
リード獲得は、外部メディアを活用することでリーチを広げることもできます。これを「コンテンツシンジケーション」と呼びます。
外部メディアにコンテンツを掲載するメリット
・自社ではリーチできない層にアプローチできます
・権威性のあるメディアを通じて発信することで、信頼性が向上させることができます
・既存のコンテンツを活用できるため、新たに作成する負担が少ないです
たとえば、業界専門メディアにホワイトペーパーの紹介記事を掲載し、ダウンロードページへ誘導することで、新たなリードを獲得することができます。
単独での施策だけでなく、パートナー企業と協力することで、新しいリードの獲得やナーチャリングの精度を高めることができます。
共催ウェビナーのメリット
・互いの顧客層にリーチできるため、新たなリード獲得につながります。
・双方の専門知識を活かすことで、より価値の高いコンテンツを提供できます。
・イベント後のフォロー施策を共同で実施できます。
また、記事の相互掲載や、メルマガでのクロスプロモーションなど、ウェビナー以外の方法でも連携の幅を広げることができます。
見込み客を獲得しても、すぐに商談や契約に進むとは限りません。むしろ、BtoBでは購買プロセスが長期化しやすく、リードの多くは「まだ検討段階にない」状態からスタートします。
そのため、適切なタイミングで適切な情報を提供し、関心を高めながら育成するプロセスが必要になります。この章では、リードナーチャリングを効果的に進めるための具体的な手法を紹介します。
リードナーチャリングの基本となるのが、メールマーケティングです。しかし、単に一斉送信を繰り返すだけでは、関心を引くどころか「不要なメール」として扱われかねません。読者の状況に応じたシナリオを設計し、段階的に興味を引き出すことが重要です。
シナリオ設計のポイント
1. リードの関心度に応じて内容を変える
まだ情報収集段階のリードと比較検討に入っているリードでは、求める情報が異なります。興味を引くコンテンツを段階ごとに用意しましょう。
2. 適切な配信タイミングを設定する
頻繁に送ると煩わしく感じられ、逆に間隔が空きすぎると忘れ去られてしまうので、適度な頻度で配信し、反応を見ながら調整することが大切です。
3. 件名と冒頭文で関心を引く
どれだけ良い内容でも、メールが開かれなければ意味がありません。興味を引く件名と、最初の数行で「読む価値がある」と感じさせる工夫が求められます。
ナーチャリングを効率的に進めるには、リードごとの関心度や購買意欲を把握し、優先順位をつけることが必要です。その指標となるのがリードスコアリングです。
リードスコアリングとは?
見込み客の行動や属性に点数をつけ、営業に引き渡すタイミングを見極める手法です。例えば、以下のような基準でスコアを設定します。
行動ベースのスコア
・メールを開封した:+5点
・資料をダウンロードした:+10点
・ウェビナーに参加した:+20点
属性ベースのスコア
・企業の規模がターゲットに合致:+15点
・決裁権を持つ役職者:+20点
スコアが一定の基準を超えたリードを営業チームに渡すことで、商談につながる可能性が高まります。
リードの関心レベルに合わせて、送る情報を変えていくことが効果的です。以下のような流れでコンテンツを設計すると、徐々に購買意欲を高めることができます。
1. 興味喚起フェーズ
・業界の最新トレンドや課題についてのレポートを提供
・「〇〇業界でよくある課題と解決策」のような内容を配信
2. 比較検討フェーズ
・競合製品との違いを整理した比較資料を送る
・「〇〇を導入した企業の成果」といったケーススタディを紹介
3. 導入事例紹介フェーズ
・実際に導入した企業の声や、ROIを示すデータを提供
・「成功企業の事例から学ぶ〇〇の活用法」といったコンテンツを配信
リードの行動に応じて適切な情報を届けるために、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用するのも有効です。たとえば、以下のような仕組みを取り入れることで、効率的にナーチャリングを進めることができます。
行動データをもとにメールを自動送信
・資料ダウンロード後、関連するコンテンツを紹介するメールを送ります。
・ウェビナー参加後、特典として限定コンテンツを案内します。
スコアリングと連携してホットリードを判別
・一定のスコアに達したリードを営業に通知し、適切なタイミングでアプローチ
MAツールを活用することで、リードの状態を細かく把握しながら、一貫性のあるナーチャリングを行うことができます。
ナーチャリング施策が効果を上げているかどうかを把握するには、定期的な分析と改善が必要です。
測定すべき指標
・メールの開封率・クリック率
・コンテンツのダウンロード数
・ウェビナーの参加率
・商談化率
また、ABテストを活用することで、どの施策がより効果的かを検証できます。たとえば、「メールの件名を変える」「CTAの文言を調整する」など、小さな変更を試しながら最適化を続けることが重要です。
BtoBマーケティングにおいて、リードを獲得するだけでなく、適切に育成し、営業と連携することが成果につながります。
今回、効果的なリードジェネレーションの手法、ナーチャリングの進め方、営業への橋渡しのポイントを解説しました。Webサイトの最適化やコンテンツ施策、ウェビナー活用など、リード獲得の施策を整理し、リードスコアリングやメールマーケティングによるナーチャリングの重要性にも触れています。
さらに、MAツールの活用や成果測定を行うことで、長期的なマーケティング戦略の精度を高めることができます。リードを安定的に獲得し、商談につなげるために、適切な仕組みを構築し、継続的に改善を行っていきましょう。